カウンセリングを受けたいと思ったらどうすれば良いのか【注意あり】

カウンセリングを受けたいと思ったらどうすれば良いのか【注意あり】

「カウンセリングを受けたい!」と思って、インターネットで検索すると数得きれないほどのカウンセリングルームや医療機関が表示されます。

選択肢が多いのは嬉しい反面、悩みを抱えた状態で自分に合ったカウンセリングを選び出すのは大きな負担になることも。

また、苦労して選んだカウンセリングなのに「自分に合わない」「うまく話せない」など不完全燃焼してしまうと、「カウンセリングなんて、もう行きたくない」と思ってしまうかもしれません。

それはとてももったいない!

そこで今回は、

  • カウンセリングを受けたいときの探し方
  • カウンセラーを選ぶコツ
  • カウンセリングを受けたい人が準備すべきこと

の3つを詳しく解説します。

カウンセリングを受けたいときの探し方

カウンセリングはこんな場所で受けられる!

そもそもカウンセリングはどんな場所で受けられるのでしょうか。

ここでは、継続的なカウンセリングを受けられる場所を挙げてみます。

■私設のカウンセリングルーム

カウンセラーが個人で経営しているカウンセリングルームや、多くのカウンセラーが在籍する規模の大きな相談機関などがあります。

また、最近ではビデオチャットや電話などを使ったオンラインのカウンセリングルームも増えています。

■医療機関

精神科や心療内科で医師から治療上必要と判断されれば、保険適用でカウンセリングを受けることができます。

もっと詳しく知りたい方は【本質】カウンセリングの保険適用について心理学の専門家が解説をお読みください。

なお、医療機関でも「自由診療」としてカウンセリングを提供している場合には、保険は適用されないため注意しましょう。

■大学附属の相談室

臨床心理士や公認心理師を養成する大学院では、研修機関として相談室が併設されています。

大学院生が教員の指導を受けながら、カウンセリングを実施します。

■学校や企業内の相談窓口

小学校・中学校・高校には「スクールカウンセラー」、大学には「学生相談室」があり、児童生徒や学生・保護者・教職員の悩みに対応しています。

また、企業でも「企業内カウンセラー」を設置するところが増えており、社員からの相談を受け付けています。

これらのカウンセリングは学校や企業の関係者であれば無料で利用できます。

■EAP専門機関

EAPとは「Employee Assistance Program(社員支援プログラム)」のこと。

企業が外部の相談機関と契約を結び、社員やその家族が低コストでカウンセリングを受けられる体制を整えることで、社員のメンタルヘルス向上を目指しています。

通いやすいエリアで探す

カウンセリングは1回で終わることもあれば、悩みが解消するまで何回も通わなければならないこともあります。

心身の不調を抱えた状態で遠方まで通うのは大変です。

定期的に通っても負担が少ないエリアを選びましょう。

日本臨床心理士会の「臨床心理士と出会うには」では、お住まいの都道府県を選ぶと、その都道府県にあるカウンセリングルームとアクセスが一覧となって表示されます。

また、「外に出るのが怖い」「近くにカウンセリングルームがない」という方は、自宅でカウンセリングを受けられるオンラインカウンセリングの利用もおすすめです。

続けやすい料金設定も重要

先ほどもご紹介した通り、カウンセリングは何回か続けて通うケースがほとんど。

「せっかくカウンセリングで良い方向に進み始めたのに、お金がなくて続けられない…」と中断してしまうのはもったいないですから、定期的に支払っても負担が少ない料金の場所を探しましょう。

「お金はないけれど、カウンセリングを受けてみたい」という場合には【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法をぜひ読んでみてください。活用できるサービスがきっと見つかります。

「ずっとカウンセリングを受けたい」と思えるカウンセラーを選ぶコツ

資格や経歴をチェック

カウンセラー資格には、数か月のセミナー受講で取得できる資格など、質が良いとは言えない資格も多数出回っており、「どんな資格を取得していれば、スキルがあるカウンセラーと言えるんだろう?」とカウンセリングを探す人を悩ませます。

そんな時には「公認心理師」や「臨床心理士」の資格を持つカウンセラーを選ぶのがおすすめ。

大学院で実践的な訓練を重ね、難易度の高い試験に合格してやっと取得できる公認心理師や臨床心理士は、一定の水準以上の専門知識とスキルを備えていると言えます。

公認心理師と臨床心理士の両方を取得したダブルライセンスのカウンセラーなら、さらに安心です。

もっと詳しくカウンセラーの資格について知りたい方はカウンセリング資格の中で信頼できる資格は2つだけ【断言します】もあわせてチェックしてみてください。

カウンセリングの方法がニーズに合っているか

カウンセリングと言えば、「話を聴く」というイメージがありますが、実際には

  • クライエント(相談者)の無意識に注目する「精神分析」
  • クライエントの思考(認知)・感情・行動に注目する「認知行動療法」
  • クライエントがアートを介して心を表現する「芸術療法」

など、様々な方法があります。

「話を聴いてほしい」と思っているのに、「芸術療法」が得意なカウンセラーに出会っても、あまり満足感は得られないでしょう。

自分のニーズに合ったカウンセリングを提供してくれる場所を選びましょう。

なお、カウンセリングの方法についてはカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】で詳しく解説しています。

また、芸術療法のように言葉を使わないカウンセリングはカウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】でご紹介しています。

サイトやブログの印象が良いか

多くのカウンセリングルームは、サイトやブログを開設しています。

サイトやブログでは、「カウンセラーになった理由」や「カウンセリングで大切にしていること」などが書かれており、カウンセラーがどのような姿勢でカウンセリングに臨んでいるかを感じ取ることができます。

また、説明が分かりやすいか、サイトの使い勝手が良いかなども、カウンセラーがクライエント目線で考えられるかどうかを知る手がかりになります。

実際に会ったときに相性が合うか

実際に会ってみたときに相性が合うかどうかも重要なチェックポイントです。

カウンセラーも専門家である前に人間ですから、どうしても相性が合わないことはあります。

「なんだか合わない」と感じながら、我慢してカウンセリングを受けていてもストレスが溜まるばかりで逆効果です。

ただし、「カウンセラーと合わない」という感覚は、『どうせ誰も助けてくれない』とか『代わりに全部解決してほしい』といった、クライエントが持つ考え方のクセから生まれていることもあります。

まずは「相性が合わない」と感じていることをカウンセラーに話してみましょう。

その話題をきっかけに自分自身を苦しめる考え方のクセに気づけるかもしれません。

しかし、「話してみたけど取り合ってもらえなかった」という場合には、別のカウンセラーを探すことを検討してみても良いでしょう。

カウンセリングを受けたい人が準備しておくと安心なこと

主治医がいれば許可を得ておく

現在、精神科や心療内科で治療を受けている方は、主治医にカウンセリングを受ける許可を得ておきましょう。

カウンセリングは「話していくうちに癒される」というイメージがありますが、実際にはつらかった出来事やネガティブな感情に向き合わなければならないシーンも少なくありません。

そのため、心や身体にエネルギーが不足しているときには、カウンセリングによってかえって状態が悪化することもあります。

きちんと主治医の許可を得ること、得られなければ先に医療による治療を優先することは、あなたの心や身体を守る大切なプロセスなのです。

話したい内容をまとめておく

「相談したいけど、話すのが苦手」という方は、事前に話したい内容をまとめておきましょう。

  • 今、困っていること【今】
  • いつ頃から困り始めたか【過去】
  • カウンセリングでどうなりたいと思っているか【未来】

と、時間軸に沿ってまとめておくと話しやすいかもしれません。

もちろん、「完璧にまとめなきゃ」と気負わなくても大丈夫。

ある程度まとめておけば、カウンセラーがあなたのペースに合わせながら話を引き出してくれます。

まとめ

この記事では、カウンセリングを受けたい方に向けて「カウンセリングの探し方」「カウンセラーを選ぶコツ」「カウンセリング前に準備しておくと安心なこと」について解説しました。

カウンセリングは、

  1. カウンセリングを受けられる場所を知る
  2. 通いやすいエリアで探す
  3. 続けやすい料金設定のものを選ぶ

の3ステップで探すのがおすすめです。

また、信頼できるカウンセラーを選ぶときには、

  • カウンセラーの資格や経歴
  • カウンセリングの方法
  • サイトやブログの印象
  • 実際に会ったときの相性

といった点をチェックし、自分にしっくり来る人を選びましょう。

また、カウンセリングを受ける前に、

  • 主治医がいれば許可を得ておく
  • 話したい内容をまとめておく

という準備をしておくと安心です。

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。