パートの人間関係がめんどくさい理由と対処方法【良い・悪い】

パートの人間関係がめんどくさい理由と対処方法【良い・悪い】

自分の都合に合わせて短い時間で働けるパート勤務は、「空き時間を有効に使える」「正社員よりも気楽」といったメリットもありますが、小さな人間関係の中で「めんどくさい」と感じることにもたくさん出会います。

せっかく見つけた条件の良いパートを人間関係で辞めてしまうのは残念ですよね。

そこで、この記事では「パートの人間関係がめんどくさい理由」と「良い対処方法」について解説します。

また、パートの人間関係は間違った対応をしてしまうと、さらにこじれてしまう危険性も。

この記事では、絶対NGの「悪い対処方法」についてもご紹介しますので、「人間関係に悩まずパートの仕事に集中したい!」という方は、ぜひご覧ください。

パートの人間関係がめんどくさい理由

パートを選ぶ理由が人によって異なるから

「パートは仕事なんだからお金を稼ぐことが目的なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。

芳崎(2018)*1によると、パートで働く人は

  • 正規雇用での職が見つからなかったなど不本意な理由でパートを選ばざるを得なかった人
  • 「都合の良い時間に働きたい」「家事・育児と両立したい」などの理由で、自ら望んでパートを選んでいる人

の2パターンに大別され、自ら望んでパートを選ぶ人がパート全体の8割以上を占めることが示されています。

正規雇用でバリバリ働きたかった人は「なんでパートで満足できるの?」と周囲を見てイライラするかもしれません。

また、自ら望んでパートを選んだ人たちは「そんなに頑張らなくても…」と困惑することもあるでしょう。

このようにパートを選んだ背景の違いで生まれるすれ違いによって、めんどくさい人間関係が生まれることがあります。

年齢や生活スタイルなどによる価値観の違いがあるから

パートで働く人の違いは目的だけではありません。

年齢や生活スタイルもさまざま。

そのため、パート同士の関わりの中で

  • 未婚女性に対して、既婚女性が「早く結婚した方がいい」「子どもを産んだ方がいい」と口出しする
  • 子育て中の女性に対し、子どものいない女性が「いつも子どもを理由に休まれると困る」「お母さんが家にいないなんて子どもが可哀想」など文句を言う

といった価値観の押し付けが発生することがあります。

また、この価値観の押し付けは「あなたのため」というスタイルが取られることが多く、安易に否定すると「あなたのためを思って言ってあげたのに」とあなたが悪者扱いされてしまう危険性もあります。

宮木(2015)*2の調査では、非正規社員の約半数が、“職場では「理解しあうこと」より「衝突しないこと」の方が重要だと思う”と回答しており、いかにパートを含む非正規社員が相手を刺激せず、受け流していくかに心を砕いているかが分かります。

しかし、自分の気持ちを抑えて対応しなければならないことは人間関係のめんどくささを加速させる大きな要因になってしまいます。

パートの中での人間関係がすでに出来上がっているから

パートとして就職すると、すでに出来上がっている人間関係の中に入っていくことになります。

仲良く働いている人たちの中に新しく入っていくだけでも気を遣います。

それなのに、パート同士でいがみ合っているような関係の中に入らなければいけない可能性もあるのです。

新しい仕事を覚えるのも大変なのに、周りのパートの顔色や力関係までうかがいながら行動しなければいけないとなれば、「めんどくさい!」と感じるのも当然と言えるでしょう。

また、パート勤務をしている人の大多数を構成する「女性」にも人間関係をめんどくさくする要因があります。

女の職場の人間関係がめんどくさい理由と対処方法【良い・悪い】で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

パートのめんどくさい人間関係への良い対処方法

「〇〇さんはそう思うんですね」と返していく

「母親は家庭にいないとねぇ」など、自分とは異なる価値観を押し付けられ、同意を求められることがあります。

安易に同意してしまえば、その人が「母親は家庭にいなきゃいけないって、あの人も言ってたわよ!」と言いふらし、いつの間にか自分までもが価値観を押し付ける側に立たされてしまうことも。

そんな時におすすめなのが「〇〇さんはそう思うんですね」「〇〇さんの意見はそうなんですね」と返答する方法。

これなら、相手の価値観を否定せず、自分の価値観も曲げずに済みますし、「あの人もそう言った」という言質を取られる心配もありません。

ただし、「〇〇さんはそう思うんですね」と早口で返してしまうと、突き放した印象を与えてしまい逆効果。

言葉だけではなく、非言語のコミュニケーションも大切にしてみましょう。

  • 相手の目を見る
  • ゆっくりしたペースで話す
  • 聞き取りやすい適度な声量で話す

以上の3点に注意して伝えると、「ちゃんと聴いてもらえた」という満足感を与えやすくなります。

パートで達成したいことを見つめ直す

めんどくさい人間関係に巻き込まれる人は、「自分」に軸がないために、他者に振り回される傾向があります。

そのため、「自分はパートで何を達成したいのか」を見つめ直し、自分の軸を作っていくこともめんどくさい人間関係に対処する上で大切です。

例えば、「この職場でスキルを身につけたい」という方は、そのスキルを身につけるために何をすべきかをリストアップしてみましょう。

そのリストを作る中で「職場で良好な人間関係を築く必要がある」とはっきりすれば、めんどくさい人間関係の中でも割り切って行動できるでしょう。

また、リストアップ作業を経て「スキル習得と人間関係は関係ない」と分かったなら、人間関係はほどほどに、仕事をこなすことに集中してもいいかもしれません。

パートのめんどくさい人間関係への悪い対処方法

気にいられるために悪口や噂話に乗ってしまう

パートの人間関係がギスギスし始めると、派閥が生まれ、「××さん、いつも子どもを理由に休んで迷惑よねぇ」など、他の人の悪口を聞かされることがあります。

それに対して面倒だからと「そうですね」と同意してしまえば、「××さんが迷惑だって、あの人も言っていた」と、あなたが悪口を言ったかのように言いふらされ、さらにあなたを取り巻く人間関係がこじれてしまいます。

1人で抱え込んでしまう

パートでめんどくさい人間関係にストレスを感じているのに「パートの時間だけだから」と1人で抱え込むのも良くありません。

我慢して笑顔で対応し続けるほど、めんどくさい人間関係にどんどん巻き込まれて逃げ出せなくなる場合もあります。

また、ストレスで心や身体の調子を崩してしまえば、完全に回復するまでに長い時間がかかります。

パートで稼いだお金よりも治療費の方が高くついてしまっては本末転倒ですよね。

  • 家族や友人
  • 上司や社内の相談窓口
  • 外部の専門家

などに抱え込んでいる悩みを打ち明けてみてください。

自分では「どうしようもない」と思っていたことでも、思わぬ解決方法が見つかるかもしれません。

まとめ

この記事では「パートの人間関係がめんどくさい理由」と共に、「パートのめんどくさい人間関係への良い対処方法と悪い対処方法」についてお話ししました。

パートの人間関係がめんどくさい理由には、次の3つがあります。

  • パートを選ぶ理由が人によって異なるから
  • 年齢や生活スタイルなどによる価値観の違いがあるから
  • パートの中での人間関係がすでに出来上がっているから

また、パートのめんどくさい人間関係への良い対処方法については、

  • 「〇〇さんはそう思うんですね」と返していく
  • パートで達成したいことを見つめ直す

の2つをご紹介しました。

また、パートのめんどくさい人間関係に対しては、

  • 気に入られるために悪口や噂話に乗ってしまう
  • 1人で抱え込んでしまう

といった対処方法を取ると状況を悪化させてしまうため、注意が必要です。

参考文献

*1 芳崎文香(2018)女性はなぜ非正規雇用労働を選択するのか-諸外国との比較を通して
- 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 19 pp35-42.
*2 宮木由貴子(2015)全国の大企業・中小企業勤務者 1,440 名に聞いた『職場でのコミ
ュニケーションの現状と課題』~性・雇用形態・職位の違いによるコミュニケーションギャッ
プ~ 第一生命保険株式会社ニュースリリース(2015年3月20日)

女の職場の人間関係がめんどくさい理由と対処方法【良い・悪い】

女の職場の人間関係がめんどくさい理由と対処方法【良い・悪い】

「ファースト・クラス」「凪のお暇」など、女性社員同士のドロドロした人間関係が描かれたドラマや漫画作品は数多く存在します。

これらを観て「うわ~女の職場ってめんどくさいんだなぁ」と思ったことはありませんか?

また、実際に女性ばかりの職場で働く中で、「めんどくさい」と感じる場面に出会った方もいるでしょう。

実は、女の職場の人間関係がめんどくさい理由は基本的に3パターンに分けることができます。

そして、めんどくさい理由を理解した上できちんと対応できれば、ドロドロした人間関係から適度に距離を置いて働くこともできるのです。

そこで、この記事では、

  • 女の職場の人間関係がめんどくさい理由
  • 女の職場でのめんどくさい人間関係への良い対処方法
  • 女の職場でのめんどくさい人間関係への悪い対処方法

の3つを解説します。

女の職場での人間関係がめんどくさい理由

噂がすぐに広まってしまうから

女性ばかりの職場では、「昨日のAさんとのトラブルが今朝にはもう噂になっていた」というように、噂話がすぐに広まってしまいます。

Aさんとのトラブルは、本来なら自分とAさんとで解決していくべきものです。

それにも関わらず、噂が広まると全く関係のない人たちまで「Aさんって酷いよね」と言い始めたり、逆に自分の悪口を広めたりと、さも自分やAさんの気持ちを代弁しているかのように好き勝手なことを言い始めます。

  • Aさんとのやり取りだけで事態を収拾できなくなること
  • 思ってもないことを自分の気持ちかのように代弁されること

が繰り返されると「めんどくさい」と投げやりな気持ちになってしまいます。

グループでの行動が求められるから

ランチからお手洗いまで、女性はグループで一緒に行動することを好みます。

そのため、「みんなで行動するのは面倒だな」「たまには1人になりたい」と感じることも。

実は先ほどご説明した噂がすぐに広まってしまう背景にも、女性が持つ「グループで行動を好む傾向」が影響しています。

松並(2014)*1によると、女性は男性よりも“友人や重要な他者に依存し他者と融合しようとする傾向”が強く見られると同時に、“他者と相互依存しつつ他者との間に協調的な関係を築くことを志向する傾向が見られること”が明らかになっています。

つまり、女性には所属するグループのメンバーとは、できるだけ一体となることを求める気持ちがあるのです。

そして、集団のつながりをさらに強固にするのが「スケープゴート」の存在です。

廣澤(2004)*2はスケープゴートについて“ある集団に属する人がその集団の正当性と力を維持するために、特定の人を悪者に仕立てあげて攻撃する現象”と解説しています。

噂によって共通の敵である「スケープゴート」を作り上げれば、「自分たちは正しい」と仲間意識を高めることができるのです。

そのため、いつも女性は噂話によってスケープゴートを探し、みんなで一緒になって攻撃することを繰り返しているのです。

マウンティングに巻き込まれるから

女性にはグループでのつながりを大切にする一方で、「自分を認めてほしい」という承認欲求もあります。

その欲求を満たすのが、自分の優位性を示す行為である「マウンティング」です。

ただし、女性の場合、「グループのつながりを破壊したくない」という気持ちもありますので、あからさまに「自分の方が上」と主張する訳ではなく、暗示的にマウンティングを行います。

例えば、市川(2018)*3は『独身って気楽でいいなあ~』『子ども産んでない人は、あんまりスタイルが崩れなくて羨ましい』といった言葉を暗示的マウンティングの例として挙げています。

これらは「いいなあ」や「羨ましい」と相手を賞賛する形式を取っていますが、伝えようとしているのは「私は結婚している」「私は子どもを産んでいる」という優位性を示す内容です。

女性同士の関係は、水面下でのマウンティングを繰り広げつつ、表面的には笑顔で接するというややこしいコミュニケーションのもとに成り立っているため「めんどくさいなぁ」と思うことも多いのです。

女の職場でのめんどくさい人間関係への良い対処方法

仕事での信頼を勝ち取る

まずは「困ったらこの人」と思ってもらえるくらい、仕事での信頼を勝ち取るよう心掛けましょう。

自分の仕事で成果を上げることはもちろん、他の人の仕事も積極的にサポートすることも大切。

周囲の女性から「この人がいると助かる」というポジティブな評価を得られれば、万が一悪い噂が広まっても、あなたに肯定的なイメージを持っている女性たちは「そんな人じゃない」と、その噂に左右されなくなります。

また、仕事で優れた成果を出すことで、自信や自己肯定感を高める効果も期待できます。

他の人からのマウンティングも「でも、私はあなたより仕事ができるのよ」と心の中で呟けば、自信に満ちた笑顔でさらりと流すことができるでしょう。

「ひとりが好き」というキャラを確立する

女性は「女性はグループでの行動を求めているものだ」「女性はひとりだと寂しいものだ」という価値観を持つ傾向があります。

そのため、良かれと思って、あなたをランチなどに誘ってくれる人も多いのです。

それが面倒に感じられているなら、いっそ「ひとりが好き」というキャラを確立してみましょう。

「ひとり旅」や「ひとりカラオケ」など「ひとりで楽しんでいる」という話題を積極的に出してみるのです。

周囲の女性が「ひとりでも楽しめる人なんだ」と認識してくれれば、「今日はごめんね」と集まりを断っても、「あの人はひとりが好きだから」と受け入れてくれるでしょう。

仕事上の関係と割り切って礼儀正しく接する

内心「めんどくさい」と感じていても、「これも仕事の一環だ」と割り切って、誰にでも礼儀正しく接してみましょう。

人には、他者からされたことを同じように返したくなる「返報性の法則」が働いています。

そのため、こちらが礼儀正しく丁寧に接すれば、相手もあなたに対して無礼な態度は取りづらくなります。

また、礼儀正しい態度や言葉遣いは「他人行儀」と呼ばれるように、相手を自分の懐に入り込ませず、他人の距離を維持する効果も期待できます。

そのため、グループでの行動や噂に振り回されるのを防ぐこともできるのです。

女の職場でのめんどくさい人間関係への悪い対処方法

めんどうな行動をする女性を否定する

めんどうな行動をする女性を否定すると、その女性は「あの人から悪口を言われた!」と言いふらすことが予想されます。

その結果、あなたは職場のスケープゴートとなり、孤立してしまう可能性が高いのです。

プライベートなら関係が悪化すれば、関わらないことも可能ですが、職場ではそうはいきません。

孤立すると仕事にも支障をきたします。

いくらめんどくさいからと言って、相手を真正面から否定するのではなく、上手にいなすことを考えましょう。

嫌だからと言ってコミュニケーションを取らない

めんどくさくて嫌だという理由で、コミュニケーションを取らなくなるのもNG。

コミュニケーションを取らず、相手を無視するという態度は「あなたと話す気はない」「あなたが嫌いです」という無言のメッセージを伝えることになります。

もちろん、そんなメッセージを受け取った相手もあなたが嫌になるでしょう。

プライベートであれば、嫌な相手に「嫌」と言うことも無視することも自由です。

しかし、職場はチームで協力して成果を挙げることを目的とする場所。

自分のワガママで「もう話さない」を通すと、チームでの協力が難しくなりますし、職場の雰囲気も悪くなります。

そして、そんなあなたの方が「めんどくさい人」になってしまいかねないのです。

無理に親しくする必要はありませんが、最低限のコミュニケーションを取れるようにしておきましょう。

まとめ

この記事では、女の職場の人間関係がめんどくさい理由と良い対処方法・悪い対処方法について解説しました。

女の職場での人間関係がめんどくさい理由としては、

  • 噂がすぐに広まってしまうから
  • グループでの行動が求められるから
  • マウンティングに巻き込まれるから

の3つが挙げられます。

また、女の職場でのめんどくさい人間関係への良い対処方法として、

  • 仕事での信頼を勝ち取る
  • 「ひとりが好き」というキャラを確立する
  • 仕事上の関係と割り切って礼儀正しく接する

という3つの方法をご紹介しました。その一方で、

  • めんどうな行動をする女性を否定する
  • 嫌だからと言ってコミュニケーションを取らない

といった対処をすると、さらに状況が悪化してしまうので注意が必要です。

引用文献

*1 松並知子(2014)自己愛の病理性の性差-他者への依存と自己誇大化 パーソナリティ
研究 22(3) pp239-251.
*2 廣澤愛子(2004)‘スケープゴート’に関する臨床心理学的ー考察 愛知教育大学教育実
践総合センター紀要 7 pp319-327.
参考文献

*3 市川真未(2018)《賞賛》が「マウンティング」に作用する条件 日本語用論学会第21
回大会発表論文集 14 pp2-7.

【まとめ】人間関係がめんどくさい原因と対処方法【良い・悪い】

【まとめ】人間関係がめんどくさい原因と対処方法【良い・悪い】

「人間関係ってめんどくさい…」と感じることはありませんか。

毎回「めんどくさい」と感じてしまうと、人と関わるのが億劫になり、仕事や日常生活にまで支障をきたすことも。

そこで、この記事では、人間関係がめんどくさい原因をご説明すると共に、そんなめんどくさい人間関係への良い対処方法を解説します。

また、めんどくさい人間関係は安易に対応すると、かえって関係をこじらせてしまう危険性もあります。

そこで、絶対に避けたい悪い対処方法についてもご紹介しますので、あわせてご覧ください。

すでに人間関係がめんどくさい人、今後めんどくさい人間関係に巻き込まれるのを避けたい人が、明日からどうすればいいかが具体的に分かります。

人間関係がめんどくさい原因

きずなとほだしは紙一重だから

高木ら(2006)*1は大学生とその親族・友人に対して「絆」という言葉を示し、“これはどういうものか、どのようなことが「絆」なのか”を記述してもらう研究を行いました。

その結果、絆には「信頼」「愛情」といったプラスの感情がある反面、「時には煩わしい」「どろどろした」といったマイナス感情も含まれることが明らかになっています。

そもそも、実は「絆」という漢字も、読み方によって、プラスの意味かマイナスの意味かが変わります。

プラスの意味を持つのは、ご存じのとおり「絆(きずな)」です。

そして、マイナスの意味を持つのが「絆し(ほだし)」です。

「ほだし」とは元々「馬の脚をつなぎ留める縄」や「手かせ・足かせ」のこと。

そこから転じて「人の自由を妨げるもの」を意味する言葉になっています。

これらは紙一重の存在で、時と場合によって相手との強い「きずな」が「ほだし」に感じられることもあります。

例えば、両親から子どもへの「お前ならできる」という言葉に対し、「親は自分を信じてくれている」と嬉しく思う子どももいれば、「本当はやりたくないけど親が言うならやるしかない…」と苦しく感じる子どももいます。

嫌いな相手でなくても、時に「めんどくさい!」と感じてしまうのは、「きずな」が「ほだし」になってしまったからなのです。

承認欲求があるから

人は誰しも「他者から認められたい」「他者から尊敬されたい」という「承認欲求」を持っています。

承認欲求についての詳しい解説は人間関係をリセットしたいと思っている人に伝えたいことにまとめていますので、興味がある方はぜひご覧ください。

そして、承認欲求が強すぎると誰からも認められようと、相手によって自分を演じ分ける「八方美人」の状態に陥ります。

その結果、「あの人、誰にでもいい顔するよね」など悪口を言われて、かえってめんどくさい状況になることも。

また、相手の評価を気にするあまり、相手がちょっとあくびをしただけで「私の話に興味がないのかな」「つまらない話をしてしまったかも」と不安になるなど、ささいなことでいちいち動揺してしまうため、心が疲れて「何もかもめんどくさい」と投げやりになってしまいます。

自分の思い通りにならないから

人には他者を操作したい気持ちがあります。

例えば、寺島ら(2007)*2によると、「自分は有能だ」という誇大的な自己イメージを持っている人は、自分がいかに優れているかをアピールすることで、相手から注目や賞賛を受けようとします。

また、逆に自尊心が低い人は自分の弱さをアピールして、他者からのケアを受けられるように仕向けます。

しかし、これらの操作は必ずしも成功するとは限りません。

どれだけ有能さをアピールしても、「この人鼻につくなぁ」と嫌がられて、全く賞賛してもらえないこともありますし、弱々しく見せても「もっと元気出さなきゃ」と叱責されることもあります。

自分の思い通りにならないことが続くと、「人間関係ってめんどくさい」という思いが強くなってしまうでしょう。

めんどくさい人間関係への良い対処方法

自分と他者をしっかり区別する

めんどくさい人間関係に共通するのが、自分に許されている権利を見失っているということ。

自分が何を考え、何を感じ、どんな行動をするかは、本来であればその人自身の権利です。

しかし、ほだしや承認欲求があると、その権利の一部を他者に委ねてしまいます。

また、自分の思い通りにしたがる人は、他者に無理やり「こう考えろ」「こう感じろ」「こうしろ」と自分に許された権限を簡単に踏み越えようとしてしまいます。

このように、お互いの権利を無視した瞬間、人間関係はめんどくさいものになってしまいます。

めんどくさい人間関係を予防するには、自分と他者を区別することが大切です。

自分で自分を認める

自分に自信がない人は、自分自身では「自分は認められている」「自分は大丈夫」と確信を持てないため、常に他者から「あなたを認めている」「あなたなら大丈夫」と評価されることを求めます。

しかし、他者の評価でしか自分を認められないと、「他者からどう見られているか」「他者に気に入られるにはどうすればいいか」ばかりが気になり、他者の欲求や気持ちに応えるのに必死で、自分の欲求や気持ちは二の次になってしまいます。

その結果、ストレスを溜め込み「めんどくさい」と投げやりになってしまうのです。

まずは自分が感じる「やりたい」「したくない」などの気持ちを素直に認めてみてください。

そして、簡単なことから自分の欲求や気持ちに従ってみましょう。

例えば、「眠い」と思ったら寝て、「嫌だ」と思ったらやめる…というような感じです。

そのように自分の気持ちのままに1つ1つ実践していくと、「自分にもできる」という自信が芽生え、他者の評価がなくても平気になってきます。

自分の意見を明確に伝える

「こうしてほしい」や「それは嫌だ」という気持ちを言葉にせず、相手に察してもらうことを期待すると、うまく伝わらなかった時に「どうして分かってくれないの!」と勝手に不満を抱えたり、自分の気持ちを飲み込んで我慢することになったりします。

その結果、大切な人との「きずな」も「ほだし」に感じられ、めんどくさくなります。

大切な相手だからこそ、自分の気持ちや意見を言葉ではっきりと伝えるようにしましょう。

人間関係がしんどい理由とそんなときに試してほしい5つのことでは、自己主張の方法について詳しくまとめていますので、こちらもぜひお読みください。

めんどくさい人間関係への悪い対処方法

他者からの関わりを無視する

人間関係がめんどくさいからと言って、他者からの関わりを無視するのは絶対NG。

無視する側は「悪口言った訳じゃないし、大して悪いことはしていない」という感覚ですが、無視された側は「この人は私の存在を認めていない」「この人は私を大切に扱うつもりがない」と感じます。

そして、もう二度と話しかけなくなるだけでなく、親しい人が同じ傷つきを受けないよう、「あの人は無視してくるから気をつけた方がいい」と忠告を広めます。

そのため、無視をしてしまうと、その相手だけでなく、周りの人全てから冷ややかな目で見られ、距離を置かれてしまう可能性があるのです。

自分を押し殺してイエスマンになる

「相手ともめるのは、めんどくさいから」と、気に沿わないことにも「イエス」と言い続ける「イエスマン」になるのもおすすめできません。

「あの人は何でもイエスと言ってくれる」と評価されると、あなたを利用したい人ばかりが集まり、結局はめんどくさい人間関係に巻き込まれる危険性が高まってしまうためです。

まとめ

この記事では「人間関係がめんどくさい原因」と「めんどくさい人間関係への良い/悪い対処方法」について解説しました。

人間関係がめんどくさい原因には、

  • きずなとほだしは紙一重だから
  • 承認欲求があるから
  • 自分の思い通りにならないから

の3つがあります。

また、めんどくさい人間関係への良い対処方法としては、

  • 自分と他人をしっかり区別する
  • 自分で自分を認める
  • 自分の意見を明確に伝える

という3つの方法を解説しました。

めんどくさいと感じる他者からの関わりを無視したり、逆に自分を殺してイエスマンになったりすると、さらに関係をめんどくさくさせてしまう可能性がありますので、注意しましょう。

参考文献

*1 高木修、戸口愛泰(2006)「絆」の光と影:「絆」のイメージとその構造に基づく「絆
」尺度の作成 関西大学社会学部紀要 37(2) pp3-28.
*2 寺島瞳、小玉正博(2007)他者を操作することに影響を及ぼす個人内要因の検討 パー
ソナリティ研究 15(3) pp313-322.

【まとめ】人間関係のリセット症候群について心理学の専門家が解説

【まとめ】人間関係のリセット症候群について心理学の専門家が解説

「つながり」や「きずな」など、人間関係についての言葉はポジティブに語られがちです。

しかし、最初は心地良いつながりだったはずなのに、気がつくと自分の自由を奪う「手かせ」や「足かせ」になっていることもあるのです。

人間関係のネガティブな面が大きくなると「もう自由になりたい!」と、一気に人間関係を絶つ「人間関係リセット症候群」に陥ってしまう人がいます。

この記事では

  • そもそも人間関係リセット症候群とは何か
  • 人間関係リセット症候群になりやすい人の特徴
  • 人間関係リセット症候群にならないための対処法

の3つをご紹介します。

「もしかして私も人間関係リセット症候群かも?」と感じている方は、ぜひ読んでみてください。

リセットしたくなるほど苦しい人間関係を改善するヒントを得られます。

人間関係リセット症候群とは?

突然連絡や消息を絶ってしまう

人間関係リセット症候群とは、「ある日突然にこれまでの人間関係を捨ててしまうこと」を指します。

例えば、

  • 電話やメールなどの連絡先を変更・着信拒否する
  • SNSのアカウントを削除したり、友人をブロックしたりする
  • 引越しして住所を知らせない
  • 急に仕事を辞めてしまう

といった行動を取ったことはありませんか?

あるいは、そういう人は身近にいませんか?

それはリセット症候群の兆候かもしれません。

医学的な病気ではない

「症候群ってことは病気なの?」と思われるかもしれませんが、人間関係リセット症候群は医師から診断を受けるような病気ではなく、「なぜか突然人間関係を捨てたくなる人たち」を分かりやすくまとめた表現でしかありません。

そして、人間関係を捨てたくなる背景には、1人1人異なった原因が隠れているため、「この薬を飲めば治る」「この治療法で治る」といった治療はできません。

そのため、人間関係リセット症候群に悩んでいる方は、カウンセラーの力を借りるなどして、自分自身の心と向き合い、原因を解明・対処していくことが必要です。

人間関係リセット症候群になりやすい人

他者に合わせて自分を使い分けている人

「誰からも好かれたい」という気持ちが強い人は、ありのままの自分の考えや感情を抑え、「他者に気に入られる自分」を作り上げます。

しかし、Aさんは「真面目な人が好き」でも、Bさんは「真面目な人はつまらない」と思うことがあります。

つまり、誰からも好かれるためには、いくつもの自分を使い分けねばならないのです。

相手が代わるたびに自分を変えていくのは大変なこと。

少しずつ負担が蓄積され、限界が来たとき「もう疲れた!」と人間関係をリセットしてしまうのです。

人間関係をリセットしたいと思っている人に伝えたいことでは、「人間関係をリセットしたい」と感じる心理について丁寧に解説しています。ぜひこちらも合わせてお読みください。

人間関係に苦痛を感じやすい性質を持っている人

もともと人間関係に苦痛を感じやすい性質を持っている人は、そうでない人よりも人間関係リセット症候群に陥りやすい傾向があります。

ここではそんな性質を2つご紹介します。

HSP(Highly Sensitive Person)

人間関係リセット症候群になりやすい性質の1つが「HSP(Highly Sensitive Person=非常に感受性の鋭い人)」です。

HSPは生まれつき、次のような特徴を持っています。

  • 刺激に敏感:音・光・におい・味・暑さや寒さ…といった五感で受け取る刺激に敏感に反応します
  • 空気を読みすぎる:人の表情や声のトーンなど様々な情報から場の空気を読み取り、相手を不快にしないよう心を砕きます
  • 他者に共感しすぎる:HSPの人は他者の気持ちが自分の中に流れ込むように共感してしまうため、他者の気持ちに振り回されてしまいがちです

他の人は気にしないような小さな刺激や些細な情報も逐一受け取ってしまうため、HSPの人はそうでない人よりも疲れを感じやすくなっています。

そのため、人間関係でも「声が大きすぎる」「香水のにおいがきつい」「この空気に耐えられない」「悲しい気持ちが分かってしまう」などしんどさを感じるきっかけが多く、最終的に人間関係リセットに至ってしまうのです。

スキゾイドパーソナリティ障害

スキゾイドパーソナリティ障害(シゾイドパーソナリティ障害)は、社会的な関わりに関心がなく、他者と交流している際に「楽しみ」や「喜び」を感じていないように見える人たちのこと。

DSM-5(注1)では、以下の4つ以上が成人期早期までに始まっていることがスキゾイドパーソナリティ障害の診断基準になっています。

  • 家族の構成員とのものを含め、親密な関係を求める欲求がない、またはそのような関係を楽しまない
  • 1人での活動を強く好む
  • 他者との性的活動に対する興味が、あるとしてもごくわずかである
  • 楽しみを得る活動がほとんどない
  • 場合により第一度親族(注2)がいること以外に、親しい友人または相談相手がいない
  • 他者からの賞賛または批判に対して明らかに無関心である
  • 感情的に冷たい、超然としている、または平板である

※MSDマニュアルプロフェッショナル版「シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)」より引用

こういった特徴を持っているにも関わらず、仕事などでどうしても人間関係を必要とする機会が増えてくると「1人になりたい」と、いきなり人間関係をリセットして、引きこもってしまうこともあります。

注1:アメリカ精神医学会が出版している「精神障害の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の第5版のこと

注2:親子や兄弟のこと

また、人間関係リセット症候群には、大切な人だからこそ一緒にいるのが怖くなる「見捨てられ不安」が関係していることも。

見捨てられ不安については人間関係をリセットされた人に伝えたいことで詳しく書いていますので、ぜひあわせてお読みください。

人間関係を窮屈にする考え方を持っている人

人の考え方にはクセがあります。

そして、その人自身を苦しめてしまうような考え方は「認知のかたより」や「認知のゆがみ」と呼ばれます。

この認知のかたよりには、人間関係を窮屈にしてしまうものもあります。

例えば、

  • 完璧主義:自分にも他者にも完璧であることを求める
  • 過度の一般化:1回悪いことが起こると「これからもうまくいかない」と考える
  • 感情的決めつけ:十分な証拠なく「〇〇に違いない」と勝手に決めつける

といった認知のかたよりを持っている人は、人間関係でのトラブルを繰り返しやすく、その結果、「もう面倒くさい」と人間関係リセット症候群に陥ってしまう可能性があるのです。

人間関係リセット症候群にならないための対処法法

自分自身の心と身体と向き合う意識を持つ

人間関係リセット症候群になってしまう大きな原因は、自分よりも他者を重視してしまうから。

そのため、人間関係リセット症候群を予防するには、普段から自分の心や身体が訴える「〇〇したい」「××は嫌だ」という声に耳を傾け、応えてあげることが大切です。

「でも、そもそも自分の心や身体の声が分からない…」という方には、レーズンエクササイズがおすすめ。

■レーズンエクササイズの方法

  1. レーズンを1粒用意します。レーズン程度のサイズでしっかりと香りや味があるものなら、それでも代用可能です。
  2. レーズンを指でつまみ、押してみたり、色々な角度から眺めてみたり、手のひらで転がしてみたり…触覚や視覚を使って、レーズンをよく観察します。
  3. レーズンを鼻に近づけ、嗅覚を存分に働かせながら香を楽しんでみましょう。
  4. レーズンをゆっくりと口にふくみ、舌の上で転がしてみましょう。舌の触覚を使うイメージで、レーズンの凹凸や表面の感じを楽しみます。
  5. レーズンをゆっくりと噛み、じんわりと染み出す味を味覚でたっぷり楽しみます。
  6. 十分に味わったら、ゆっくりと飲み込み、レーズンが喉→食道→胃へと動いていくのを感じましょう。

このトレーニングによって「自分が何を感じているか」に目を向ける習慣ができます。

わざわざレーズンを用意しなくても、ご飯やおやつの時に「感覚を大切にして食べてみよう」と意識するだけでもOK。

少しずつチャレンジしてみましょう。

ひとりの時間や場所を確保する

人間関係での疲れを蓄積させず、意識的に解消していけば、「もう限界!」といきなり人間関係をリセットしてしまうことを防げます。

ぜひ、ひとりになれる時間や場所を用意してみてください。

そして、自分の好きな活動をたっぷり楽しみ、リラックスして、疲れやストレスを解消しましょう。

また、ひとりの時間や場所が確保できれば、どれだけ人間関係がつらくても、「あそこに行けば1人になれる」「あの時間になれば1人でゆっくりできる」という安心感を持って人と付き合えるため、それだけでも負担感が軽減されます。

まとめ

この記事では、人間関係リセット症候群についてまとめました。

人間関係リセット症候群とは、突然連絡や消息を絶ってしまうこと。

医学的な病気ではないため、自分の心と向き合い、原因解明・対処することが必要です。

人間関係リセット症候群になりやすい人には、以下の3タイプがあります。

  • 他者に合わせて自分を使い分けている人
  • 人間関係に苦痛を感じやすい性質を持っている人:HSP・スキゾイドパーソナリティ障害
  • 人間関係を窮屈にする考え方を持っている人

人間関係リセット症候群にならないための対処方法としては、

  • 自分自身の心や身体と向き合う意識を持つ
  • ひとりの時間や場所を確保する

の2つをご紹介しました。

参考文献

厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する
研究」うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)

人間関係をリセットされた人に伝えたいこと

人間関係をリセットされた人に伝えたいこと

「久しぶりにメールを送ったら送信できなかった」

「いつの間にかSNSのアカウントが消えていて連絡がつかない」

「電話をかけたら番号が変わっていてつながらない」

このように人間関係をリセットされてしまうと、大きなショックを受け、「どうして?」「どうしたらいいの?」という思いが頭をグルグルと回ります。

結論から言えば、人間関係のリセットが発生する原因の多くは、リセットする本人にあるもの。

そして、あなたに出来ることは限られています。

「それでも何か行動したい」という方のために、この記事では、

  • 人間関係をリセットされた原因
  • 人間関係をリセットされた場合の対処方法

をご紹介します。

人間関係をリセットされた原因

しんどい思いをしていたから

不幸なことに、どれだけ相手に寄り添い、仲良くしているつもりでも、相手に負担をかけている人間関係というものは存在します。

例えば、あなたが「もっと〇〇した方がいいよ」「そんなことじゃダメだよ」などのアドバイスをしたとしましょう。

そのアドバイスが本当に善意からであったとしても、素直に受け取ってくれる相手ばかりではありません。

  • 「私は今のままでいいのに…」と反発心を抱く
  • 「言われなくても分かっているよ!」と卑屈になる
  • 「いつも僕のことをバカにして…」といらだつ

など、ネガティブな気持ちを抱く人もいるのです。

しかし、あなたに「嫌われたくない」と思ってネガティブな気持ちを隠し、表面上は「そうだね」とニコニコしているため、あなたは相手がしんどい思いをしていることに気づけません。

そして、何度かのすれ違いの末、しんどさを蓄積させた相手は「もう限界」と突然にあなたとの関係をリセットしてしまうのです。

嫌われる前に離れようとしているから

「人間関係をリセットされた」と聞くと、「相手に嫌われたから」と思われがちですが、実際にはあなたへの好意が大きくなったからこそ、「見捨てられ不安」が大きくなり、リセットしてくる人もいます。

■見捨てられ不安とは?

生まれたばかりの頃は、お母さんがいないとどこにも行けなかった赤ちゃんも、幼児へと成長するにつれて、ハイハイやよちよち歩きでお母さんから離れ、外の世界へと活動範囲を広げていきます。

これは子どもが自立していく上で必要不可欠なプロセスです。

しかし、お母さんから離れると幼児には「離れている間にお母さんに見捨てられるのでは」という不安が生まれ、「外の世界に行きたい」という気持ちとの間で葛藤が生じます。

それでも、お母さんがちゃんと戻ってくるまで待っていて、あたたかく迎えてくれる経験を重ねれば、「何度離れてもお母さんは私を見捨てない」「いつでも愛してくれている」と確認でき、見捨てられ不安は自然と解消され、お母さんから離れても安心して活動できます。

しかし、お母さんが「勝手にどこかに行く子なんて知らない!」と冷たく接したり、戻ってきたときにいなかったりすると、「ちょっとでも離れると、お母さんからの愛情を失ってしまう」と、見捨てられ不安を強め、いつもお母さんのそばを離れなかったり、お母さんの顔色をうかがったりするようになります。

そして、見捨てられ不安を解消できないまま、大人になってしまうこともあるのです。

見捨てられ不安を抱えた人は、あなたが大切な存在になればなるほど、1人でいる時間に「こんなに離れていたら、もう見捨てられているのではないか」「次に会うときには自分が嫌いになっているのではないか」という不安でいっぱいになります。

そして、いつ見捨てられるか分からない不安に耐えきれず、「見捨てられる前にこっちから離れてしまおう」と関係をリセットしてしまうのです。

また、藤田(2010)*1によると、見捨てられ不安を抱えた人は、“あたかも自分が誰からも愛されるに値しない人間である”と感じているとされます。

そのため、あなたが傷つくであろう「人間関係のリセット」をすることで、「こんな酷いことをする自分は、やっぱり誰からも愛されない人間だ」と確認している部分もあります。

人間関係全てが面倒になったから

うつ病や適応障害などの精神疾患を抱えると、人との会話や連絡を取ることなど人間関係にまつわる行為が全て億劫になってしまう傾向が見られます。

また、精神疾患による「自分なんか価値のない人間だ」「自分はひどい奴だ」などのネガティブな思考も、人間関係への抵抗感を生み出します。

その結果、「もう何もかも面倒だ」と考え、全ての人間関係を衝動的にリセットしてしまうこともあるのです。

人間関係をリセットされた場合の対処方法

自分自身の言動に問題がなかったか振り返る

人間関係をリセットされてしまう背景には、リセットする人の心理状態が大きく影響しています。

そのため、あなたの努力だけで全てのリセットの原因を取り除くことはできません。

しかし、これから先、人間関係のリセットで傷つかないためにも「自分にも問題があったかもしれない」と振り返り、なるべくリセットされない言動を身につけることはできます。

先ほどお話しした通り、相手にしんどい思いをさせてしまうと、人間関係をリセットされる可能性が高まります。

  • 自分の価値観を相手に押し付けてしまう
  • つい愚痴や悪口を言ってしまう
  • 自分の話ばかりしてしまう

など、相手にとって負担になるような関わりをするクセのある人は、自分の行動を改めるようにしましょう。

【まとめ】良い人間関係を築くために大切なことを心理学の専門家が解説でも、リセットされない良い人間関係を築く具体的な方法をまとめていますので、ぜひご覧ください。

リセットされた関係を引きずらない

リセットされると「どうしてリセットされたんだろう」「何が悪かったんだろうか」といった悩みが頭をグルグルと巡ります。

しかし、リセットした相手と連絡が取れない以上、悩んでいても答えは得られないのです。

実は、人間関係をリセットした人の多くは、「人間関係から解放されたい」とは思っていても、あなたを含め、特定の誰かに「傷ついてほしい」「苦しんでほしい」とは思っていません。

そのため、リセットされたことをいつまでも引きずる必要はないのです。

そもそも人間関係はずっと変わらないものではありません。

小学校の頃は仲良しだったけれど、今は全く連絡を取っていない友達がいる人も多いでしょう。

だからこそ、人間関係がリセットされても、それは変化の1つとして受け入れると共に、リセットされた経験から学んだことを活かして、今ある人間関係や、これから出会う人との関係をより良いものにしていくことが大切なのです。

「人間関係をリセットする人はどんな心理状態なのか」については、人間関係をリセットしたいと思っている人に伝えたいことに詳しく書いていますので、読んでみてください。

まとめ

この記事では、「人間関係をリセットされた原因」と「人間関係をリセットされた場合の対処方法」についてご説明しました。

あなたが人間関係にリセットされた原因として、相手が

  • しんどい思いをしていたから
  • 嫌われる前に離れようとしているから
  • 人間関係全てが面倒になったから

という3つの心理状態であったことをお話ししています。

また、人間関係をリセットされた場合の対処方法として、

  • 自分自身の言動に問題がなかったか振り返る
  • リセットされた関係を引きずらない

の2つをご紹介しています。

参考文献

*1 藤田裕司(2010)非行の心理療法 心理臨床大事典[改訂版] 改訂第7刷 p276-278.

人間関係をリセットしたいと思っている人に伝えたいこと

人間関係をリセットしたいと思っている人に伝えたいこと

「人間関係が面倒くさい!」と感じたことがある人は多いのではないでしょうか。

その時にふとよぎる「リセットしてしまおうかな」という考え。

なんだかスッキリしそうで魅力的ですが、簡単に人間関係のリセットを選んでしまうと、大きな後悔に襲われてしまうこともあるのです。

この記事では

  • 「人間関係をリセットしたい」と思うまでの心理状態
  • 人間関係をリセットするメリット
  • 人間関係をリセットするデメリット

の3つをわかりやすく解説します。

今、「人間関係をリセットしたい」という思いでいっぱいな方でも、この記事を読めば、これから取るべき行動を冷静に見つめられるはずです。

人間関係をリセットしたいと思うまでの心理とは?

ここでは、人間関係をリセットしたいと思うまでの心理を4つのステップに分けてご説明します。

他者から認められたい「承認欲求」

私たちは「他者から認められたい」という欲求、「承認欲求」を持っています。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求を5つの階層に分類した「欲求階層説」を提唱しました。それを表したのが図1です。

図1マズローの欲求階層説

マズローは、下の階層の欲求が満たされると、1つ上の階層にある欲求が現れると考えました。

つまり、「生理的欲求」が満足すれば、次は「安全の欲求」を満たそうとする…という風に、人の持つ欲求は変化していくことを示したのです。

多くの場合、日本で暮らす人は、家族・学校・職場など何らかの社会集団に所属しており、「社会的欲求」までは満たされていると言えます。

その結果、次の階層にある「承認欲求」を満たしたいと感じる人が多いのです。

認められるために「キャラ」を作り上げる

他者から認められる方法はたくさんあります。

その中の1つが受け入れられる「キャラ」を作るということ。

  • いつも冷静沈着な「クールキャラ」
  • 独特の世界観で生きている「天然キャラ」
  • 鋭いツッコミで場を盛り上げる「ツッコミキャラ」
  • ちょっと抜けていて周りにいじられる「いじられキャラ」

など、自分のキャラを確立することで、他者から「〇〇さんがいると面白い」と認めてもらえます。

キャラと人間関係の関連については様々な研究があり、井上(2017)*1は、キャラについて“複雑な人格や関係性を単純化し、固定し、安定させる”コミュニケーションツールやルールであると述べています。

キャラが安定していると、いつまでも同じパターンで関われば良いので、自分も他者も楽なのです。

自分ではない「キャラ」を演じることに疲れてくる

心理学の世界では、人の性格はいくつもの特性から構成されていると考える「特性論」が主流となっています。

例えば、「天然キャラ」の人も「天然」という特性だけではなく、「真面目」や「繊細」といった特性も持っているのです。

なお、性格の特性論について詳しく知りたい方は、【理論】性格の特性論を心理学の専門家が分かりやすく解説をご覧ください。

しかし、キャラを演じていると、「天然」以外の特性は無視されてしまいます。

千島ら(2015)*2の研究でも、キャラのデメリットとして“固定観念の形成”、“言動の制限”、“キャラへのとらわれ”の3つが明らかになっています。

「いじられキャラ」の人も時には「そんなこと言わないでほしい」と感じることがあります。

しかし、それでも本気で「やめてほしい」と言えない(=言動の制限)のは、いじられて「やめてよ~」と笑うあなたの姿(=固定観念の形成)を周りが期待していると分かっている(=キャラへのとらわれ)から。

キャラを壊したくないがために、本当に自分が感じていることや考えていることを言えない状況にだんだん心も身体も疲れてくるのです。

「キャラ」が不要になりリセットする

キャラを演じることで得られる良好な関係よりも、心や身体にかかる負担の方が大きくなったとき、これまでのキャラを「もう捨てよう!」と感じます。

しかし、あなたが演じてきたキャラを期待する人たちとの関係の中で、1から別の自分を作るのは困難です。

そのため、「別の環境で1からやり直そう!」と、これまでの人間関係をリセットしてしまうのです。

人間関係をリセットしたくなる原因については【まとめ】人間関係のリセット症候群について心理学の専門家が解説でも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

人間関係をリセットしたい心理に従うメリット

人間関係でのストレスがなくなる

「人間関係をリセットしたい」という気持ちが起こるのは、他者との関係の中に身を置いているからこそ。

これまでの人間関係をリセットしてしまえば、

  • SNSでの連絡1つ1つに返信するのが大変
  • プレゼントやお土産を何にするか決められない
  • 飲み会や結婚式といったイベントに出席するお金の余裕がない

といった、人間関係にまつわる悩みやストレスを一気になくすことができます。

自分らしい生活を取り戻せる

先ほどお話しした通り、「人間関係をリセットしたい」と考える人の多くは、自分の考えや感情を抑え、他者が求める「キャラ」を演じます。

「他者が」認めてくれるかどうか、「他者が」喜ぶかどうか…など、いつも他者を主役として物事を考え、自分は脇役に回ってしまうのです。

しかし、人間関係をリセットして、キャラを演じる必要がなくなれば、自分が主役の自分らしい生活を取り戻すことができます。

人間関係をリセットしたい心理に従うデメリット

リセットされた人たちの心を傷つけてしまう

人間関係をリセットしてしまうと、リセットされた人たちは「何か悪いことを言ってしまっただろうか」「もしかしてあの発言で傷つけてしまったのかも」とリセットされた理由を考え続けます。

しかも、あなたと連絡が取れないため、どれだけ考えても答えは出ず、いつまでも苦しい思いを引きずる可能性もあるのです。

そのため、リセットされた相手はあなたが思っている以上に傷つきます。

万が一、後になって「やっぱりもう一度仲良くしたい」と思っても受け入れてもらえない可能性は高いでしょう。

自分を見つめ直さないと同じことを繰り返すことも

人間関係をリセットしても、それ以降、いっさい誰とも付き合わないというのは現実的ではありません。

転職すれば新しい職場での人間関係が求められますし、引越しすれば新たな地域での人間関係が必要となる場合もあります。

そこでも「疲れた」「面倒」と感じるたびにリセットしていては、いつまで経っても生活が落ち着きません。

「人間関係をリセットしたい」と思っても、すぐに行動に移すのではなく、リセットしたくなる自分の心を見つめ直しましょう。

そして、「なぜリセットしたくなるのか」をよく理解しておくことが大切です。

まとめ

この記事では、人間関係をリセットしたいと思うまでの心理について、

  1. 他者から認められたい「承認欲求」がある
  2. 認められるために「キャラ」を作り上げる
  3. 自分ではない「キャラ」を演じることに疲れてくる
  4. 「キャラ」が不要になりリセットする

という4ステップで説明しました。

また、人間関係をリセットするメリットとして、

  • 人間関係でのストレスがなくなる
  • 自分らしい生活を取り戻せる

をご紹介すると共に、人間関係をリセットするデメリットとして、

  • リセットした人たちの心を傷つけてしまう
  • 自分を見つめ直さないと同じことを繰り返すこともある

の2つをお話ししました。

この記事を読んで「やっぱり人間関係がしんどい」という方は、【まとめ】人間関係に疲れたときの解決方法【職場・プライベート】をぜひチェックしてみてください。職場やプライベートで人間関係に疲れる原因と解決方法をまとめています。

また、「リセットまではいかなくても、自分に必要な人間関係だけ選びたい」という方には【解決】人間関係を整理した方が良い場合とその具体的な方法がおすすめです。

参考文献

*1 井上嘉孝(2017)「キャラ」とパーソナリティの発達に関するー試論ー現代的な関係性
と自己観の心理学的見直しー 人間科学部研究年報 平成29年 pp.43-61.
*2 千島雄太・村上達也(2015)現代青年における“キャラ”を介した友人関係の実態と友人
関係満足感の関連 青年心理学研究(26)pp126-146.

【まとめ】人間関係に疲れたときの解決方法【職場・プライベート】

【まとめ】人間関係に疲れたときの解決方法【職場・プライベート】

友達・地域・職場など、私たちは多様なコミュニティに参加しながら生活しています。

そして、そのコミュニティ内で欠かせないのが「人間関係」です。

うまくいっている間はなんとも心強い人間関係ですが、時には足かせのように感じられることも。

「もう人間関係なんて疲れた!」と逃げ出したくなった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

実際には人間関係から簡単に逃げ出すことはできません。

しかし、疲れを軽減することは可能です。

この記事では、「なんで私だけこんなに疲れるんだろう?」「人間関係に前向きになりたい」とお悩みの方に向けて、人間関係に疲れたときの原因と解決方法を「職場」と「プライベート」という2つの状況に分けてご紹介します。

職場での人間関係に疲れたと感じる原因

苦手な人と協力しなければならない

プライベートであれば、誰かと一緒に作業をする時には、自分にとって好ましい人を選ぶでしょう。

しかし、そうはいかないのが仕事。

苦手な人とでも必要があれば、協力し合わなければならないのです。

本心では「できれば近づきたくない…」と思いながらも、平静を装い、近寄らざる得ない葛藤は心にも身体にも大きな負担を与えます。

上司や顧客など気を遣わなければならない

本来、人間関係ではお互いが1人の人間として対等であることが理想的です。

しかし、職場では上下関係や利害関係なども絡んでおり、必ずしも対等とは言えないのが現実。

上司や顧客など自分よりも強い立場の人の言葉には、多少納得できなくても応じなければなりませんし、相手の機嫌を損ねないように注意する必要があります。

常に気を張り詰めているため、気が緩むと一気に疲れを感じることも。

職場での人間関係に疲れた時の解決方法

苦手な人への期待値を下げる

私たちが人を「苦手だな」と感じるときには、無意識に「普通ならこうするべきなのに、こんなこともできないのか」と自分の価値観で相手を下に見ています。

例えば、いつもムスッとしている人が苦手な場合には、「仕事なんだからもっと愛想よくすべき」という価値観で相手を見ています。

しかし、他者には他者の価値観があります。

例えば、ムスッとしている人は「愛想がなくても仕事ができれば問題ない」と考えているかもしれないのです。

苦手な人に対し、自分の価値観で勝手に期待しすぎていないかを振り返ってみましょう。

そして、期待値を下げて、他の良い部分を見るようにしてみてください。

図1期待値が高いときに見えるもの
図2期待値が低いときに見えるもの

上の図1、図2は期待値が高い/低いときに見えるものを表現しています。

図1のように期待値が高いと「愛想がない」という欠点ばかりが見えて、他の良い部分は埋もれてしまっています。

しかし、図2のように期待値を下げると、「仕事が早い」「数字に強い」「冷静」など良い面も見えてくるのです。

ビジネスモードの自分を演じる

職場だけで完結する人間関係であれば、ビジネスモードの自分を演じるのも効果的。

その時に取り入れたいのがビジネス専用の服装です。

私たちの心には服装によって他者の印象が変わる「ユニホーム効果」が働いています。

例えば、しっかりアイロンのかかった白衣姿の医師には「信頼できる」と感じやすくなります。

その一方で、シワだらけでところどころ汚れているような白衣を着ている医師には「信用できない」と感じる人が多くなるのです。

もちろん、ユニホーム効果は自分自身にも働きます。

例えば、カジュアルな服装の時には自然にリラックスした自分になれますし、ピシッとドレスアップした時には、いつも以上に背筋を伸ばしてキビキビとふるまう自分になっています。

上司・先輩・ドラマや映画の登場人物など、理想とするビジネスパーソンの服装を真似して、仕事で着用すれば、自然と「ビジネスモード」の自分を演じられるようになります。

プライベートの服としっかり分けておけば、勤務終了後に着替えるだけで自分の気持ちも切り替えやすく、いつまでも疲れを引きずることがなくなります。

プライベートでの人間関係に疲れたと感じる原因

他人にどう見られているかを気にしてしまう

自由であるはずのプライベートな時間でも「人間関係に疲れた」と感じてしまう人は、他人に「良く見られたい」と思い過ぎているのかもしれません。

  • 本当は「家でのんびりしたい」と思っていても、友達から「遊びに行こうよ」と誘われると断れない。
  • 周りの人に「お金がない」と思われたくなくて、欲しくもないブランドの服やバッグを買っている。
  • 友達に「あなたは天然キャラだよね」と言われると、無理にそういうキャラクターを演じようとしてしまう。

など、自分の本当の気持ちを無視して、周りの人の評価を基準として行動し続けていると、ふとした時に「私は一体何をしているんだろう」と疲れが襲ってきます。

世間の「こうすべき」に振り回される

プライベートでも人間関係に疲れてしまう背景には、世間の「こうすべき」という意見に振り回されてしまう性格も影響しています。

例えば、自分は「結婚しなくても十分幸せ」と思っていても、色々な人から「結婚しないと後悔する」などと言われ続けると「そうなのかなぁ」と心が揺れ始めます。

家族や親戚、友人などの近い関係であるほどこのようなことが発生しやすいため、「どうしたものか」と対応に悩み、心身ともに疲れ果ててしまうこともあります。

プライベートでの人間関係に疲れた時の解決方法

いつも丁寧かつ他人行儀にふるまう

「他者にどう見られているか」を気にする人は、人に合わせて自分の態度や行動を変えようとするため、過剰に疲れてしまいます。

まずは、誰に対しても「いつも丁寧で礼儀正しい」ことだけを心掛けましょう。

図3他者に振り回される人(左)と健康な人(右)の人間関係図

また、他人の基準で動く人は、図3の左図のように自分と他者の境界が薄いため、自分にとって大切な考え・感情・感覚まで他者によって乗っ取られてしまいがち。

丁寧で礼儀正しい「他人行儀」は、まさにその人たちが「自分」の領域に侵入することを防ぎ、右図のように「他者」の領域に留めるのに役立ちます。

「なんだよ、他人行儀で水臭いな」と不満を言い、無理に距離を縮めようとする人は、あなたの領域に侵入し、あなたの心や身体を利用しようとしている可能性が高いです。

他人行儀を維持し、少しずつ距離を離していく方が良いでしょう。

また、【解決】人間関係を整理した方が良い場合とその具体的な方法では、あなたにとって本当に必要な人か整理すべき人かを見極める基準と整理方法を解説しています。

自分の人間関係を見つめ直したい方はぜひ合わせてご覧ください。

自分にとっての幸せを見つける

世間の「こうすべき」を訴えかけてくる人には、あなたに「人並みに幸せになってほしい」と願っている人と、世間を味方につけてあなたを貶めたい人との2種類に分かれます。

前者に対しては、「私はちゃんと幸せだよ」ということをアピールする必要があります。

自分にとっての「幸せ」をきちんと見つけて、楽しく過ごしている様子を見せていけば、「こうすべき」という話題も少しずつ減っていくでしょう。

一方、後者はあなたを利用して、自分が優位に立ちたいだけです。

「そうかもしれませんね」と同意すれば「言い負かした」と満足しますし、「そんなことない」と反論すれば「あなたのためを思って言ったのに」とあなたを悪者にします。

相手にしても良いことがありませんので、「ご指導ありがとうございます」とさらりと受け流し、「用事がありますので」などと言って、その場から離れましょう。

友達との人間関係に疲れている方は【注意】人間関係で疲れる友達の特徴5選と解決方法をまとめましたもおすすめ。疲れる友達の見分け方や対処方法を具体的にまとめています。

まとめ

今回は、「職場での人間関係に疲れたと感じる原因と解決方法」と「プライベートでの人間関係に疲れたと感じる原因と解決方法」の2つをお話ししました。

職場での人間関係に疲れたと感じる原因と解決方法として、

  • 苦手な人と協力しなければならない→苦手な人への期待値を下げる
  • 上司や顧客など気を遣わなければならない→ビジネスモードの自分を演じる

という方法をご紹介しています。

また、プライベートでの人間関係に疲れたと感じる原因と解決方法としては、

  • 他人にどう見られているかを気にしてしまう→いつも丁寧かつ他人行儀にふるまう
  • 世間の「こうすべき」に振り回される→自分にとっての幸せを見つける

という方法を解説しました。

人間関係に疲れやすい人は【癒し】人間関係に疲れたときに読んでほしい名言をまとめましたも読んでみてください。人間関係に向き合う時の支えになる名言にたくさん出会えます。

【癒し】人間関係に疲れたときに読んでほしい名言をまとめました

【癒し】人間関係に疲れたときに読んでほしい名言をまとめました

誰しも「もう疲れた!人間関係なんて全部捨ててしまいたい!」と感じた経験があるのではないでしょうか。

しかし、職場や親戚、ご近所さんなど、これからのことを考えると、簡単には切れない人間関係も多いもの。

今の日本はもちろん、古今東西を問わず「人間関係に疲れた…」と悩む人はたくさんいました。

そして、その悩みを少しでも解決しようと、多くの偉人が名言を残しています。

今回は、

  • 人間関係に疲れた原因を見つめ直す3つの名言
  • 人間関係に疲れた心を癒してくれる3つの名言

をご紹介します。

これらの名言に触れれば、今抱えている人間関係の疲れを癒し、これからの人間関係にも前向きに取り組めるようになります。

人間関係に疲れた原因を見つめ直す3つの名言

美輪明宏の名言

人間関係で一番大事なのは、腹八分ではなく腹六分。夫婦、恋人、親子、仕事関係、すべて腹六分でお付き合いを

美輪明宏

日本で俳優・歌手・タレントとして幅広く活躍している美輪明宏の名言です。

優しい人であればあるほど、他者の分まで悩んだり、行動したりすることがあります。

例えば、「子どもを就職率の良い〇〇大学に入れてあげたい」と悩むお父さんをイメージしてみましょう。

このお父さんは子どものためを想い、進学実績の高い塾に子どもを入れるかもしれません。

月謝を払うのは苦しくても「子どものため!」と、さらに懸命に働くかもしれませんね。

でも、そんな想いとは裏腹に、子どもは「僕は××大学に行きたい」と主張する可能性もあるのです。

このお父さんは子どもの主張を受け入れられるでしょうか?

「子どものため!」と全力を注いできたからこそ、「俺はなんのために頑張ったんだ…」としばらく立ち直れないかもしれません。

自分の100%を他者に注ぎ込むと「これだけ尽くしたのだから、相応の見返りがあるだろう」と相手に期待する気持ちが生まれます。

しかし、相手にも相手の考えや気持ちがあります。

もしかしたら「尽くしてもらった」どころか「お節介」と不快に思っている可能性まであるのです。

だからこそ、他人のことは期待通りの反応が返ってこなくても大して気にならない「腹六分」程度に留め、残りの四分は自分の幸せのために残しておく方が、結果的に人間関係もうまくいくのです。

アン・モロー・リンドバーグの名言

この世で人を疲れ果てさせるものは、自分を偽る心です

アン・モロー・リンドバーグ

単独で大西洋無着陸横断飛行を初めて成し遂げたチャールズ・リンドバーグの妻であり、自身もアメリカの女性初のグライダーライセンスを取得したアン・モロー・リンドバーグの名言です。

後に文筆家としても活躍しました。

私たちはつい「他者からどう見えるか」を気にしてしまいがちです。

例えば、本当は仕事がつらくて辞めたいのに、「みんなは平気なんだから自分にも耐えられるはず」と頑張ってしまう人が少なくありません。

しかし、どれだけ「みんなは平気」でも「自分はつらい」という事実は変わりません。

自分を偽り続けた結果、心も身体も疲弊し切って「うつ病」や「適応障害」で立ち止まらざるを得なくなるケースも多いのです。

「みんな」と違う判断・行動をすることは怖いことですが、取り返しのつかない事態になる前に自分自身の心と身体に向き合う勇気を持ちましょう。

デール・カーネギーの名言

私たちの疲労は仕事によって生じたのではなく、悩み、挫折、後悔が原因となっていることが多い

デール・カーネギー

アメリカの小説家・評論家であり、これまで数多くの自己啓発や人生哲学に関する本を著してきたデール・カーネギーの名言です。

厚生労働省が発表した「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」*1によると、労働者に同僚の離職理由を聞いたところ、上位4つの回答は、

  • 賃金が不満:44.3%
  • 仕事上のストレスが大きい:37.4%
  • 会社の経営理念・社風が合わない:25.3%
  • 職場の人間関係がつらい(職場でのいじめ、セクハラ・パワハラを含む):24.4%

「賃金の不満」と「仕事上のストレスが大きい」は労働条件や仕事によるものですが、残りの「会社の経営理念・社風が合わない」と「職場の人間関係がつらい(職場でのいじめ、セクハラ・パワハラを含む)」には、人間関係が関わっていることが分かります。

つまり、自分自身の人間関係の疲れを改善することが安定した働き方にもつながるのです。

職場での人間関係に疲れている方は、【判明】人間関係の悪い職場の5つの特徴とそこでの立ち振る舞い方も読んでみてください。自分にできる具体的な対策をまとめています。

人間関係に疲れた心を癒してくれる3つの名言

岡本太郎の名言

友達に好かれようなどと思わず、友達から孤立してもいいと腹をきめて、自分を貫いていけば、本当の意味でみんなに喜ばれる人間になれる

岡本太郎

「芸術は爆発だ!」という言葉でよく知られる芸術家の岡本太郎らしい、ブレない名言です。

人によって「〇〇な人が好き」という基準は異なります。

そのため、「みんなに好かれたい」と思うと、人によって態度を変えなければならなくなります。

例えば、AさんとBさんそれぞれからお互いの悪口を聞かされ、嫌われたくなくて両方に「わかる」と返答したとしましょう。

その場では「わかってくれるの!ありがとう!」と喜ばれたとしても、ささいなきっかけでAさんにもBさんにもいい顔をしていたことがバレてしまうかもしれません。

すると「あの人は八方美人だ」「裏表がある」とあなたの評価は一気に地に落ちてしまうでしょう。

安易に同意するのではなく、AさんにもBさんにも「嫌われても仕方がない」と腹をくくり、「私にとってAさんもBさんも大切な人だから、そういう話は聞きたくない」と伝えた方が、「信頼のおける人」とポジティブに受け止められることもあるのです。

ハンス・クリスチャン・アンデルセンの名言

山から遠ざかればますますその本当の姿を見ることができる。友人にしてもこれと同じである

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

デンマークの童話作家で、「みにくいアヒルの子」や「人魚姫」といった作品でおなじみのアンデルセンの名言です。

「みにくいアヒルの子」とは、他のアヒルと違う見た目の自分を苦にしており、周りのアヒルからも「みにくい」とバカにされてきた主人公が成長すると、実は立派な白鳥でした…というお話です。

私たちも小さなコミュニティにいると、周りの人の言うことが真実だと思ってしまい、「何とか合わせないと」と疲弊してしまいます。

しかし、そのコミュニティを離れれば、実は全く別の価値観もあることに気づき、元のコミュニティにいた人たちを別の角度から見つめ直すことができるのです。

松下幸之助の名言

失敗すればやり直せばいい。やり直してダメなら、もう一度工夫し、もう一度やり直せばいい

松下幸之助

たくさんの失敗を重ねた末に大企業パナソニックの創業者となった、松下幸之助だからこその重みのある名言です。

人間関係での失敗を経験すると「もう疲れた!面倒くさい!」と思ってしまいがち。

しかし、失敗の原因と向き合い、しっかりと改善できれば、人間関係に必要なスキルを磨くチャンスとなり、結果として「疲れた」と感じる頻度を下げることにつながります。

失敗したときこそ自分の苦手を潰すチャンスと捉えてみましょう。

「人間関係で失敗してしまった!どうすればいいかわからない!考えるのにも疲れてしまった」という人は、【失敗は成功の元】人間関係に失敗する原因とそこから学ぶべきことをお読みください。失敗してしまう原因と対策がばっちり分かります。

まとめ

この記事では、

  • 人間関係に疲れた原因を見つめ直す
  • 人間関係に疲れた心を癒す

という2つの視点から、世界の偉人たちの名言をご紹介しました。

悩みというものは「自分だけが不幸だ」と思うほど、つらく感じられるもの。

自分の心に響いた名言は手帳などにメモして、「疲れた」と感じた時に見るようにしましょう。

名言の内容はもちろん、「過去にも同じように悩んだ人たちがいる」という事実が、人間関係に疲れたあなたの心をそっと包んでくれるはずです。

参考文献

*1 厚生労働省職業安定局 雇用開発部雇用開発企画課(2014.5)働きやすい・働きがいの
ある職場づくりに関する調査報告書

【注意】人間関係で疲れる友達の特徴5選と解決方法をまとめました

【注意】人間関係で疲れる友達の特徴5選と解決方法をまとめました

友達はいないと寂しいけれど、一緒にいると「なんだか疲れた…」と感じていませんか?

それはもしかすると、あなたを疲れさせてしまう特徴を持った友達なのかもしれませんよ。

この記事では

  • 人間関係で「疲れた」と感じる友達の特徴5選
  • 友達との人間関係で疲れた時の解決方法

をご紹介します。

「友達に疲れたなんて、自分がおかしいのかな」と不安になっている方、「どうすれば友達に疲れずに済むのかな」が気になる方、この記事を読めば「自分は悪くなかったんだ」「こうすれば良かったんだ」という答えが見つかります。

人間関係で「疲れた」と感じる友達の特徴5選

いつでも自分が世界の中心

あなたの身近にこんな人はいませんか?

  • いつでも自分が話題の中心にいないと不機嫌になる
  • みんなで遊ぶときもマイペース
  • 時には自分勝手な行動で迷惑をかける

このように「自分が世界の中心」と思っている友達は、周りの人も自分と同じように感情があるということを本当の意味で理解できていません。

そのため、この人たちと一緒にいると、自分が「人」ではなく「モノ」として扱われているようで、ぐったりしてしまいます。

また、意を決して「私の気持ちも考えてよ」と言おうものなら、ムスッと黙り込んだり、言い訳を並べたりして、素直に謝ってくれない態度にも疲れは増すばかりです。

自慢話やマウンティングばかりしてくる

自慢話やマウンティングばかりしてくる人は、「勝ったか負けたか」という上下関係でしか人とつながることができません。

そして、少しでも他者に「負けた」と感じると「自分の存在価値がなくなる!」と不安になり、さらに必死に自慢やマウンティングをしてきます。

こんな彼らと安定した関係を築くには、自慢話やマウンティングに対し、いつでも「すごいね」「羨ましい」と持ち上げて返すことが求められるのですが、当然ながら何度も繰り返されると、「またなの?」「もう面倒くさい」とうんざりしてきます。

構って&察してアピールが激しい

  • 「どうしたの?」と声をかけられたくて、あからさまに落ち込んだ態度を見せる人
  • なぜか不機嫌で「え?どうしたの?」と声をかけても、ムスッとして答えない人

こういった構って/察してアピールが激しい人は、言葉にしなくても周りの人が自分の不快感の原因に気づき、さっと取り除いてくれることを期待しています。

これは赤ちゃんがお腹を空かせて泣いているのと同じような、幼い甘えです。

そのため、この人たちは、あなたがまるで親のように「よしよし、こんな気持ちなんだね。つらかったね」とたっぷり甘やかし、世話してくれないと満足できません。

しかし、そんな期待に常に応えるのは無理な話です。

「いい大人なんだから勘弁してよ!」と投げ出したくなるでしょう。

ユーモアといじわるを履き違えている

「太っている」「背が低い」など、人が気にしている部分をけなしながら、「ひどい」「やめて」と言われると「軽い冗談じゃないか」「ユーモアの分からない奴だな」と主張する友達は、一緒にいると傷つきますし、「私が悪いの?」と疲れてしまいます。

このような人は、親しくなった人を「自分の一部」のように感じています。

そのため、「俺ってデブだからさー」と自分の欠点をユーモアの材料として話すように、「こいつって〇〇だからさ」と友達のコンプレックスさえも軽い気持ちで話してしまうのです。

人によって態度が違う

  • 部下にはいつも不機嫌そうなのに、上司の前ではニコニコしている
  • 女性同士では言葉遣いが荒いのに、男性が来た途端に可愛い言葉を選んでいる

このように人によって態度を変える人は、いつも「今後の人生にメリットがある人かどうか」で人を判断しています。

そのため、自分の人生にとってメリットのない人には、どう思われようと興味がなく、いい加減な態度しか示しません。

しかし、自分に役立つ存在であると判断すると、評価されようと必死になります。

このように態度をコロコロ変える人は、その人全てを信用することができません。

いつもどこか不信感を抱きながら付き合っていると、心がだんだん疲れてきます。

友達との人間関係に疲れた時の解決方法

ひとりの時間を楽しいものにする

友達との関係に依存していると、どれだけ疲れる友達でも「嫌われたくない。1人になりたくない」としがみついてしまいます。

まずは、ひとりの時間を充実させ、友達がいなくても楽しめるようにしましょう。

最近では「ひとりカラオケ」や「ひとり旅」、「ひとり焼肉」まで、ひとりで楽しめる娯楽は多様になっています。

また、自宅で読書や映画を楽しんだり、ジョギングやウォーキングで身体を動かしてスッキリしたり、明日から出来るようなものもたくさんあります。

ひとりで楽しめると、人間関係での疲れをスッキリ解消できますし、疲れる友達に対しても「ひとりでも楽しめるから、嫌われてもいいや」と余裕を持って接することができるようになります。

「自分」を主語に考える

つい、「〇〇さんは僕のこと、どう思っているのかな」「この服、××君が嫌いじゃないといいんだけど…」と友達を主語に考えていませんか?

これからは「僕は自分のことを~だと思っている」「私はこの服が好きだ」というように、主語を「自分」にして物事を考えてみましょう。

自分で自分の考え・感情・感覚を把握できると、「どうして疲れるのか」「何が嫌なのか」が明確になってきます。

「疲れた」の原因が特定できれば、「この人との接し方をどう変えるか」や「この人との付き合いは控えよう」など、疲れない友達付き合いの方法を見出せるでしょう。

「この友達との付き合いはもうやめたいな」と思ったら、【解決】人間関係を整理した方が良い場合とその具体的な方法をご覧ください。どうすればうまく離れられるかをまとめています。

表裏を作らない

友達との人間関係で疲れてしまうのは、「本当は嫌なのに」という裏の顔を隠しながら、表向きはいい顔を演じているからかもしれません。

これは社会でうまく適応していく上で必要なスキルですから、必ず悪いとは言えません。

しかし、あなたの心の「本当は嫌なのに」という訴えはどれだけ抑えつけても消せるわけではありません。

「心の声を無視するなら、身体の声で知らせてやる!」と頭痛・不眠・食欲不振・帯状疱疹など、身体のさまざまな症状として現れることもあります。

本来、友達は心穏やかに付き合える存在のはずです。

そういう相手に対してはできるだけ裏表を作らないようにしましょう。

「どうしても、裏表を作ってしまう」という人は、まずは自分の心の声を無視しないことから心掛けてみてください。

「本当は嫌だ」という訴えが聞こえたら、「嫌なのに我慢してくれてありがとう」と自分を労ってあげるのです。

それだけでも、ちょっぴり心は軽くなりますよ。

まとめ

この記事では、人間関係で「疲れた」と感じる友達の特徴と、友達との人間関係に疲れた時の解決方法を解説しました。

疲れる友達の特徴には、

  1. いつでも自分が世界の中心
  2. 自慢話やマウンティングばかりしてくる
  3. 構って&察してアピールが激しい
  4. ユーモアといじわるを履き違えている
  5. 人によって態度が違う

という5つがあり、どの人もあなたの心や身体を無断で利用・消費してきます。

友達との人間関係に疲れた時には、まずは「ひとりの時間」を楽しいものにしましょう。

また、普段から「自分」を主語に考えるクセをつけて「疲れた」の原因を見つけやすくすること、自分の心の声に耳を傾けて表裏なく人に接することも、友達と心地良く過ごすために大切なことです。

【まとめ】良い人間関係を築くために大切なことを心理学の専門家が解説

【まとめ】良い人間関係を築くために大切なことを心理学の専門家が解説

新しい人間関係にスムーズに入っていくには、良い人間関係の構築が欠かせません。

しかし、良い人間関係を築く方法は教わる機会がないため、「一体何から始めればいいんだろう?」と困ってしまうことも。

そこで今回は、良い人間関係を築くために知っておくべき大切なこととして、

  • 良い人間関係とはどんな状態か
  • 良い人間関係を築くための3つの方法

を分かりやすく解説します。

また、「どうしても人間関係がうまくいかない!」という人にチェックしてほしいポイントも説明しています。

この記事を読めば、今の人間関係もこれからの人間関係も良好なものに変えていくスキルが身に付きます。

良い人間関係を築くために知っておくべき大切なこと

そもそも良い人間関係とはどんな状態?

そもそも「良い人間関係」とは何かをきちんと理解していなければ、良い人間関係を築くことは難しくなります。

良い人間関係を築くには、

  • お互いに肯定的なコミュニケーションを取っていること
  • 1人1人が対等であること
  • その人の考えや感情が受け入れられていること

という3つのポイントがあります。

下の図1を見てください。

これは良い人間関係を築けているブルーチームと悪い人間関係を築いているレッドチームです。

図1良い悪いの人間関係の対比

ブルーチームでは、お互いを肯定するコミュニケーションが盛んに行われています。

上司が部下に対し「すばらしい」「よく頑張ったね」など、肯定的な言葉を伝えます。

すると、それを聞いている周りの部下も「良かったな!」と褒め合ったり、「自分も頑張らなきゃ」と自発的に意欲を高めたりしていきます。

もし、部下に困ったことが起こっても、このような上司なら安心して相談できるでしょう。

ブルーチームでは、上司と部下が対等に話せる環境も育まれているのです。

また、上司が「言うことを聞け」「成果をあげろ」など指示を出さなくても、メンバーが自発的に取り組んだ行動が自然とチームのためになっていきます。

一方、レッドチームでは、お互いを否定するコミュニケーションが行われます。

上司が部下に対し「なんでこんなこともできないんだ」と怒鳴ると、部下はつらく悲しい気持ちになります。

また、自分の出世にしか関心がなく、部下には興味がない上司もいます。

このような上司に部下は相談ができません。

上司と部下の間には大きな壁が生まれてしまっています。

その結果、レッドチームでは「上司に目をつけられないために余計なことはしない方がいい」と感じる部下が多く、自発的な行動はできません。

上司の評価が気になり、いつも不安と緊張でいっぱいのチームになってしまうのです。

さて、あなたはどちらのチームに入りたいですか?

多くの人が「ブルーチーム」と答えると思います。

ブルーチームに入るためには、あなたもブルーチームらしい人間関係の築き方をマスターしている必要があります。

その3つの方法を次にご紹介しましょう。

良い人間関係を築く3つの方法

相手の心や身体を尊重する

「関係」は対等な人同士の間で生まれるものです。

そして、対等であるには、どちらかが虐げられていたり、我慢していたりしてはいけません。

例えば、以下のような関係は「良い関係」と言えるでしょうか。

  • Aさんがなんでも決めてしまい、Bさんが意見を言おうとすると「お前は黙ってろ」と押さえつけてしまう関係
  • Aさんが暴力を振るうので、Bさんは怖くて従っている関係

これらの関係は、Aさんにとっては何の問題もありません。

しかし、Bさんにとってはつらい関係です。

Aさんがどれだけ「私たちは良い関係が築けています!」と主張しても、Bさんの心や身体が尊重されていない以上は「良い関係」とは言えないのです。

普段から相手の心や身体を尊重し、対等な関係を築くように心がけてみましょう。

特に社会的に上の立場にいる場合や、身体的な力が強い場合など、相手より自分が優位にいるときほど、ちょっとした言動で相手を萎縮させてしまいがち。

「我慢させていないかな」と常に気を配るようにしましょう。

相手に寄り添ったコミュニケーションを取る

コミュニケーションを「キャッチボール」で考えてみてください。

あなたはこんな投げ方をしていませんか?

  • 相手が受け取る準備をする前に投げる=いきなり話し始めてしまう
  • 相手が受け取れない場所に投げる=相手の興味がない話をしてしまう
  • 相手が受け取れないほど強くボールを投げる=相手にきつい言葉をぶつけてしまう

相手がどれだけ「受け取りたい」と思っていても、あなたがこんな投げ方をしていては、うまくキャッチボールはできません。

もし、心当たりがあれば、こんな風にコミュニケーションの方法を変えてみてはいかがでしょう。

■相手が受け取る準備をする前に投げる人

「〇〇さん」「今、大丈夫ですか?」など、一声かけて、相手の注意を自分に向けてから、ボール(言葉)を投げてみましょう。

■相手が受け取れない場所に投げる人

まずは誰にでも受け取れるボール(話題)を選びましょう。

  • 天気の話
  • 最近のニュース

など、深い意味はないけれど、お互いに負担なく話せる話題がおすすめです。

そこから、少しずつ相手の興味や関心を知り、深いけれどもお互いにキャッチしやすい内容へと話題を変化させていくのです。

■相手が受け取れないほど強くボールを投げる人

できるだけふんわりと優しいボール(言葉)を投げかけてみましょう。

全てをすぐに直せなくても、話すペースをゆっくりにしたり、丁寧にしたりするだけでも、優しさを伝えられますよ。

自分の機嫌は自分で取る

不機嫌な人といると、イライラやピリピリが伝わって自分までどっと疲れてしまいます。

そのため、「一緒にいたい」とはなかなか思えません。

つまり、良い人間関係を築くためには、自分がいつも機嫌良くしていることも大切です。

まずは自分がストレスを抱えているサインを見逃さないことが大事。

  • いつもより寝つきが悪い
  • 肌荒れがひどい
  • 甘いものや揚げ物を食べすぎてしまう
  • 身体がアルコールを欲している

など、自分がキャッチしやすいストレスサインを見つけてみましょう。

周りの人に「どんな時に私がイライラしているって分かる?」と質問してみるのも良い方法です。

そして、ストレスを感じてる自分に気づいたら、思いっきり甘やかしてあげましょう。

美味しいものを食べるもよし、お風呂でのんびりするもよし。

大切な人に感謝の気持ちを伝えるように、毎日頑張っている自分を労ってあげましょう。

【幸福】良い人間関係を構築する4つのメリットとその具体的な方法にも、良い人間関係を築く大切なポイントをご紹介していますので、合わせてご覧ください。

どうしても良い人間関係を築けない場合に大切なこと

なぜ良くない関係になっているのかを振り返る

下の図2では人間関係が心地良く感じている状態を〇、不快な状態を×で示しています。

そして、図2からは人間関係の良くないパターンには、

  • 【自分は〇、相手は×】のパターン
  • 【自分は×、相手は〇】のパターン
  • 【自分は×、相手は×】のパターン

の3つがあることが分かります。

図2人間関係のパターン

まずは良くない人間関係がどんなパターンに陥っているのかを考えてみましょう。

相手ではなく自分を変える

人間関係は自分と相手の両者で作っていくものです。

しかし、相手を変えようとすると、「私はあなたの意思や感情を無視する人間です」というメッセージを伝えることになってしまい、さらに関係は悪化していくでしょう。

まずは、自分自身を変えてみましょう。

自分を変えることで、相手も「今までのスタイルじゃなくていいんだ!」と変わってくれる可能性も高まります。

【自分は〇、相手は×】なのであれば、もっと相手の目線に立った行動を心がけた方が良いでしょう。

また、【相手は×、自分は〇】なのであれば、もう少し自分の主張を行った方がよさそうです。

時には距離を置くことも大切

「それでもうまくいかない!」という場合には、距離を置くことも大切です。

特に、【自分は×、相手も×】では、一緒にいればいるほど傷つけあってしまい、どんどん良くない方向に陥ってしまう危険性があります。

しばらく距離を置くと、自分も相手も感情や考え方にほんのわずかでも変化が生じます。

その変化が二人の関係性に良いものを生み出してくれる可能性もあるのです。

「距離を置くのは関係が悪いから」とネガティブに捉えるのではなく、「距離を置くのは良い関係になりたいから」とポジティブに受け止めることも時には必要です。

まとめ

この記事では、「そもそも良い人間関係とはどんな状態か」をご説明した上で、

  • 相手の心や身体を尊重する
  • 相手に寄り添ったコミュニケーションを取る
  • 自分の機嫌は自分で取る

という良い関係を築くために大切な3つの方法をご紹介しました。

また、どうしても良い人間関係が築けない場合には、なぜ良くない関係になっているのかを振り返ると共に、相手ではなく自分を変えることが不可欠です。

それでも、うまくいかない場合には一時的に距離を置くのも大切なことです。