カウンセリングを受けるのがしんどいと感じる原因と解決方法

カウンセリングを受けるのがしんどいと感じる原因と解決方法

「カウンセリングに通えば、心が癒されてリラックスできる」

そんなイメージを持っている人は少なくありません。

しかし、実際にカウンセリングを受けた人の中には「カウンセリングを受けたら、かえってしんどくなった」と感じる人も。

実は、繊細な心を扱うカウンセリングだからこそ、ちょっとしたことでも大きな負担になり、「しんどい」と感じやすいのです。

この記事では、カウンセリングを受けるのがしんどいと感じる原因について解説すると共に、しんどいと感じた時に試してほしい解決方法をご紹介します。

カウンセリングがしんどいと感じる原因

気持ちを言葉で表現するのが難しい

1人で悩んでいる時には頭の中で何となくモヤモヤと考えていたことも、カウンセリングではカウンセラーに分かるように1つ1つ言葉にしなければなりません。

しかし、

  • 伝えたい気持ちはあるのに言葉が出てこない
  • 自分が抱えている苦しみを表現できる言葉が見つからない
  • カウンセラーの評価を気にして、素直に気持ちを話せない

といった理由から、自分の気持ちを言葉で表現できずに「しんどい」「もどかしい」と感じることがあります。

なお、カウンセリングでどんな話をすればいいか知りたい人は、カウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】もあわせてお読みください。

自分自身と向き合うのが苦しい

現代社会では、怒りや悲しみといったネガティブな感情を見せないことが美徳と考えられています。

そのため、真面目な人ほど、自分のネガティブな感情を抑え込み、表に出さない傾向が見られます。

しかし、ネガティブな感情は一時的には抑えることはできても、完全に消すことはできません。

少しずつ蓄積され、心や身体に様々な症状を引き起こします。

例えば、「人から嫌われるのではないかと怖い」という対人恐怖症の背景には、過去に仲間外れにされて「怖い」と感じた体験が影響していることがあるのです。

多くのカウンセリングでは、症状の原因となっている体験とネガティブな感情に目を向け、整理することを目指します。

これまで抑えてきたネガティブな感情と向き合うと、どうしても苦しくなってきます。

これはカウンセリングが順調に進んでいる証なのですが、しんどさに耐えられなくなる人もいるかもしれません。

カウンセラーとのやり取りがうまくいかない

岡田ら(2015)*1によると、カウンセラーとの会話・やり取りへの不満がカウンセリングを中断する原因になっていることが明らかになっています。

例えば、次のようなケースが挙げられます。

■具体的なアドバイスがない

自分が抱えている悩みや問題への具体的なアドバイスを期待してカウンセリングを受けた場合、傾聴ばかりのカウンセリングには不満が募ります。

■カウンセラーの質問の意図が分からない

カウンセラーにあれこれ質問されるものの、その意図が分からないと「なんでこんな話をしなきゃいけないの」「興味本位で質問しているのでは?」と不快感を抱くでしょう。

このようなカウンセラーとのやり取りのぎこちなさは、カウンセリングへの失望感を抱かせます。

そして、カウンセリングから足が遠のいてしまうのです。

カウンセリングがしんどいときの解決方法

心と身体を休めることを優先してみる

カウンセリングで自分のネガティブな感情と向き合い、言葉にしていくためには、心にも身体にもある程度のエネルギーが必要です。

そのため、「カウンセリングがしんどい」と感じるときには、心と身体を休めてエネルギーを蓄えることを心掛けてみましょう。

ここでは、心と身体を休めるためのリラックス方法をいくつかご紹介します。

■あたたかい飲み物を飲む

あたたかい飲み物は、心と身体をリラックスさせてくれます。

カモミールティーなどリラックス効果が期待できる飲み物を選ぶとなお良いでしょう。

■ゆっくりと湯船につかる

湯船につかり、ゆっくり入浴することで、心と身体の緊張がほぐれてリラックスできます。

好きな香りのアロマオイルや入浴剤を活用すれば、さらにゆったりとした気持ちになれるでしょう。

■良質な睡眠を取る

しっかりと睡眠時間を確保すると共に、就寝前にはスマホやパソコンの利用を控える、コーヒーや紅茶によるカフェイン摂取も避けるといった工夫で、質の高い睡眠を目指しましょう。

■ヨガやストレッチを取り入れる

ヨガやストレッチで身体を動かすことで、肩こりや腰痛など身体の不調が軽減されるだけでなく、心をリラックスさせる副交感神経を優位にしてくれます。

カウンセリングが進んでいく上で心や身体が「しんどい」と感じるのは自然なことです。

しかし、生活に支障をきたすほど調子を崩してしまうような場合には、カウンセリングを一時的に休むという判断も必要です。

カウンセラーに相談することはもちろん、主治医がいる場合には、主治医にもぜひ相談してみましょう。

カウンセラーにしんどさを伝えてみる

カウンセラーに「カウンセリングがしんどい」という気持ちをそのまま伝えてみましょう。

「カウンセリングがしんどい」と言えただけでも、

  • 自分の気持ちを言葉にする難しさ
  • 自分自身と向き合う苦しさ

を乗り越えた体験になりますから、これから先のカウンセリングでのしんどさは軽減されるかもしれません。

また、しっかりと学んできたカウンセラーであれば、あなたが「しんどい」と言うまでに感じてきた葛藤や不安を理解してくれるでしょう。

そして、より良いカウンセリングを作るために一緒に考えようとしてくれるはずです。

別のカウンセラーを探すのも1つの方法

次のような場合には、別のカウンセラーを探すのも1つの方法です。

■カウンセリングのしんどさを伝えても理解してくれない

「カウンセリングがしんどい」と伝えたにも関わらず、その想いに寄り添ってくれず、これまでのやり方を押し付けられる場合には、カウンセラーを変えた方が良いでしょう。

■カウンセリングの種類を変えることでしんどさが減る場合も

カウンセリングには様々な種類があります。

例えば、「短期間で症状だけ治したい」というニーズがある人が、時間をかけてじっくり自分を見つめる「精神分析」によるカウンセリングを受けると負担感が大きくなります。

そういったニーズの人は、症状に対する具体的なアプローチを教えてくれる「認知行動療法」によるカウンセリングの方が向いているのです。

自分に向いているカウンセリングの種類を知りたい方はカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】をぜひ参考にしてみてください。

まとめ

この記事では、カウンセリングがしんどいと感じる原因と、カウンセリングがしんどいときの解決方法についてご紹介しました。

カウンセリングがしんどいと感じる原因には、

  • 気持ちを言葉で表現するのが難しい
  • 自分自身と向き合うのが苦しい
  • カウンセラーとのやり取りがうまくいかない

の3つが挙げられます。

カウンセリングがしんどいときには、

  • 心と身体を休めることを優先する
  • カウンセラーにしんどさを伝える
  • 別のカウンセラーを探す

といった方法を試してみてください。

参考文献

*1 岡田和久・赤嶺直子(2015)臨床心理実習での面接中断に対するクライエントと大学院
生の認識の比較 応用心理学研究 41(1)pp18-28.

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。