【重要】カウンセリングはお金の無駄なのか心理学の専門家が解説

【重要】カウンセリングはお金の無駄なのか心理学の専門家が解説

カウンセリングは1回につき、数千円から1万円ほどのお金がかかります。

決して安くはない金額ですので、カウンセリングに通い始めても途中で「お金の無駄だ」「もっと別のことに使った方がいい」などと感じてカウンセリングを辞めてしまう人もいます。

せっかくカウンセリングに通うなら、支払ったお金に見合った効果や満足を得たいもの。

そこで今回は「カウンセリングはお金の無駄」と感じてしまう原因を探ると共に、カウンセリングがお金の無駄だと感じないための4つの方法を解説します。

カウンセリングはお金の無駄だと感じる原因

自分自身にお金をかける価値を見出せない

「自分には何の価値もない」という強い自己否定感から、自分のためにお金をかけることに罪悪感を抱く方がいます。

そういった方は、自分の心のケアをするためのカウンセリングに対しても「自分なんかのためにお金を使うなんて無駄だ」と感じてしまいます。

また、うつ病などの精神疾患を抱えていると、必要以上にお金の心配をする「貧困妄想」が見られることもあります。

そのため、「自分のことより家族の生活が大事!」とお金がかかるカウンセリングを無駄だと感じる場合もあります。

期待していたような効果が出ない

カウンセリングは、カウンセラーがクライエント(相談者)の代わりに悩みを解決したり、「こう解決しなさい」と教えたりする場ではありません。

また、悩みが1回で解決することは少なく、何回か継続して通う必要があります。

そのため、カウンセリングに対して「カウンセラーが解決策を教えてくれる」「悩みがすぐに解消できる」などの誤解があると「〇〇円も出したのに何も意味がなかった!」「お金の無駄だった!」と感じてしまいます。

質の低いカウンセリングを選んでしまった

料金に見合わない質の低いカウンセリングを選んでしまうと、当然ながら「お金の無駄」になってしまいます。

世の中には、たくさんのカウンセラー資格があります。

例えば、大学院修了と資格試験合格を必要とする「公認心理師」や「臨床心理士」がある一方で、ほんの数か月のセミナー受講で取得できてしまう資格もあります。

そのため、「資格を持っています」と銘打っていても、実際には十分な専門性を持たず質の低いカウンセリングしか提供できないカウンセラーも存在するのです。

なお、カウンセリングの資格についてはカウンセリング資格の中で信頼できる資格は2つだけ【断言します】、カウンセラーを選ぶ際の注意点についてはカウンセリングを受けたいと思ったらどうすれば良いのか【注意あり】にそれぞれまとめていますので、こちらもチェックしてみてください。

カウンセリングのお金を無駄にしないための方法

カウンセリングがどんなものか理解しておく

どんなサービスでも、お金を払う前に内容を確認・理解しておくことが大切です。

カウンセリングは、」専門家であるカウンセラーとクライエントが対話を重ねる中でクライエント自身が主体的に悩みを解決できるよう支援する場です。

つまり、カウンセラーはクライエントが抱えた悩みや問題そのものを代わりに解決するのではなく、「クライエント自身が解決する力」を高めることを目指しているのです。

しかし、解決する力は短期間で育まれるものではありませんから、カウンセリングにはある程度継続して通うことが求められます。

このようなカウンセリングに関する知識があれば、「思っていたのと違った」「お金の無駄だった」と後悔するリスクを軽減できます。

「カウンセリングの流れは?」「カウンセリングにデメリットはある?」などカウンセリングの実際についてもっと詳しく知りたい方はカウンセリングとは何なのか心理学の専門家が解説もあわせてお読みください。

自分のニーズに合ったカウンセリングを選ぶ

カウンセリングと言えば、カウンセラーとクライエントが1対1で実施する「個別カウンセリング」がよく知られています。

しかし、実際には家族全員で受ける「家族療法」や夫婦で参加する「夫婦カウンセリング」、2~3名のカウンセラーに対し8~9名のクライエントが参加する「グループカウンセリング」など、複数名で行うカウンセリングもあります。

また、カウンセリングの種類も

  • クライエントの無意識に注目する「精神分析」
  • クライエントの思考(認知)・感情・行動に注目する「認知行動療法」
  • クライエントが本来持っている解決能力を引き出す「来談者中心療法」
  • クライエントがアートを介して心を表現する「芸術療法」

など、たくさんあります。

そのため、まずは

「どんなカウンセリングなら受けやすいか」

「自分にとってのカウンセリングのゴールは何か」

など、自分にとってのカウンセリングのニーズを整理してみましょう。

その上で、自分に合ったカウンセリングを選べば、期待していた効果を得やすくなりお金を払うことにも納得できるはずです。

自分に合ったカウンセリングを知りたい方はカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】で様々なカウンセリングのメリット・デメリットをご紹介していますので参考にしてみてください。

自分の思いを素直に話すよう心掛ける

カウンセラーはクライエントに寄り添うことを心掛けますが、クライエントが言葉にしない気持ちが完全に分かるわけではありません。

そのため、あなたの思いをはっきり伝えないとカウンセラーが「こうかな?ああかな?」と時間をかけて探ることになり、その分のお金もかかってしまいます。

また、内心では「そうじゃないのに!」と感じながら表向きはカウンセラーに合わせていると、不満やイライラが募り、それもまた「お金の無駄」という感覚につながります。

自分の思いを話すことに対し、「自己主張ばかりすると嫌われる」「こんなことを考えているとバカにされる」などの抵抗感を感じるかもしれませんが、カウンセラーはどんなあなたでも「良い/悪い」を判断することなくありのまま受け入れます。

悔いのないカウンセリングを実現するためにも、ぜひカウンセリングでは素直な気持ちを話してみましょう。

カウンセラーに今後の見通しを確認する

人は誰でも「これからどうなるのか」「どれくらいで終わるのか」といった見通しが分からないと「このままで大丈夫だろうか?」と不安になったり、途中でやる気を失ったりしてしまいます。

そのため、カウンセラーに

  • これからどんなことをしていくのか
  • どれくらいで改善できるのか

といったことを質問しておくと、安心してカウンセリングを継続できます。

もちろん、カウンセリングの効果は人それぞれであるため、カウンセラーにも「〇回で確実に治ります」といった保証はできません。

それでも、「あなたの状態を見ると、まずは××から始めるのが良いと思います」「多くの場合、〇回程度で症状が和らぎ始めます」など、あなたの不安が和らぐよう誠意をもって説明してくれるはずです。

まとめ

この記事では、カウンセリングがお金の無駄だと感じる原因と対処法についてご紹介しました。

カウンセリングがお金の無駄だと感じる背景には、

  • 自分自身にお金をかける価値を見出せない
  • 期待していたような効果が出ない
  • 質の低いカウンセリングを選んでしまった

などの原因が考えられます。

カウンセリングをお金の無駄にしないために、事前にカウンセリングがどんなものか理解しておくと共に、自分のニーズに合ったカウンセリングを選ぶことが大切です。

また、実際にカウンセリングを受ける際には自分の思いを素直に話すよう心掛けましょう。

さらに、カウンセラーに今後の見通しを確認しておくと「お金の無駄になるのでは?」という不安を払拭でき、安心してカウンセリングを続けられます。

また、金銭的な余裕がない場合やどうしてもカウンセリングにお金をかけることに強い抵抗感がある場合には【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法で、無料あるいは低料金で受けられるカウンセリングをまとめていますのでぜひ参考にしてみてください。

【重要】カウンセリングの効果がないと感じる原因と解決方法

【重要】カウンセリングの効果がないと感じる原因と解決方法

「悩みを解消したい」「話を聴いてほしい」

そんな想いから勇気を持ってカウンセリングの扉を叩いたのに、いざ受けてみると「効果が感じられない」と思ったことはありませんか?

「このカウンセラーにスキルがないから」と全てカウンセラーのせいにしたくなってしまいますが、実は「効果がない」と感じてしまう背景にはカウンセラーだけでなくクライエント(相談者)に原因があることも。

そこで今回は、カウンセリングに効果がないと感じる原因について詳しく解説します。

また、効果がないと感じたときの解決法も具体的にご説明しますので、「このままでいいんだろうか…」と悩んでいる方はぜひチェックしてみてください。

カウンセリングに効果がないと感じる原因

カウンセラーを信頼できない

カウンセリングでは、まずカウンセラーとクライエントがお互いに信頼し合った状態である「ラポール」を形成することから始めます。

信頼できない相手に、誰にも話せなかった悩みなんて話せないからです。

しかし、

  • 若くて経験が浅そうに見える
  • 否定や叱責を繰り返してくる
  • 社会人として不適切な身だしなみや言葉遣いが目立つ

といったカウンセラーに出会うと、クライエントは「大丈夫かなぁ」という不安感や「この人は信頼できない」という反発心を覚えます。

そんな状態ではクライエントは本心を話せませんし、カウンセラーの言葉も素直に受け取れません。

当然、カウンセリングの効果も感じられずに終わってしまいます。

カウンセラーが十分に話を聴いてくれない

カウンセリングは、クライエントがカウンセラーに対して話をしながら内省し、自分らしい生き方を見つけ、問題解決に取り組むサポートをする営みです。

そのため、カウンセラーがあまり話を聴いてくれないとカウンセリングの効果が出にくくなってしまいます。

長岡ら(2009)*1は、カウンセラーとクライエントの関係性が十分に深まらず表層的な語りに留まってしまう「低評価カウンセリング」と、両者の関係性が十分に深く語りが非常に内省的になった「高評価カウンセリング」を分類し、どのような応答が行われているかを比較しました。

その結果、高評価カウンセリングではクライエントが話す時間と沈黙が対話全体のうち約8割を占めており、低評価カウンセリングと比べて顕著に高い割合となっていることが明らかになりました。

また、クライエントからの質問にカウンセラーが答える形ではなく、あいづちでクライエントから話を引き出すスタイルが多いことも示されました。

逆に言えば、

  • カウンセラーがクライエントの話を深めようとしない
  • カウンセラーが表面的な理解で意見や助言を繰り返す
  • カウンセラーが質問ばかりしてクライエントのペースで話せない

といったカウンセリングでは、効果が薄くなると考えられます。

カウンセリングの方法がニーズと合っていない

実はカウンセリングにはたくさんの種類があり、代表的なものは以下の通りです。

■来談者中心療法

一般的によくイメージされる、カウンセラーがクライエントの話をじっくり聴く方法で、クライアントが本来持っている解決能力を引き出すことを目指します。

■認知行動療法

出来事や状況に対してクライエントが持つ適応的ではない認知(≒考え方)に働きかけ、適応的なものに修正することで行動の変容を目指します。

■精神分析・精神分析的心理療法

無意識に抑圧された空想や感情を意識化することで、生きづらさの解消を目指します。

「ただ、じっくり話を聴いてほしい」と思っているのに、行動の変容を目指す認知行動療法によるカウンセリングを受けると「なんだか違うかも」と違和感を覚えるかもしれません。

求めている効果を得るためには、自分のニーズに合ったカウンセリングを選ぶことが重要です。

カウンセリングの種類についてはカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】にまとめています。

また、日本臨床心理士会「臨床心理士と出会うには」でも、臨床心理士が面接で行う療法がまとめられていますので参考にしてみてください。

自分の意思で受けていない

自分で「カウンセリングを受けたい」と思ったのではなく、上司や家族から「カウンセリングを受なさい」と言われて渋々やって来たクライエントの場合、本人に「解決したい」「変わりたい」という動機がありません。

むしろ、無理やりカウンセリングを受けさせた人たちに「カウンセリングなんて意味がないと分からせてやる!」と考え、カウンセラーに対して沈黙を貫いたり、否定したり、嘘をついたりする人もいます。

こうなると、カウンセリングで効果を得ることは難しくなってしまいます。

カウンセリングよりも治療が必要な状態

カウンセリングは「癒される」というイメージがありますが、実際にはこれまで目を背けてきた「忘れたいようなつらい過去」や「自分の弱さやみじめさ」などを思い出さねばならず、苦しさを感じることも少なくありません。

そのため、心が弱っている人は「カウンセリングを受けたら、かえって状態が悪化した」と感じることも。

心が弱っているサインとしては、以下のようなものが挙げられます。

【心のサイン】

□ずっと気分が沈んで憂鬱

□ソワソワと落ち着かない

□何に対しても意欲が持てない

□悪口を言われている気がする

□誰もいないのに人の声がする

□ドアや窓のカギを何度も確認しないと不安

【身体のサイン】

□不眠が続いている

□思考がまとまらない

□食欲がコントロールできない

□食べ物の味を感じられない

□頭痛や吐き気などの症状が酷い

このような方は、カウンセリングよりも医療機関による治療を優先しましょう。

カウンセリングの効果がないと感じたときの解決方法

カウンセラーと効果を感じないことを話し合う

「カウンセリングに効果が感じられない」と思ったら、ぜひそのままカウンセラーに伝えてみましょう。

本当にクライエントに寄り添えるカウンセラーなら、クライエントが黙ってカウンセリングを去ることなく、わざわざ「効果を感じられない」と伝えてくれた勇気に感謝するでしょう。

そして、「なぜ効果が感じられないのか」について共に考え、クライエントにとって良いカウンセリングとなるよう尽力してくれるはずです。

自分がカウンセリングに求めているものを見つめ直す

カウンセリングでは、クライエントが主役です。

そのため、クライエントの中で「こうしたい」という考えがまとまっていないと、カウンセリングで進むべき方向が定まらず、なかなか効果も得られません。

カウンセリングに求めることは人それぞれ。

「ただ話を聴いてほしい」という人もいれば、「問題や症状をとにかく解決したい」という人もいます。

自分がカウンセリングにどんな期待を持っているかを整理し、カウンセラーに伝えてみましょう。

カウンセラーは、あなたのニーズを聴いた上で「ここではあなたのニーズを満たすために〇〇な部分をサポートできる」「ここではなく××という機関の方が適している」など教えてくれるでしょう。

まとめ

この記事では、カウンセリングに効果がないと感じる原因と解決方法について解決しました。

カウンセリングに効果がないと感じる原因としては、

  • カウンセラーを信頼できない
  • カウンセラーが十分に話を聴いてくれない
  • カウンセリングの方法がニーズと合っていない
  • 自分の意思で受けていない
  • カウンセリングよりも治療が必要な状態

などが考えられます。

また、「カウンセリングなんて効果がない」と感じたときには、

  • カウンセラーと効果を感じないことを話し合う
  • 自分がカウンセリングに求めているものを見つめ直す

といった方法を試してみましょう。

今回はカウンセリングで効果がないと感じた場合についてご紹介しました。

逆に「効果があったと思えるのはどんな時なの?」と気になる方は、【本質】カウンセリングの効果とは何なのか心理学の専門家が解説【本質】カウンセリングは意味ない?心理学の専門家がお答えしますにカウンセリングの持つ効果や意味をまとめていますので、ぜひあわせてお読みください。

参考文献

*1 長岡千賀・小森正嗣(2009)心理面接におけるカウンセラーの応答:話者交替時のカウ
ンセラーの発話冒頭を指標とした事例研究 Cognitive Studies 16(1)pp24-38.

カウンセリングを受けたいと思ったらどうすれば良いのか【注意あり】

カウンセリングを受けたいと思ったらどうすれば良いのか【注意あり】

「カウンセリングを受けたい!」と思って、インターネットで検索すると数得きれないほどのカウンセリングルームや医療機関が表示されます。

選択肢が多いのは嬉しい反面、悩みを抱えた状態で自分に合ったカウンセリングを選び出すのは大きな負担になることも。

また、苦労して選んだカウンセリングなのに「自分に合わない」「うまく話せない」など不完全燃焼してしまうと、「カウンセリングなんて、もう行きたくない」と思ってしまうかもしれません。

それはとてももったいない!

そこで今回は、

  • カウンセリングを受けたいときの探し方
  • カウンセラーを選ぶコツ
  • カウンセリングを受けたい人が準備すべきこと

の3つを詳しく解説します。

カウンセリングを受けたいときの探し方

カウンセリングはこんな場所で受けられる!

そもそもカウンセリングはどんな場所で受けられるのでしょうか。

ここでは、継続的なカウンセリングを受けられる場所を挙げてみます。

■私設のカウンセリングルーム

カウンセラーが個人で経営しているカウンセリングルームや、多くのカウンセラーが在籍する規模の大きな相談機関などがあります。

また、最近ではビデオチャットや電話などを使ったオンラインのカウンセリングルームも増えています。

■医療機関

精神科や心療内科で医師から治療上必要と判断されれば、保険適用でカウンセリングを受けることができます。

もっと詳しく知りたい方は【本質】カウンセリングの保険適用について心理学の専門家が解説をお読みください。

なお、医療機関でも「自由診療」としてカウンセリングを提供している場合には、保険は適用されないため注意しましょう。

■大学附属の相談室

臨床心理士や公認心理師を養成する大学院では、研修機関として相談室が併設されています。

大学院生が教員の指導を受けながら、カウンセリングを実施します。

■学校や企業内の相談窓口

小学校・中学校・高校には「スクールカウンセラー」、大学には「学生相談室」があり、児童生徒や学生・保護者・教職員の悩みに対応しています。

また、企業でも「企業内カウンセラー」を設置するところが増えており、社員からの相談を受け付けています。

これらのカウンセリングは学校や企業の関係者であれば無料で利用できます。

■EAP専門機関

EAPとは「Employee Assistance Program(社員支援プログラム)」のこと。

企業が外部の相談機関と契約を結び、社員やその家族が低コストでカウンセリングを受けられる体制を整えることで、社員のメンタルヘルス向上を目指しています。

通いやすいエリアで探す

カウンセリングは1回で終わることもあれば、悩みが解消するまで何回も通わなければならないこともあります。

心身の不調を抱えた状態で遠方まで通うのは大変です。

定期的に通っても負担が少ないエリアを選びましょう。

日本臨床心理士会の「臨床心理士と出会うには」では、お住まいの都道府県を選ぶと、その都道府県にあるカウンセリングルームとアクセスが一覧となって表示されます。

また、「外に出るのが怖い」「近くにカウンセリングルームがない」という方は、自宅でカウンセリングを受けられるオンラインカウンセリングの利用もおすすめです。

続けやすい料金設定も重要

先ほどもご紹介した通り、カウンセリングは何回か続けて通うケースがほとんど。

「せっかくカウンセリングで良い方向に進み始めたのに、お金がなくて続けられない…」と中断してしまうのはもったいないですから、定期的に支払っても負担が少ない料金の場所を探しましょう。

「お金はないけれど、カウンセリングを受けてみたい」という場合には【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法をぜひ読んでみてください。活用できるサービスがきっと見つかります。

「ずっとカウンセリングを受けたい」と思えるカウンセラーを選ぶコツ

資格や経歴をチェック

カウンセラー資格には、数か月のセミナー受講で取得できる資格など、質が良いとは言えない資格も多数出回っており、「どんな資格を取得していれば、スキルがあるカウンセラーと言えるんだろう?」とカウンセリングを探す人を悩ませます。

そんな時には「公認心理師」や「臨床心理士」の資格を持つカウンセラーを選ぶのがおすすめ。

大学院で実践的な訓練を重ね、難易度の高い試験に合格してやっと取得できる公認心理師や臨床心理士は、一定の水準以上の専門知識とスキルを備えていると言えます。

公認心理師と臨床心理士の両方を取得したダブルライセンスのカウンセラーなら、さらに安心です。

もっと詳しくカウンセラーの資格について知りたい方はカウンセリング資格の中で信頼できる資格は2つだけ【断言します】もあわせてチェックしてみてください。

カウンセリングの方法がニーズに合っているか

カウンセリングと言えば、「話を聴く」というイメージがありますが、実際には

  • クライエント(相談者)の無意識に注目する「精神分析」
  • クライエントの思考(認知)・感情・行動に注目する「認知行動療法」
  • クライエントがアートを介して心を表現する「芸術療法」

など、様々な方法があります。

「話を聴いてほしい」と思っているのに、「芸術療法」が得意なカウンセラーに出会っても、あまり満足感は得られないでしょう。

自分のニーズに合ったカウンセリングを提供してくれる場所を選びましょう。

なお、カウンセリングの方法についてはカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】で詳しく解説しています。

また、芸術療法のように言葉を使わないカウンセリングはカウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】でご紹介しています。

サイトやブログの印象が良いか

多くのカウンセリングルームは、サイトやブログを開設しています。

サイトやブログでは、「カウンセラーになった理由」や「カウンセリングで大切にしていること」などが書かれており、カウンセラーがどのような姿勢でカウンセリングに臨んでいるかを感じ取ることができます。

また、説明が分かりやすいか、サイトの使い勝手が良いかなども、カウンセラーがクライエント目線で考えられるかどうかを知る手がかりになります。

実際に会ったときに相性が合うか

実際に会ってみたときに相性が合うかどうかも重要なチェックポイントです。

カウンセラーも専門家である前に人間ですから、どうしても相性が合わないことはあります。

「なんだか合わない」と感じながら、我慢してカウンセリングを受けていてもストレスが溜まるばかりで逆効果です。

ただし、「カウンセラーと合わない」という感覚は、『どうせ誰も助けてくれない』とか『代わりに全部解決してほしい』といった、クライエントが持つ考え方のクセから生まれていることもあります。

まずは「相性が合わない」と感じていることをカウンセラーに話してみましょう。

その話題をきっかけに自分自身を苦しめる考え方のクセに気づけるかもしれません。

しかし、「話してみたけど取り合ってもらえなかった」という場合には、別のカウンセラーを探すことを検討してみても良いでしょう。

カウンセリングを受けたい人が準備しておくと安心なこと

主治医がいれば許可を得ておく

現在、精神科や心療内科で治療を受けている方は、主治医にカウンセリングを受ける許可を得ておきましょう。

カウンセリングは「話していくうちに癒される」というイメージがありますが、実際にはつらかった出来事やネガティブな感情に向き合わなければならないシーンも少なくありません。

そのため、心や身体にエネルギーが不足しているときには、カウンセリングによってかえって状態が悪化することもあります。

きちんと主治医の許可を得ること、得られなければ先に医療による治療を優先することは、あなたの心や身体を守る大切なプロセスなのです。

話したい内容をまとめておく

「相談したいけど、話すのが苦手」という方は、事前に話したい内容をまとめておきましょう。

  • 今、困っていること【今】
  • いつ頃から困り始めたか【過去】
  • カウンセリングでどうなりたいと思っているか【未来】

と、時間軸に沿ってまとめておくと話しやすいかもしれません。

もちろん、「完璧にまとめなきゃ」と気負わなくても大丈夫。

ある程度まとめておけば、カウンセラーがあなたのペースに合わせながら話を引き出してくれます。

まとめ

この記事では、カウンセリングを受けたい方に向けて「カウンセリングの探し方」「カウンセラーを選ぶコツ」「カウンセリング前に準備しておくと安心なこと」について解説しました。

カウンセリングは、

  1. カウンセリングを受けられる場所を知る
  2. 通いやすいエリアで探す
  3. 続けやすい料金設定のものを選ぶ

の3ステップで探すのがおすすめです。

また、信頼できるカウンセラーを選ぶときには、

  • カウンセラーの資格や経歴
  • カウンセリングの方法
  • サイトやブログの印象
  • 実際に会ったときの相性

といった点をチェックし、自分にしっくり来る人を選びましょう。

また、カウンセリングを受ける前に、

  • 主治医がいれば許可を得ておく
  • 話したい内容をまとめておく

という準備をしておくと安心です。

【まとめ】カウンセリングの技法について心理学の専門家が解説

【まとめ】カウンセリングの技法について心理学の専門家が解説

「カウンセリングは話を聴いてくれるだけ。それなら、家族や友達に話すのと同じ」

そんな風に思っていませんか?

実は、カウンセリングではクライエント(=相談者)が「安心して話せる」「自分の考えや気持ちを整理できる」といった効果を感じられるよう、独自の「技法」を用いているのです。

そこで、今回はカウンセラーが用いるカウンセリング技法についてご紹介します。

なお、カウンセリング技法には様々な考え方がありますが、この記事では多くのカウンセリングに共通するコミュニケーションの形を1つ1つ技法として命名した「マイクロカウンセリング」に基づいて解説しています。

カウンセリング技法の前提となるかかわり行動

クライエントは、「カウンセリングってどんなものだろう」「カウンセラーはどんな人だろう」と不安を抱きながら、カウンセリングにやってきます。

そのため、カウンセリングでは言葉でやり取りする前に、非言語情報から安心感を与える「かかわり行動」を大切にしています。

かかわり行動で重視される非言語情報は以下の通りです。

■表情や視線

笑顔で迎え入れ、話を聴くときには適度に視線を合わせます。ただし、見つめられるのが苦手な方もいるため、様子を見ながら視線を外すこともあります。

■姿勢

クライエントの方に身体を向け、「話を聴きます」と態度で示します。

■話し方

クライエントは緊張や不安から早口になってしまうことも。カウンセラーはクライエントよりゆっくり穏やかに話すことで、クライエントの気持ちが落ち着くようサポートします。

カウンセリングのかかわり技法

クライエントの言葉を引き出し、整理するのが「かかわり技法」です。

はげまし

「はげまし」と聞くと「頑張れ!」と応援するイメージを持つかもしれません。

しかし、技法としての「はげまし」とは、クライエントの話を促す以下のような方法を指します。

■うなずきやあいづち

クライエントの話にうなずいたり、「そうなんですね」「なるほど」といったあいづちを打ったりすることで、クライエントに興味を持って話を聴いていることを示し、話しやすい環境を作ります。

■繰り返し

クライエントの言葉をそのまま繰り返す方法です。お互いの理解にズレがないこと、正確に聞き取っていることを示します。

言い換え

「言い換え」は、カウンセラーがクライエントの言葉を正確に受け取った上で、

■言い換え

より的確な表現にする

■要約

言葉を整理してまとめる

といった形で伝え返す方法です。

辻(2017)*1は、言い換え技法には次の3つの意味があると述べています。

  1. クライエントの発話を促進する効果
  2. クライエントの語った重要なことをもう一度よく確かめてもらい、クライエントの自己探求を促進し深めること
  3. カウンセラーがちゃんとクライエントの話しを聴くことができており、その理解が正確であるかを確かめること

感情の反映

「感情の反映」とは、クライエントの話を聴いて背景や状況を理解し、その時にクライエントが抱いた感情を受け止め、言葉にして伝える技法です。

例えば、「職場でみんなが私の悪口を言っているような気がして、行きたくないなぁと感じます」というクライエントに対しては、「みんなが悪口を言っていると思ったら、味方がいなくて怖いですよね」と、クライエントが感じていたであろう「怖い」という感情を言葉にします。

このように感情の反映を行うと、クライエントは「自分の気持ちを分かってくれた」と安心感を抱き、さらに話しやすくなります。

質問

質問には「開かれた質問(オープンクエスチョン)」と「閉ざされた質問(クローズドクエスチョン)」の2種類があります。

■開かれた質問

クライエントが自由に答えられる質問です。基本的に5W1Hに沿った形で問いかけます。

■閉ざされた質問

YESかNOで答えられる、あるいは「何人兄弟?」や「どこで働いている?」など答えが1つに決まっている質問です。

これらの質問のメリット・デメリットについては、吉井(2015)*2をもとに、下の表1にまとめました。

表1開かれた質問と閉ざされた質問のメリット・デメリット

カウンセラーはクライエントの様子を見ながら、この2種類の質問を使い分けていきます。

カウンセリングの積極技法

クライエントの主体性を重んじつつも、カウンセラーから積極的に働きかけて問題が解決する方向に促していく技法です。

論理的帰結

「論理的帰結」とは、クライエントが迷っている選択肢1つ1つについて、「この選択肢を選ぶとどんな結果になるか」を本人に予想させる技法です。

そして、予測結果それぞれのメリットやデメリット、コスト、成功確率などを冷静に判断してもらうことで、クライエントの考えが整理されクライエント自身が納得できる選択が可能になります。

解釈

クライエントの話を別の視点から捉え直し、伝える技法が「解釈」です。

例えば、「うちの親はいつも口うるさくて腹が立つ」と話す人に対し、「親はあなたが心配なのではないか」と「親の視点」を伝えます。

これまでご紹介してきた技法がクライエントの視点に寄り添っているのに対し、解釈ではあえてクライエントの視点とは違う方向から指摘するため、クライエントが強く反発したり、「このカウンセラーは信頼できない」と感じたりする原因となってしまいます。

クライエントの背景を十分に理解し、受け入れられそうな言葉とタイミングで伝えることが必要です。

フィードバック

「フィードバック」は、クライエントの行動や考えについて客観的な視点から「こう見える」と伝えることで、自分の行動の問題点などを自覚すると共に、修正を促していく技法です。

先ほどお話しした解釈と似ていますが、解釈にはカウンセラーが「こうじゃないかな?」と考えた推論が含まれているのに対し、フィードバックではあくまで「事実」に目を向けて伝えていきます。

自己開示

「自己開示」は、カウンセラーが感じたことや考えたこと、自分の体験や価値観などを話す行為を指します。

カウンセラーがどんな人間か分かることで、クライエントが安心して話しやすくなります。

また、人の心理には「してもらったことには同じように返したい」という「返報性の法則」が働いています。

そのため、カウンセラーが自己開示すると、クライエントにも自然と「自分も話そう」という気持ちが生じます。

対決技法

クライエントの感情・思考・行動の矛盾や不一致を言葉にして伝えるのが「対決技法」です。

例えば、「こんな会社辞めて転職したい」と言いながら、実際には転職活動を全く始めない人は、「転職したい」という思考と「転職活動を始めない」という行動が矛盾しています。

それについて「転職したい気持ちもあるけど、転職活動を始めることには何かためらいもあるみたいですね」など言葉で伝えていくのです。

矛盾や不一致の指摘を意識するあまり、「転職したいと言っているのに、なんで転職活動をしないんだ!」と突きつけると、クライエントは否定された気持ちになり、自由に発言するのも怖くなってしまいます。

それではカウンセリングがうまく進められません。

対決技法では、クライエントの葛藤する気持ちに寄り添いながら、穏やかに伝えることが求められます。

対決技法を通じてクライエントが矛盾を抱えた自分に気づき、「どうしてなんだろう?」と考えを深められれば、悩みの根底にある問題が見えてくるでしょう。

まとめ

この記事では、カウンセリング技法について以下のように解説しました。

■かかわり行動(言葉以前の非言語情報による安心感を提供する)

■かかわり技法(クライエントの言葉を引き出し、整理する)

  • はげまし:クライエントの話を促すうなずき・あいづち・繰り返し
  • 言い換え:クライエントの言葉をより的確に言い換え、あるいは要約する
  • 感情の反映:クライエントの感情を受け止めて言葉にする
  • 質問:開かれた質問(自由に答えられる質問)と閉ざされた質問(YES・NOや1つの答えで答える質問)

■カウンセリングの積極技法(問題解決に向けたカウンセラーの積極的な働きかけ)

  • 論理的帰結:選択した結果を予測させ、納得いく選択をしてもらう
  • 解釈:クライエントの話を別の視点から捉え直して伝える
  • フィードバック:クライエントの行動や考えを客観的な事実をもとに伝える
  • 自己開示:カウンセラー自身の感情・思考・価値観などを伝える
  • 対決技法:クライエントの感情・思考・行動の矛盾や不一致を伝える

カウンセリングの技法による効果だけでなく、カウンセリングを受ける中で得られる様々な効果について知りたい方は【本質】カウンセリングの効果とは何なのか心理学の専門家が解説もぜひあわせてお読みください。

参考文献

*1 辻潔(2017)カウンセリング初心者が陥りやすい問題とカウンセリング指導上の工夫に
ついて-マイクロカウンセリングの視点を中心に- 追手門学院大学地域支援心理研究センタ
ー附属心の相談室紀要 14号
*2 吉井健治(2015)カウンセリングの基本的技法-相手のこころに近づく聴き方 十二の
技- 鳴門教育大学研究紀要 30 pp41-51.

カウンセリング資格の中で信頼できる資格は2つだけ【断言します】

カウンセリング資格の中で信頼できる資格は2つだけ【断言します】

世の中にはたくさんのカウンセリング機関があります。

「どのカウンセラーに頼もうかな?」と迷っている時に、カウンセラーの資格や経歴をチェックする人も多いのではないでしょうか。

しかし、カウンセリングの資格は非常にたくさんあり、調べれば調べるほど「結局どの資格を持っているカウンセラーなら安心なの?」と、かえって困惑してしまうことも。

そこで、この記事では代表的なカウンセリング資格をご紹介します。

また、「公認心理師」と「臨床心理士」は他のカウンセリング資格と一線を画しています。

その理由についてもあわせて解説しますので、ぜひご覧ください。

カウンセリングの代表的な資格

公認心理師

カウンセリングに関する日本で初めての国家資格が「公認心理師」です。

2017年9月15日に施行された公認心理師法に基づき、2018年に実施された第1回試験では28,574名の公認心理師が誕生しました。

また、2019年の第2回試験では7,864名が合格し、教育・医療・福祉・司法・労働といった幅広い分野で活躍しています。

厚生労働省のHPでは、公認心理師の仕事内容について次のように書かれています。

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析

(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助

(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助

(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

厚生労働省「公認心理師」

(1)~(3)は、私たちが「カウンセリング」としてイメージしやすい仕事です。

悩んでいる本人の心の状態を観察し、悩みを引き起こしている要因を分析します。

また、本人からの相談に対応するだけでなく、家族をはじめとする関係者の話を聴く、助言や指導を行うなどして、みんなで本人を支え続けらえるようサポートします。

(4)は、個人だけでなく地域社会を対象として、より多くの人が心の健康を維持・向上できるよう正しい情報を発信していくことが求められています。

公認心理師の認定方法については「カウンセリング資格の中で公認心理師と臨床心理士が特別である理由」の章で解説します。

臨床心理士

臨床心理士とは、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。

同協会では臨床心理士を「臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”」と定義しています。

1988年に誕生した臨床心理士は、現在では約4万人に達し、公認心理師と同様に様々な分野での心理的援助に取り組んできた実績があります。

日本臨床心理士資格認定協会では、臨床心理士の仕事内容を次のように示しています。

(1)臨床心理査定:人の特徴や問題を心理テストや観察を通じて明らかにし、適切な援助方法を検討します。

(2)臨床心理面接:臨床心理士が様々なカウンセリング技法を用いて、相談に来た方の心を支援する活動です。

(3)臨床心理的地域援助:特定の個人だけでなく、地域社会や学校・企業などのコミュニティを対象として、メンタルヘルス向上や被害支援のための情報提供や環境調整を行います。

(4)調査研究:(1)~(3)の活動で用いる技術や知識を確実なものにするために、調査や研究に取り組みます。

日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士の専門業務」

臨床心理士の認定方法については、「カウンセリング資格の中で公認心理師と臨床心理士が特別である理由」の章で解説します。

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格です。

企業やハローワークなどに所属し、働く人と組織の課題解決を支援することを目指した活動に取り組みます。

産業カウンセラーの仕事内容は、次の3つです。

(1)メンタルヘルス対策への支援:働く人々のメンタル不調予防や危機介入などを目的とした研修やカウンセリングを行います。

(2)キャリア形成の支援:1人1人の意識や働き方に合わせたキャリア形成を支援する教育・カウンセリングの機会を提供します。

(3)職場における人間関係開発・職場環境改善への支援:働きがいのある職場や働きやすい職場をつくるための研修や提案を行います。

日本産業カウンセラー協会「協会について」

産業カウンセラーは、受験資格を持つ人が資格試験に合格することで取得できます。

受験資格は、以下のいずれかに該当する場合となります。

(1)20歳以上で、日本産業カウンセラー協会や委託先が提供する講座を修了した者

(2)大学院研究科で心理学やその隣接領域、人間科学、人間関係学のいずれかの専攻を修了し、指定された単位を取得している者

(3)社会人として週3日以上勤務した経験を通算3年以上有し、大学院研究科で心理学やその隣接領域、人間科学、人間関係学のいずれかの専攻を修了し、指定された単位を取得している者

認定心理士

認定心理士は、日本心理学会が認定する民間資格です。

同学会では、認定心理士を“心理学の専門家として仕事をするために必要な,最小限の標準的基礎学力と技能を修得している,と日本心理学会が認定した人”と定めています。

独自の資格試験はなく、次の3つの条件を満たすことで認定されています。

(1)四年制大学を卒業し学士の学位を取得、もしくは大学院修士課程を修了し修士の学位を取得

(2)16歳以降、通算2年以上日本に滞在した経験を有していること

(3)認定心理士認定資格細則が指定する心理学関係の所定の単位を取得

日本心理学会「資格申請の手引き 2014年度改訂版」

この資格だけで専門性を示すことは難しいため、カウンセラーとして活躍するには他の資格も取得していることや実務経験があることが求められるでしょう。

その他にもカウンセリング資格は多数

これまで紹介してきたもの以外にも、

■メンタルケア心理士(R)

  • 認定団体:メンタルケア学術学会、生涯学習開発財団、ヘルスケア産業推進団体
  • 認定方法:こころ検定2級試験に合格し、資格登録を行う

■認定カウンセラー

  • 認定団体:日本カウンセリング学会
  • 認定方法:日本カウンセリング学会に一定期間在籍し、養成カリキュラムを受講する、もしくは日本カウンセリング学会の会員であり、優れた業績やカウンセラーとして一定以上の実務経験があること

■メンタルケアカウンセラー(R)

  • 認定団体:日本メディカル心理セラピー協会
  • 認定方法:メンタルケアカウンセラー資格試験に合格する

など、カウンセリング資格は多数存在しています。

カウンセリング資格の中で公認心理師と臨床心理士が特別である理由

カウンセリング資格の中でも、公認心理師と臨床心理士は特に高い専門性を持つと考えられます。

その理由としては、どちらの資格も受験資格を得るために大学院修了程度の専門知識や技術が求められているからです。

■公認心理師の受験資格

公認心理師を受験するためには、以下の3つのどれかを満たす必要があります。

区分A:四年制大学で指定された科目を履修 → 大学院で指定された科目を履修

区分B:四年制大学で指定された科目を履修 → 特定の施設で2年以上の実務経験

区分C:外国の大学卒業および外国の大学院を修了するなどして、区分Aや区分Bと同等以上の知識や技能を有する者と認定されること

ただし、これら以外にもすでに心理系の大学院を修了していたり心理職としての実務経験を持つ人が、大学や大学院に通い直さなくても公認心理師の受験資格を取得できるよう、「特例措置」が用意されています。

そのため、現時点では以下に挙げた条件を満たして公認心理師を取得している人が大多数を占めています。

【特例措置】

区分D:公認心理師法が施行される2017年9月15日以前に大学院に入学して指定された科目を履修、あるいは履修中

区分E:公認心理師法施行前に四年制大学で指定された科目を履修 → 施行後に大学院で指定された科目を履修

区分F:公認心理師法施行前に四年制大学で指定された科目を履修 → 施行後に特定の施設で2年以上の実務経験

区分G:5年間の実務経験 → 現任者講習の受講(※2022年9月14日まで)

■臨床心理士の受験資格

臨床心理士の受験資格は、主に以下の5つです。

  • 第1種指定大学院を修了
  • 第2種指定大学院を修了し、1年以上の実務経験
  • 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了
  • 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後に日本で2年以上の実務経験
  • 医師免許を取得後、心理臨床の実務経験が2年以上

他のカウンセリング資格は、講座・カリキュラムの受講や試験合格だけで取得できるのに対し、公認心理師と臨床心理士は受験資格を得るまでにも長く険しい道のりがあるのです。

難易度の高い試験に合格する必要がある

公認心理師と臨床心理士は、受験資格を得るのも大変ですが、資格試験の内容も決して簡単ではありません。

直近の資格試験の合格率は、

  • 公認心理師は46.4%(第2回公認心理師試験)
  • 臨床心理士は62.7%(令和元年度臨床心理士資格試験)

となっています。

このような厳しい試験に合格できるよう学び続けているからこそ、公認心理師と臨床心理士は正しい知識に裏付けられた心理的援助を提供できるのです。

まとめ

この記事では、以下のようなカウンセリング資格をご紹介しました。

  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 産業カウンセラー
  • 認定心理士

これら以外にもたくさんの資格があります。

信頼できるカウンセラーを探すなら、公認心理師と臨床心理士の資格を持ったカウンセラーがおすすめです。

その理由としては、公認心理師も臨床心理士も資格取得には、

  • 大学院修了程度の専門知識や技術
  • 難易度の高い試験の合格

といった厳しい条件が課せられており、資格取得者は心の専門家としての最低限のスキルを習得していると考えられるからです。

自分に合ったカウンセリングを探す際には、資格だけでなく種類にも注意する必要があります。

カウンセリングの種類についてはカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】にまとめていますので、こちらもあわせてお読みください。

カウンセリングを受けるのがしんどいと感じる原因と解決方法

カウンセリングを受けるのがしんどいと感じる原因と解決方法

「カウンセリングに通えば、心が癒されてリラックスできる」

そんなイメージを持っている人は少なくありません。

しかし、実際にカウンセリングを受けた人の中には「カウンセリングを受けたら、かえってしんどくなった」と感じる人も。

実は、繊細な心を扱うカウンセリングだからこそ、ちょっとしたことでも大きな負担になり、「しんどい」と感じやすいのです。

この記事では、カウンセリングを受けるのがしんどいと感じる原因について解説すると共に、しんどいと感じた時に試してほしい解決方法をご紹介します。

カウンセリングがしんどいと感じる原因

気持ちを言葉で表現するのが難しい

1人で悩んでいる時には頭の中で何となくモヤモヤと考えていたことも、カウンセリングではカウンセラーに分かるように1つ1つ言葉にしなければなりません。

しかし、

  • 伝えたい気持ちはあるのに言葉が出てこない
  • 自分が抱えている苦しみを表現できる言葉が見つからない
  • カウンセラーの評価を気にして、素直に気持ちを話せない

といった理由から、自分の気持ちを言葉で表現できずに「しんどい」「もどかしい」と感じることがあります。

なお、カウンセリングでどんな話をすればいいか知りたい人は、カウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】もあわせてお読みください。

自分自身と向き合うのが苦しい

現代社会では、怒りや悲しみといったネガティブな感情を見せないことが美徳と考えられています。

そのため、真面目な人ほど、自分のネガティブな感情を抑え込み、表に出さない傾向が見られます。

しかし、ネガティブな感情は一時的には抑えることはできても、完全に消すことはできません。

少しずつ蓄積され、心や身体に様々な症状を引き起こします。

例えば、「人から嫌われるのではないかと怖い」という対人恐怖症の背景には、過去に仲間外れにされて「怖い」と感じた体験が影響していることがあるのです。

多くのカウンセリングでは、症状の原因となっている体験とネガティブな感情に目を向け、整理することを目指します。

これまで抑えてきたネガティブな感情と向き合うと、どうしても苦しくなってきます。

これはカウンセリングが順調に進んでいる証なのですが、しんどさに耐えられなくなる人もいるかもしれません。

カウンセラーとのやり取りがうまくいかない

岡田ら(2015)*1によると、カウンセラーとの会話・やり取りへの不満がカウンセリングを中断する原因になっていることが明らかになっています。

例えば、次のようなケースが挙げられます。

■具体的なアドバイスがない

自分が抱えている悩みや問題への具体的なアドバイスを期待してカウンセリングを受けた場合、傾聴ばかりのカウンセリングには不満が募ります。

■カウンセラーの質問の意図が分からない

カウンセラーにあれこれ質問されるものの、その意図が分からないと「なんでこんな話をしなきゃいけないの」「興味本位で質問しているのでは?」と不快感を抱くでしょう。

このようなカウンセラーとのやり取りのぎこちなさは、カウンセリングへの失望感を抱かせます。

そして、カウンセリングから足が遠のいてしまうのです。

カウンセリングがしんどいときの解決方法

心と身体を休めることを優先してみる

カウンセリングで自分のネガティブな感情と向き合い、言葉にしていくためには、心にも身体にもある程度のエネルギーが必要です。

そのため、「カウンセリングがしんどい」と感じるときには、心と身体を休めてエネルギーを蓄えることを心掛けてみましょう。

ここでは、心と身体を休めるためのリラックス方法をいくつかご紹介します。

■あたたかい飲み物を飲む

あたたかい飲み物は、心と身体をリラックスさせてくれます。

カモミールティーなどリラックス効果が期待できる飲み物を選ぶとなお良いでしょう。

■ゆっくりと湯船につかる

湯船につかり、ゆっくり入浴することで、心と身体の緊張がほぐれてリラックスできます。

好きな香りのアロマオイルや入浴剤を活用すれば、さらにゆったりとした気持ちになれるでしょう。

■良質な睡眠を取る

しっかりと睡眠時間を確保すると共に、就寝前にはスマホやパソコンの利用を控える、コーヒーや紅茶によるカフェイン摂取も避けるといった工夫で、質の高い睡眠を目指しましょう。

■ヨガやストレッチを取り入れる

ヨガやストレッチで身体を動かすことで、肩こりや腰痛など身体の不調が軽減されるだけでなく、心をリラックスさせる副交感神経を優位にしてくれます。

カウンセリングが進んでいく上で心や身体が「しんどい」と感じるのは自然なことです。

しかし、生活に支障をきたすほど調子を崩してしまうような場合には、カウンセリングを一時的に休むという判断も必要です。

カウンセラーに相談することはもちろん、主治医がいる場合には、主治医にもぜひ相談してみましょう。

カウンセラーにしんどさを伝えてみる

カウンセラーに「カウンセリングがしんどい」という気持ちをそのまま伝えてみましょう。

「カウンセリングがしんどい」と言えただけでも、

  • 自分の気持ちを言葉にする難しさ
  • 自分自身と向き合う苦しさ

を乗り越えた体験になりますから、これから先のカウンセリングでのしんどさは軽減されるかもしれません。

また、しっかりと学んできたカウンセラーであれば、あなたが「しんどい」と言うまでに感じてきた葛藤や不安を理解してくれるでしょう。

そして、より良いカウンセリングを作るために一緒に考えようとしてくれるはずです。

別のカウンセラーを探すのも1つの方法

次のような場合には、別のカウンセラーを探すのも1つの方法です。

■カウンセリングのしんどさを伝えても理解してくれない

「カウンセリングがしんどい」と伝えたにも関わらず、その想いに寄り添ってくれず、これまでのやり方を押し付けられる場合には、カウンセラーを変えた方が良いでしょう。

■カウンセリングの種類を変えることでしんどさが減る場合も

カウンセリングには様々な種類があります。

例えば、「短期間で症状だけ治したい」というニーズがある人が、時間をかけてじっくり自分を見つめる「精神分析」によるカウンセリングを受けると負担感が大きくなります。

そういったニーズの人は、症状に対する具体的なアプローチを教えてくれる「認知行動療法」によるカウンセリングの方が向いているのです。

自分に向いているカウンセリングの種類を知りたい方はカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】をぜひ参考にしてみてください。

まとめ

この記事では、カウンセリングがしんどいと感じる原因と、カウンセリングがしんどいときの解決方法についてご紹介しました。

カウンセリングがしんどいと感じる原因には、

  • 気持ちを言葉で表現するのが難しい
  • 自分自身と向き合うのが苦しい
  • カウンセラーとのやり取りがうまくいかない

の3つが挙げられます。

カウンセリングがしんどいときには、

  • 心と身体を休めることを優先する
  • カウンセラーにしんどさを伝える
  • 別のカウンセラーを探す

といった方法を試してみてください。

参考文献

*1 岡田和久・赤嶺直子(2015)臨床心理実習での面接中断に対するクライエントと大学院
生の認識の比較 応用心理学研究 41(1)pp18-28.

カウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】

カウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】

「悩みを1人で抱えることがつらい」

そう感じたときにおすすめしたいのが「カウンセリング」です。

しかし、「初対面の人と話すのは得意じゃない」「何を話せばいいか分からない」と抵抗を感じる人は少なくありません。

また、「話したことが他の人に知られてしまうのでは…」と不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

実はカウンセリングでは何でも話して大丈夫。

秘密もしっかり守られます。

この記事では、

  • カウンセリングで話す内容
  • カウンセリングで話した秘密を守る「守秘義務」

の2つについて詳しく解説しますので、カウンセリングに不安にある方はぜひ読んでみてください。

カウンセリングで話す内容は何でもOK

具体的にカウンセリングは、話したいと思ったことを何でも話して良い場所です。

しかし、「何でもいいと言われると、かえって困ってしまう…」「話すことがそもそも苦手」という人もいるでしょう。

ここでは、カウンセリングで自由に自分を表現するために知ってほしいことをご紹介します。

話がまとまっていなくてもカウンセラーがサポートできる

悩みは「誰かに話したい」と思っても、いざ話そうとすると、どこから話せばいいか迷ってしまうもの。

真面目な人ほど「ちゃんと話さなきゃ」と気負い、カウンセリングへのハードルが高まってしまいます。

実は、カウンセリングは話がまとまっていなくても大丈夫。

カウンセラーはクライエントのペースに合わせながら、必要に応じて質問を挟み、話をリードしていきます。

また、カウンセラーは言葉による情報だけでなく、クライエントの表情や視線などの「非言語情報」にも注意を向けています。

そのため、カウンセラーは話がまとまらない様子からも「人前で説明するのが苦手なのかな?緊張しやすいのかな?」など考えを巡らせ、クライエント自身や悩みへの理解を深めていきます。

あなたが一生懸命に話すことは、何一つ無駄にはならないのです。

「困っていること」がはっきりしていれば話してみよう

ある程度、カウンセリングで話すべき内容を知っていれば、話し始めるきっかけを作りやすいかもしれません。

カウンセラーが最も聴きたいのは「困っていること」です。

もし、「〇〇で困っている」とはっきり説明できるようであれば、そこから話し始めてみましょう。

また、これ以外にも

  • 生育歴(現在に至るまでどのように育ってきたか)
  • 家族(家族構成や家族の性格、年齢など)
  • カウンセリングに来た経緯(どうやってカウンセリングルームを知ったのか、なぜこのタイミングか…など)

といった内容がよく質問されます。

これらの内容をある程度準備しておくと、それ以外についても話しやすくなるかもしれません。

言葉以外を使ったカウンセリングを活用する方法もある

カウンセリングは何でも話せる自由もありますし、「話さない自由」もあります。

「どうしても言葉で説明するのが苦手」という人は、言葉以外の方法を中心に据えた次のようなカウンセリングを活用するのもおすすめです。

■芸術療法

言葉の代わりにアートを使って心を表現する方法です。

絵を描く、音楽を聴く、演奏する、粘土で作品をつくる…など、様々な方法があります。

心を表現することでカタルシス効果を得られると共に、完成した作品から「自分の心にはこんな世界があったのか」と自己理解を深めることができます。

■箱庭療法

カウンセラーが見守る中で、砂の入った箱にミニチュアを自由に置いたり、砂を動かしたりしながら、自分らしい箱庭を作っていきます。

完成した作品だけでなく、作る過程で生じる「ここに〇〇を置きたい」「カウンセラーに分かってほしい」などの心の動きから、自分でも言葉にできなかった気持ちや葛藤に気づき、悩みの解決につなげることができます。

■臨床動作法

成瀬悟策が開発した「動作」を使って心にアプローチする方法です。

カウンセラーにサポートしてもらいながら、自分の思う通りに身体を動かせるよう努力していくことで、身体はもちろん、心も「自分でコントロールできる」「自分も変わることができる」と実感でき、主体的に悩みを解決していく力が育まれます。

カウンセリングで話す内容は守秘義務で保護される

守秘義務とは?

守秘義務とは、文字通り「秘密を守る義務」のこと。

カウンセラー唯一の国家資格である「公認心理師」は、公認心理師法第四十一条によって「秘密保持義務」が定められています。

公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

公認心理師法第四十一条

また、民間資格ではあるものの、公認心理師と同様に大学院修了や資格試験合格を求める「臨床心理士」でも次のように定められています。

第2条 秘密保持

会員は,会員と対象者との関係は,援助を行う職業的専門家と援助を求める来談者という社会的契約に基づくものであることを自覚し,その関係維持のために以下のことについて留意しなければならない。

1 秘密保持

業務上知り得た対象者及び関係者の個人情報及び相談内容については,その内容が自他に危害を加える恐れがある場合又は法による定めがある場合を除き,守秘義務を第一とすること。

一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領

このように、クライエントが何でも安心して話せるよう、カウンセラーは秘密を守ることが職業倫理として強く求められているのです。

カウンセリングで守られる秘密とは?

カウンセリングでは、

  • クライエントが相談に来ている事実
  • クライエントの予約状況
  • カウンセリングで話した内容、あるいは描いた絵などの作品
  • 心理検査の結果
  • カウンセラーが書いた面接記録

などを守秘義務の対象としています。

ただし、カウンセラーは「秘密を守ること」は定められていても、「何を秘密にするか」は明確にされていないため、カウンセラー間でも守秘義務の範囲への認識には違いがあることもあります。

守秘義務の例外

守秘義務は「クライエントを守ること」が最大の目的です。

そのため、家族や関係機関に必要な情報を提供した方が、クライエントの心や身体、あるいは名誉が守られると考えられるときには、守秘義務よりも情報提供が優先されます。

例えば、

  • 幻覚や妄想に苛まれており、すぐに医療的な措置が必要である場合
  • 虐待やDVを受けており、このままでは心身や生命にも大きな被害を及ぼす危険性がある場合
  • 自殺したい気持ちを訴え、明らかに実行される可能性が高い場合
  • 犯罪行為の計画を語り、明らかに実行される可能性が高い場合

といった状況が挙げられます。

ただし、こういった場合でもカウンセラーはクライエントを守るためであることを説明し、クライエントが納得した上で、情報を提供できるよう努めます。

また、警察や裁判所から「捜査関係事項照会書」が提示された場合にも、秘密を守ることはできません。

まとめ

この記事では、カウンセリングで話す内容や、その内容を守る「守秘義務」について解説しました。

カウンセリングで話す内容は何でもOK。

上手く話せなくてもカウンセラーがサポートし、話を整理してくれます。

また、「話がまとまらない」という情報もあなたの悩みの理解に役立つこともあります。

どうしても話せない人は、言葉以外を使ったカウンセリングの活用もおすすめです。

さらに、カウンセリングで話す内容は「守秘義務」で保護されます。

ただし、秘密を守ることでクライエントの心・身体・名誉などに不利益がある場合には、他者への情報提供が優先されることもあります。

カウンセリングで話すことで得られる効果を知りたい方は【本質】カウンセリングの効果とは何なのか心理学の専門家が解説も合わせてお読みください。

【本質】カウンセリングの保険適用について心理学の専門家が解説

【本質】カウンセリングの保険適用について心理学の専門家が解説

カウンセリングを受けようと思った時に、料金の高さに驚いたことはありませんか?

カウンセリング料金が高額になりがちなのは、保険適用外だから。

「カウンセリングも治療の一環なのに、どうして保険が適用されないの?」「病院のカウンセリングには保険が適用できると聞いたような…」など、さまざまな疑問が浮かぶかもしれません。

そこで、この記事では、

  • 多くのカウンセリングが保険適用外である理由
  • カウンセリングが保険適用されるための条件

を詳しく解説します。

また、「保険が効かないならカウンセリングは受けられない…」とお困りの方に向けて、できるだけカウンセリング費用を抑える方法もご紹介しますので、こちらもあわせてご覧ください。

多くのカウンセリングが保険適用外である理由

カウンセリングでは「同じ内容」で「同じ効果」を得るのは難しいから

保険が適用される治療を「保険診療」と呼びます。

保険診療は、

  • 安全性や有効性が確認された医療行為に適用される
  • どの医療機関でも「同じ内容」の診察であれば、同じ金額で受けられる
  • 医療費の自己負担は3割に抑えられ、お金の心配を軽減できる

といった特徴を持っています。

ところが、カウンセリングでは「有効性」を示すのが困難です。

Aさんには効果的だった方法が、Bさんには効果がない…ということもよく起こります。

また、何を効果と判断するかも人それぞれ。

「誰にも言えなかったことを話せて気持ちが軽くなった」ということを「効果があった」と感じる人もいれば、「どれだけ話を聞いてもらっても、問題が解決しないと意味がない」と思う人もいます。

そのため、同じ内容で同じ効果を目指す保険診療とカウンセリングはなじみにくいのです。

カウンセラーとクライエントの両者で取り組むから

「医療行為」は、主に医師の責任で提供されます。

治療について医師と患者とで話し合うことはあっても、最終的な判断や指示は必ず医師が行います。

医師が「治す/解決する」立場なのです。

しかし、カウンセリングではカウンセラーがクライエントを治すわけではありませんし、クライエントの問題を代わりに解決するわけでもありません。

カウンセラーはクライエントに寄り添い、クライエント自身の力で問題が解決できるよう支え続けます。

そして、カウンセラーに支えられたクライエントは、1人では向き合えなかった問題に取り組んでいきます。

両者が互いに力を合わせることで、悩みや問題を解決していくのです。

そのため、カウンセリングは保険適用できる「医療行為」とも少し毛色の違うものになっています。

カウンセリングが保険適用されるための条件

カウンセリングの一部には「精神科専門療法」として、保険適用されるものがあります。

ここでは、そんな保険適用されるカウンセリングの条件を見てみましょう。

医師による通院・在宅精神療法を受ける

「通院・在宅精神療法」とは、精神疾患や精神症状を伴う脳器質性障害を持つ人に対して、精神科医が一定の治療計画のもとに、

  • 危機介入
  • 対人関係の改善
  • 社会適応能力の向上

を目的とした指示や助言などの働きかけを継続的に行うことを指します。

注意したいのは、通院・在宅精神療法を実施できるのは「精神科」の看板を掲げた保険医療機関で「精神科を担当する医師」に限られるということ。

「心療内科」では、通院・在宅精神療法を受けられないため、注意が必要です。

医師による標準型精神分析療法を受ける

「標準型精神分析療法」とは、思いついたことをそのまま話す「自由連想法」を使って、症状の原因となる体験や感情を分析し、自己理解を進めていく中で、症状や悩みの改善を促す治療法です。

保険適用できるのは、

  • 標準型精神分析療法に習熟した医師

あるいは、

  • 「精神科」の看板を掲げる保険医療機関において、標準型精神分析療法に習熟した心身医学を専門とする医師

によって行われた場合に限られます。

どの医療機関でも受けられるわけではないため、「精神分析を受けてみたい」と思っている方は、事前に問い合わせてから受診するようにしましょう。

医師や看護師による認知療法・認知行動療法を受ける

「認知療法・認知行動療法」とは、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けする治療法です。

対象となるのは、

  • うつ病等の気分障害
  • 強迫性障害
  • 社交不安障害
  • パニック障害
  • 心的外傷後ストレス障害
  • 神経性過食症

の患者さんです。

なお、入院中の場合は受けることができません。

精神科以外の保険医療機関でも、

  • 認知療法・認知行動療法に習熟した医師が30分を超えて実施
  • 看護師による30分を超える面接+上記の医師による5分以上の面接が行われる

という条件を満たせば、一連の治療の「16回」に限り、保険が適用されます。

医師と公認心理師による小児特定疾患カウンセリングを受ける

「小児特定疾患カウンセリング」とは、特定の疾患を持つ乳幼児期や学童期の子どもを対象とするカウンセリングです。

また、子どもと一緒であれば家族もカウンセリングを利用することができます。

小児特定疾患カウンセリングの対象となるのは、以下のような障害や問題を抱えた子どもです。

  • 気分障害
  • 神経症性障害
  • ストレス関連障害
  • 身体表現性障害
  • 摂食障害など生理的・身体的要因に関連した行動症候群
  • 自閉症など心理的発達の障害
  • 多動性障害など行動や情緒の障害
  • 不登校の子ども
  • 虐待を受けていた、またはその疑いがある子ども

小児科または心療内科の医師の指示のもと、公認心理師が20分以上のカウンセリングを行った際に保険適用されます。

ただし、カウンセリングの初回は医師が担当し、公認心理師とカウンセリングを継続する場合にも3回に1回は医師がカウンセリングを行う必要があります。

グループカウンセリングを受ける

グループで受けるカウンセリングでも、保険が適用されるケースがあります。

■通院集団精神療法

「通院集団精神療法」は、精神疾患を抱えた方がグループでの対人関係で起こる相互作用の中で自分自身への理解を深めると共に社会適応や対人関係のスキルを高めることで症状の改善を図るものです。

「精神科」を掲げる保険医療機関で、「精神科を担当する医師」+「精神保健福祉士または公認心理師等」によって構成される2人以上が治療に当たることで保険適用されます。

■依存症集団療法

「依存症集団療法」は、

  • 薬物依存症
  • ギャンブル依存症

を抱えた方を対象としたグループでのカウンセリングです。

精神科医または、精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師によって構成される2名以上(そのうち1名は精神科医、看護師、作業療法士)が治療にあたることで保険適用されます。

なお、公認心理師は出来て間もない資格であるため、保険医療機関で働いてきた「臨床心理技術者」を当面の間、公認心理師とみなす〈みなし規定〉があります。

現時点では、

  • 公認心理師
  • 平成31年3月末まで保険医療機関で働いてきた臨床心理技術者
  • 公認心理師の受験資格保有者

の3者が「公認心理師」として扱われるため、実際のカウンセリング場面では公認心理師の資格を持っていない心理職に出会うこともあります。

この章で登場した精神分析や認知行動療法、グループでのカウンセリングについてもっと詳しく知りたい方はカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】もあわせてご覧ください。

保険適用外の高額なカウンセリング料金への対処法

無料カウンセリングを活用する

精神保健福祉センターや保健センターなどの公的な機関には、経済的な余裕がない人でも負担なく利用できる無料の相談窓口が設けられています。

また、小学生から高校生の子どもがいるご家庭であればスクールカウンセラーも利用できますし、企業で働いている人は社内に「企業内カウンセラー」が設置されていることも。

「お金がない」と諦めずに、まずは無料の相談窓口を探してみましょう。

低料金カウンセリングを利用する

私設のカウンセリングルームでは、1回5,000円~10,000円前後がカウンセリング料金の相場となっています。

しかし、

  • 大学附属の相談室
  • オンラインカウンセリング
  • グループカウンセリング

であれば、1回の費用を2,000円~3,000円程度に抑えることが可能です。

【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法では、お金の負担を軽減できるカウンセリングの方法の特徴やメリット・デメリットを解説しています。自分に合ったカウンセリング選びにぜひお役立てください。

まとめ

この記事では、多くのカウンセリングが保険適用外である理由とカウンセリングが保険適用されるための条件、保険適用されないカウンセリング費用を抑える方法について解説しました。

多くのカウンセリングが保険適用外になってしまうのは、

  • カウンセリングでは「同じ内容」で「同じ効果」を得るのは難しいから
  • カウンセラーとクライエントの両者で取り組むから

の2つが大きな理由となっています。

ただし、

  • 医師による通院・在宅精神療法
  • 医師による標準型精神分析療法
  • 医師や看護師による認知療法・認知行動療法
  • 医師と公認心理師による小児特定疾患カウンセリング
  • 通院集団精神療法や依存症集団療法といったグループカウンセリング

であれば、保険が適用されます。

また、保険適用されない場合でも、無料や低料金でのカウンセリングを上手に活用すればカウンセリング費用を抑えることができます。

カウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】

カウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】

「カウンセリングを受けよう!」と思って検索してみると、「どうもカウンセリングには色々な種類があるようだ」ということに気づきます。

自分に合ったカウンセリングを選ぶためには、カウンセリングの種類やその内容について知識を持ち、比較していく必要があります。

そこで、この記事では、

  • カウンセリングの形態
  • カウンセリングで用いられる療法

の種類について分かりやすく解説します。

「はじめてのカウンセリング選びで失敗したくない!」という方は、ぜひ記事をご覧ください。

カウンセリング形態の種類とは?

1対1でのカウンセリング

カウンセリングと聞いて、多くの人がイメージするのは1つの部屋でカウンセラーとクライエント(相談者)が対面して話すものではないでしょうか。

実は、それ以外にも

  • クライエントがカウチ(寝椅子)に横になって話すカウンセリング
  • ビデオチャットや電話で話すカウンセリング
  • メールやSNSなど「文章」によるカウンセリング

など、様々なスタイルでカウンセリングは実施されています。

1対1のカウンセリングのメリット・デメリットを表1にまとめました。

表11対1のカウンセリングのメリット・デメリット

カウンセラーには守秘義務がありますので、1対1のカウンセリングで話した秘密が外に漏れることはありません。

また、自分のペースでゆっくり話すこともできます。

一方で、相性やスキルといった面で自分に合わないカウンセラーに当たってしまうこともありますし、カウンセリングは1回5,000円~10,000円前後で料金設定されており、お金の面で負担が大きいといったデメリットもあります。

グループでのカウンセリング

カウンセリングは1対1で行われるものばかりではありません。

同じ悩みを抱えたクライエントが集まって行う「グループカウンセリング」もあります。

「個別に対応できない分、カウンセリングの効果が薄まるのでは?」と思われがちですが、同じ活動でも個別より集団の方が、悩みや問題の改善に高い効果を発揮するという研究結果が報告されています。

例えば、小橋ら(2012)*1の研究では、個別での運動に比べ、集団で運動をした方が充実感や満足感、集中力が高まることが明らかになっています。

また、吉村ら(2013)*2は、肥満に対する減量支援では“集団型指導は個別型指導と同等もしくはそれ以上の減量効果を有している”と述べています。

集団での取り組みは、個々人の悩みや問題を改善する後押しとなるのです。

グループでのカウンセリングのメリット・デメリットを表2にまとめました。

表2グループカウンセリングのメリット・デメリット

グループカウンセリングでは、1人では逃げ出したくなるような状況でも「同じ悩みを持った仲間がいる」ということが支えとなり、前向きに解決へと取り組めるメリットがあります。

また、グループカウンセリングは1回1,000円~3,000円が相場となっており、1対1のカウンセリングよりも低料金で受けられることも魅力です。

一方、1人ではないからこそ、他者に不安や劣等感を抱いている人は「こんなことを話すとバカにされるのではないか」などと考え、自分の気持ちを素直に話せなくなることがあります。

また、「自分だけが置いていかれるのは嫌だ」と考え、本当は改善していないのに、他者に合わせて「分かったフリ」「良くなったフリ」をしてしまう人もいます。

カウンセリングで用いられる療法の種類とは?

精神分析・精神分析的心理療法

精神分析とは、フロイト(Freud,S.)が創始した心理療法で、無意識に抑圧された空想や感情を意識化することで、生きづらさの解消を目指すものです。

カウンセリングと聞くと、悩んでいることを相談するイメージがありますが、精神分析では思い浮かんだことを自由に話す「自由連想」が求められます。

自由に語られる内容から無意識に抑圧されたものに気づくことで、自分なりの対処ができるようになるのです。

また、精神分析は、

  • 1回45分~50分
  • クライエントはカウチ(寝椅子)に横になって話す
  • 週4日以上の頻度で行う

といった設定で行われます。

しかし、現代の日本では仕事などもありますから、週4日も精神分析に時間を割ける人はそう多くありません。

そのため、週1回~3回の「精神分析的心理療法」が用いられるケースが多く見られます。

精神分析的心理療法では、カウチを使う場合もあれば、他のカウンセリングと同様にカウンセラーとクライエントが対面して行う場合もあります。

松本(2016)*3は、“精神分析は「そのひとの現実を見つめ苦痛に持ちこたえる力を高める」こと”を目指すと述べています。

つまり、精神分析を受けることで、自分自身を理解すると共に、今の苦痛だけでなくこれからの人生の苦痛に対しても自分なりに受け止め生き抜いていく力を育むことができるのです。

しかし、精神分析を終えるまでには長い年月が必要です。

そのため、「症状を今すぐになくしたい」という人には向かない療法だと言えるでしょう。

認知行動療法

認知行動療法は、出来事や状況に対してクライエントが持つ適応的ではない認知(≒考え方)に働きかけ、適応的なものに修正することで行動の変容を目指すものです。

例えば、「イライラしている人がいる」という出来事に対して、異なる認知を持つAさんとBさんがどのような行動をを取るかを図1にまとめてみました。

図1認知の修正で生じる行動の違い

左のAさんはイライラしている人を見て「そっとしておこう」という認知を持つだけで、あまり気にせずマイペースに過ごしています。

一方、右のBさんはイライラしている人を見て「私のせいかも」と不安になり、イライラしている人の顔色を見ながら苦しい時間を過ごすことになってしまうのです。

このBさんのような苦痛を感じやすい認知を修正し、もっと生きやすくするサポートを行うのが認知行動療法です。

今悩んでいることを整理し、「〇〇に取り組んでみましょう」と具体的に提案してもらえるため、「悩みの解決に向けて、何をすればいいかはっきり教えてほしい」という方にはおすすめです。

また、うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル*4によると、認知行動療法の面接は、

  • 1回30分以上
  • 原則として16回~20回程度(必要に応じてフォローアップ面接)

とされており、比較的短期間で終えられるのもメリットと言えるでしょう。

一方、認知行動療法では「ホームワーク」が課され、カウンセリング以外の時間でも、クライエント本人が問題に主体的に取り組んでいく必要があります。

「カウンセリングさえ受けていれば大丈夫でしょ」と受け身な人には不向きです。

来談者中心療法

来談者中心療法は、ロジャーズ(Rogers,C.R.)によって創始された心理療法で、パーソンセンタードアプローチ(PCA)とも呼ばれます。

ロジャーズは、「何が問題か」や「どの方向に行くべきか」といったことはクライエントだけが知っていると考えました。

そして、クライエントが本来持っている解決能力を引き出すためのカウンセラーの3条件を示しました。

それが以下の3つです。

自己一致:自分自身にも嘘をつかず、ありのままでいること

受容:クライエントを良い/悪いで判断せず、そのまま受け入れること

共感的理解:クライエントが体験する感情・感覚・意味などを自分自身のことのように知覚すること

自分の考えを整理したい人、自分らしい生き方を見つけたい人に適していますが、「問題を解決してほしい」と思って相談に行くと「役に立たない」という不満感を抱く結果となってしまいます。

まとめ

この記事では、カウンセリングの形態と療法について解説しました。

カウンセリングの形態としては、

  • 1対1でのカウンセリング
  • グループでのカウンセリング

の2つに大別することができます。

また、カウンセリングで用いられる代表的な療法である、

  • 精神分析・精神分析的心理療法
  • 認知行動療法
  • 来談者中心療法

の3つについて解説しました。

それぞれのメリット・デメリットも合わせて紹介していますので、自分に合ったカウンセリングを見つける参考にしてみてください。

参考文献

*1 小橋康昌・佐山絵梨・河辺信秀(2012)個別運動と集団運動が運動時の心理状態に与え
る影響-フロー理論に基づく心理状態の評価- 理学療法学 39 p949.
*4 うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル 厚生労働科学研究費補助金ここ
ろの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」
引用文献

*2 吉村英一・難波秀行・松田拓朗・北村実穂子(2013)集団型指導と個別型指導による減
量支援の効果の比較 健康支援 15(2) pp1-6.
*3 松木邦裕(2016)こころに出会う 臨床精神分析 その学びと学び方 創元社

【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法

【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法

「1人で悩みを抱えてはいけない」とよく言われますが、「相談できる人が身近にいない」という方も多いでしょう。

そんな時に活用したいのが「カウンセリング」です。

しかし、カウンセリングは1回5,000円~10,000円前後が相場。

お金に余裕がない人にとっては、かえって心や生活の負担となってしまうことも。

そこで、この記事では、

  • 無料で受けられるカウンセリング
  • 低料金で受けられるカウンセリング

の2つについて、サービスの概要とそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

お金がない場合に試したい無料カウンセリング

公的機関のカウンセリング

公的機関では、誰でも無料で受けられるカウンセリングが用意されています。

カウンセリングが受けられる代表的な機関としては「保健所・保健センター」「精神保健福祉センター」「児童相談所」「男女共同参画センター」「教育相談所」が挙げられます。

ここでは、

  • 公的機関の概要
  • 対象としている相談内容
  • メリットとデメリット

をまとめました。

保健所・保健センター

保健所は、都道府県・政令指定都市・中核都市などに設置されている支援機関です。

また、保健センターは、市区町村に設置されています。

どちらも地域住民の保健福祉・生活環境・健康をサポートしています。

■対応できる相談内容

  • こころの健康について
  • 子育てや子どもの発達に関する悩み
  • 依存症についての悩み
  • 精神疾患に関する相談

■メリット

  • 対面だけでなく、メールや電話で相談できるところも多い
  • 必要に応じて医療機関の紹介を受けられる

■デメリット

  • 予約がかなり先まで埋まっているところがある
  • 平日9時~17時頃にしか利用できない
  • 継続したカウンセリングを受けることは難しい

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、各都道府県と政令指定都市に設置されている支援機関です。

精神保健や精神障害者の福祉に関する知識の普及・調査研究・相談及び指導などを行っています。

■対応できる相談内容

  • こころの健康について
  • 精神医療に関わる相談
  • 依存症についての悩み
  • 思春期や青年期の相談

■メリット

  • 対面だけでなく、メールや電話で相談できるところも多い
  • 当事者グループや家族会による集団カウンセリングに参加できる

■デメリット

  • 予約がかなり先まで埋まっていることがある
  • 平日9時~17時頃にしか利用できない
  • 継続したカウンセリングを受けることは難しい
  • 基本的に都道府県に1つあるため、精神保健福祉センターが近くにないこともある

児童相談所

児童相談所は、各都道府県に数か所設置されています。

18歳未満の子どもや保護者からの相談に応じると共に、それぞれに適した指導や援助を実施しています。

■対応できる相談内容

  • 子どものしつけに関する悩み
  • 子どもの発達や疾患などの悩み
  • 家庭内暴力や非行などの問題行動について
  • 不登校について

■メリット

  • 必要に応じて継続した支援が受けられる
  • 療育手帳の申請や一時保護など、具体的なサポートにつないでもらいやすい

■デメリット

  • 予約がかなり先まで埋まっていることがある
  • 平日9時~17時頃にしか利用できない

男女共同参画センター

男女共同参画センターとは、男女が共に参加・参画できる社会の実現を目指した事業を展開する機関です。

男女共同参画についての活動支援や情報提供、妨げとなる問題への相談対応などを行っています。

■対応できる相談内容

  • 女性の悩み全般
  • DV被害や性被害について
  • 女性のキャリアについて

■メリット

  • 対面だけでなく、メールや電話で相談できるところも多い
  • センターによっては土日にカウンセリングを実施している

■デメリット

  • 予約がかなり先まで埋まっていることがある
  • 主に女性を対象としているため、男性は相談できない(男性を対象とするカウンセリングを用意しているセンターもある)

教育相談所

教育相談所とは、幼稚園から高等学校までの子どもを対象に、学校生活をはじめとする悩みに対する支援機関です。

子ども本人だけでなく、保護者や学校関係者からの相談にも対応しています。

■対応できる相談内容

  • 子どもの性格や行動について
  • 子どもの友人関係に関する悩み
  • 子どもの発達に関する悩み
  • 不登校やいじめなど学校生活の問題について

■メリット

  • 対面だけでなく、メールや電話での相談が可能となっている相談所も多い

■デメリット

  • 就学していない子どもや私立学校に通う子どもは対象外
  • 予約がかなり先まで埋まっていることがある
  • 平日9時~17時頃にしか利用できない

公的機関は設置している自治体によって、サービス内容が異なります。

利用前にお住まいの自治体が提供しているサービスをしっかり確認しておきましょう。

学校や会社が用意したカウンセリング

小学校・中学校・高校では「スクールカウンセラー」、大学では「学生相談室」が用意されており、児童生徒・学生・保護者・教職員からの相談に専門家が対応しています。

また、最近では幼稚園でも、幼児の発達の悩みや子育ての不安などの相談に対応する「キンダーカウンセラー」が配置されつつあります。

また、会社でもメンタルヘルスの悩みを相談できる「企業内カウンセラー」を設置するところが増えています。

これらのカウンセリングは学校や会社の関係者であれば、無料で利用できます。

また、学校内や社内で相談できるため、通いやすいのもメリットと言えるでしょう。

その一方で、完全な外部機関ではないため「もしかしたら相談していることが他の人に知られてしまうのではないか」という不安から、相談しづらさを感じてしまうデメリットもあります。

お金がないときに低料金で受けられるカウンセリング

医療機関のカウンセリング

精神科や心療内科といった医療機関のカウンセリングであれば、カウンセリング料金に保険が適用されるメリットがあります。

ただし、そのためには、

  • そもそもカウンセリングが可能な医療機関であること
  • 医師が「治療にカウンセリングが効果的だ」と判断すること

の2つの条件を満たさなければなりません。

カウンセリングを受けるまでのハードルが高いのがデメリットと言えるでしょう。

大学附属相談室でのカウンセリング

臨床心理士や公認心理師を養成する大学院では「相談室」が設置されており、大学院生が教員の指導を受けながら、カウンセリングを実施しています。

私設のカウンセリングルームでは、1回5,000円~10,000円前後が相場となっているのに対し、大学附属相談室では1回2,000円~3,000円程度と低料金でカウンセリングを受けられます。

ただし、資格保有者や実務経験者と比べると大学院生の知識や経験は乏しいため、「しっかりと専門性を備えた人に相談したい」という方には不向きです。

オンラインカウンセリング

オンラインカウンセリングとは、インターネットを介して行われるカウンセリングを指します。

例えば、

  • ビデオカウンセリング:ビデオチャットアプリを用いたカウンセリング
  • 電話カウンセリング:音声通話アプリを用いたカウンセリング
  • メールカウンセリング:メールでのやり取りを行うカウンセリング
  • メッセージカウンセリング:チャットアプリを用いて行うカウンセリング

などが代表的です。

オンラインカウンセリングでは、カウンセリングルーム運営に必要な家賃や光熱費などが不要なため、その分、料金が安く抑えられる傾向が見られます。

一方、1,000円前後の低価格でカウンセリングを提供しているサービスもありますが、そのカウンセラーの保有する資格を見ると、数か月のセミナー受講で取得できるような資格だった…ということがあります。

大学院で実践的な訓練を重ね、資格試験に合格してやっと取得できる公認心理師や臨床心理士に比べると、専門性には不安が残ります。

安さだけでなく質を求めるなら、公認心理師や臨床心理士資格を保有したカウンセラーによるオンラインカウンセリングを選ぶようにしましょう。

特に公認心理師と臨床心理士の両方を取得したダブルライセンスのカウンセラーなら安心です。

グループカウンセリング

グループカウンセリングは、同じ悩みを抱えた人たちがお互いに悩みを共有することで、カウンセラーはもちろん、参加者からも共感やアドバイスを貰える場です。

1回1,000円~3,000円程度と料金が安いだけでなく、同じ悩みを抱えた人に出会えるため、「自分だけじゃないんだ」と安心感を抱けるのも大きなメリットとなっています。

一方、

  • 他者を気にして素直な気持ちを話せない
  • 発言の機会を他者に譲ってしまう
  • 自分にぴったりのアドバイスが欲しい

という人には、多人数であることのデメリットが目についてしまうでしょう。

まとめ

この記事では、お金がないときに試したい無料カウンセリングと低料金カウンセリングについてご紹介しました。

無料でカウンセリングを受けたい場合は、

  • 公的機関のカウンセリング
  • 学校や会社が用意したカウンセリング

の利用を検討してみましょう。

また、低料金で受けられるカウンセリングとしては、

  • 医療機関のカウンセリング
  • 大学附属相談室でのカウンセリング
  • オンラインカウンセリング
  • グループカウンセリング

という4つが挙げられます。

それぞれのメリットとデメリットがありますので、よく検討して自分に合ったものを見つけてくださいね。