「1人で悩みを抱えてはいけない」とよく言われますが、「相談できる人が身近にいない」という方も多いでしょう。
そんな時に活用したいのが「カウンセリング」です。
しかし、カウンセリングは1回5,000円~10,000円前後が相場。
お金に余裕がない人にとっては、かえって心や生活の負担となってしまうことも。
そこで、この記事では、
- 無料で受けられるカウンセリング
- 低料金で受けられるカウンセリング
の2つについて、サービスの概要とそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
お金がない場合に試したい無料カウンセリング
公的機関のカウンセリング
公的機関では、誰でも無料で受けられるカウンセリングが用意されています。
カウンセリングが受けられる代表的な機関としては「保健所・保健センター」「精神保健福祉センター」「児童相談所」「男女共同参画センター」「教育相談所」が挙げられます。
ここでは、
- 公的機関の概要
- 対象としている相談内容
- メリットとデメリット
をまとめました。
保健所・保健センター
保健所は、都道府県・政令指定都市・中核都市などに設置されている支援機関です。
また、保健センターは、市区町村に設置されています。
どちらも地域住民の保健福祉・生活環境・健康をサポートしています。
■対応できる相談内容
- こころの健康について
- 子育てや子どもの発達に関する悩み
- 依存症についての悩み
- 精神疾患に関する相談
■メリット
- 対面だけでなく、メールや電話で相談できるところも多い
- 必要に応じて医療機関の紹介を受けられる
■デメリット
- 予約がかなり先まで埋まっているところがある
- 平日9時~17時頃にしか利用できない
- 継続したカウンセリングを受けることは難しい
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、各都道府県と政令指定都市に設置されている支援機関です。
精神保健や精神障害者の福祉に関する知識の普及・調査研究・相談及び指導などを行っています。
■対応できる相談内容
- こころの健康について
- 精神医療に関わる相談
- 依存症についての悩み
- 思春期や青年期の相談
■メリット
- 対面だけでなく、メールや電話で相談できるところも多い
- 当事者グループや家族会による集団カウンセリングに参加できる
■デメリット
- 予約がかなり先まで埋まっていることがある
- 平日9時~17時頃にしか利用できない
- 継続したカウンセリングを受けることは難しい
- 基本的に都道府県に1つあるため、精神保健福祉センターが近くにないこともある
児童相談所
児童相談所は、各都道府県に数か所設置されています。
18歳未満の子どもや保護者からの相談に応じると共に、それぞれに適した指導や援助を実施しています。
■対応できる相談内容
- 子どものしつけに関する悩み
- 子どもの発達や疾患などの悩み
- 家庭内暴力や非行などの問題行動について
- 不登校について
■メリット
- 必要に応じて継続した支援が受けられる
- 療育手帳の申請や一時保護など、具体的なサポートにつないでもらいやすい
■デメリット
- 予約がかなり先まで埋まっていることがある
- 平日9時~17時頃にしか利用できない
男女共同参画センター
男女共同参画センターとは、男女が共に参加・参画できる社会の実現を目指した事業を展開する機関です。
男女共同参画についての活動支援や情報提供、妨げとなる問題への相談対応などを行っています。
■対応できる相談内容
- 女性の悩み全般
- DV被害や性被害について
- 女性のキャリアについて
■メリット
- 対面だけでなく、メールや電話で相談できるところも多い
- センターによっては土日にカウンセリングを実施している
■デメリット
- 予約がかなり先まで埋まっていることがある
- 主に女性を対象としているため、男性は相談できない(男性を対象とするカウンセリングを用意しているセンターもある)
教育相談所
教育相談所とは、幼稚園から高等学校までの子どもを対象に、学校生活をはじめとする悩みに対する支援機関です。
子ども本人だけでなく、保護者や学校関係者からの相談にも対応しています。
■対応できる相談内容
- 子どもの性格や行動について
- 子どもの友人関係に関する悩み
- 子どもの発達に関する悩み
- 不登校やいじめなど学校生活の問題について
■メリット
- 対面だけでなく、メールや電話での相談が可能となっている相談所も多い
■デメリット
- 就学していない子どもや私立学校に通う子どもは対象外
- 予約がかなり先まで埋まっていることがある
- 平日9時~17時頃にしか利用できない
公的機関は設置している自治体によって、サービス内容が異なります。
利用前にお住まいの自治体が提供しているサービスをしっかり確認しておきましょう。
学校や会社が用意したカウンセリング
小学校・中学校・高校では「スクールカウンセラー」、大学では「学生相談室」が用意されており、児童生徒・学生・保護者・教職員からの相談に専門家が対応しています。
また、最近では幼稚園でも、幼児の発達の悩みや子育ての不安などの相談に対応する「キンダーカウンセラー」が配置されつつあります。
また、会社でもメンタルヘルスの悩みを相談できる「企業内カウンセラー」を設置するところが増えています。
これらのカウンセリングは学校や会社の関係者であれば、無料で利用できます。
また、学校内や社内で相談できるため、通いやすいのもメリットと言えるでしょう。
その一方で、完全な外部機関ではないため「もしかしたら相談していることが他の人に知られてしまうのではないか」という不安から、相談しづらさを感じてしまうデメリットもあります。
お金がないときに低料金で受けられるカウンセリング
医療機関のカウンセリング
精神科や心療内科といった医療機関のカウンセリングであれば、カウンセリング料金に保険が適用されるメリットがあります。
ただし、そのためには、
- そもそもカウンセリングが可能な医療機関であること
- 医師が「治療にカウンセリングが効果的だ」と判断すること
の2つの条件を満たさなければなりません。
カウンセリングを受けるまでのハードルが高いのがデメリットと言えるでしょう。
大学附属相談室でのカウンセリング
臨床心理士や公認心理師を養成する大学院では「相談室」が設置されており、大学院生が教員の指導を受けながら、カウンセリングを実施しています。
私設のカウンセリングルームでは、1回5,000円~10,000円前後が相場となっているのに対し、大学附属相談室では1回2,000円~3,000円程度と低料金でカウンセリングを受けられます。
ただし、資格保有者や実務経験者と比べると大学院生の知識や経験は乏しいため、「しっかりと専門性を備えた人に相談したい」という方には不向きです。
オンラインカウンセリング
オンラインカウンセリングとは、インターネットを介して行われるカウンセリングを指します。
例えば、
- ビデオカウンセリング:ビデオチャットアプリを用いたカウンセリング
- 電話カウンセリング:音声通話アプリを用いたカウンセリング
- メールカウンセリング:メールでのやり取りを行うカウンセリング
- メッセージカウンセリング:チャットアプリを用いて行うカウンセリング
などが代表的です。
オンラインカウンセリングでは、カウンセリングルーム運営に必要な家賃や光熱費などが不要なため、その分、料金が安く抑えられる傾向が見られます。
一方、1,000円前後の低価格でカウンセリングを提供しているサービスもありますが、そのカウンセラーの保有する資格を見ると、数か月のセミナー受講で取得できるような資格だった…ということがあります。
大学院で実践的な訓練を重ね、資格試験に合格してやっと取得できる公認心理師や臨床心理士に比べると、専門性には不安が残ります。
安さだけでなく質を求めるなら、公認心理師や臨床心理士資格を保有したカウンセラーによるオンラインカウンセリングを選ぶようにしましょう。
特に公認心理師と臨床心理士の両方を取得したダブルライセンスのカウンセラーなら安心です。
グループカウンセリング
グループカウンセリングは、同じ悩みを抱えた人たちがお互いに悩みを共有することで、カウンセラーはもちろん、参加者からも共感やアドバイスを貰える場です。
1回1,000円~3,000円程度と料金が安いだけでなく、同じ悩みを抱えた人に出会えるため、「自分だけじゃないんだ」と安心感を抱けるのも大きなメリットとなっています。
一方、
- 他者を気にして素直な気持ちを話せない
- 発言の機会を他者に譲ってしまう
- 自分にぴったりのアドバイスが欲しい
という人には、多人数であることのデメリットが目についてしまうでしょう。
まとめ
この記事では、お金がないときに試したい無料カウンセリングと低料金カウンセリングについてご紹介しました。
無料でカウンセリングを受けたい場合は、
- 公的機関のカウンセリング
- 学校や会社が用意したカウンセリング
の利用を検討してみましょう。
また、低料金で受けられるカウンセリングとしては、
- 医療機関のカウンセリング
- 大学附属相談室でのカウンセリング
- オンラインカウンセリング
- グループカウンセリング
という4つが挙げられます。
それぞれのメリットとデメリットがありますので、よく検討して自分に合ったものを見つけてくださいね。