【重要】カウンセリングはお金の無駄なのか心理学の専門家が解説

【重要】カウンセリングはお金の無駄なのか心理学の専門家が解説

カウンセリングは1回につき、数千円から1万円ほどのお金がかかります。

決して安くはない金額ですので、カウンセリングに通い始めても途中で「お金の無駄だ」「もっと別のことに使った方がいい」などと感じてカウンセリングを辞めてしまう人もいます。

せっかくカウンセリングに通うなら、支払ったお金に見合った効果や満足を得たいもの。

そこで今回は「カウンセリングはお金の無駄」と感じてしまう原因を探ると共に、カウンセリングがお金の無駄だと感じないための4つの方法を解説します。

カウンセリングはお金の無駄だと感じる原因

自分自身にお金をかける価値を見出せない

「自分には何の価値もない」という強い自己否定感から、自分のためにお金をかけることに罪悪感を抱く方がいます。

そういった方は、自分の心のケアをするためのカウンセリングに対しても「自分なんかのためにお金を使うなんて無駄だ」と感じてしまいます。

また、うつ病などの精神疾患を抱えていると、必要以上にお金の心配をする「貧困妄想」が見られることもあります。

そのため、「自分のことより家族の生活が大事!」とお金がかかるカウンセリングを無駄だと感じる場合もあります。

期待していたような効果が出ない

カウンセリングは、カウンセラーがクライエント(相談者)の代わりに悩みを解決したり、「こう解決しなさい」と教えたりする場ではありません。

また、悩みが1回で解決することは少なく、何回か継続して通う必要があります。

そのため、カウンセリングに対して「カウンセラーが解決策を教えてくれる」「悩みがすぐに解消できる」などの誤解があると「〇〇円も出したのに何も意味がなかった!」「お金の無駄だった!」と感じてしまいます。

質の低いカウンセリングを選んでしまった

料金に見合わない質の低いカウンセリングを選んでしまうと、当然ながら「お金の無駄」になってしまいます。

世の中には、たくさんのカウンセラー資格があります。

例えば、大学院修了と資格試験合格を必要とする「公認心理師」や「臨床心理士」がある一方で、ほんの数か月のセミナー受講で取得できてしまう資格もあります。

そのため、「資格を持っています」と銘打っていても、実際には十分な専門性を持たず質の低いカウンセリングしか提供できないカウンセラーも存在するのです。

なお、カウンセリングの資格についてはカウンセリング資格の中で信頼できる資格は2つだけ【断言します】、カウンセラーを選ぶ際の注意点についてはカウンセリングを受けたいと思ったらどうすれば良いのか【注意あり】にそれぞれまとめていますので、こちらもチェックしてみてください。

カウンセリングのお金を無駄にしないための方法

カウンセリングがどんなものか理解しておく

どんなサービスでも、お金を払う前に内容を確認・理解しておくことが大切です。

カウンセリングは、」専門家であるカウンセラーとクライエントが対話を重ねる中でクライエント自身が主体的に悩みを解決できるよう支援する場です。

つまり、カウンセラーはクライエントが抱えた悩みや問題そのものを代わりに解決するのではなく、「クライエント自身が解決する力」を高めることを目指しているのです。

しかし、解決する力は短期間で育まれるものではありませんから、カウンセリングにはある程度継続して通うことが求められます。

このようなカウンセリングに関する知識があれば、「思っていたのと違った」「お金の無駄だった」と後悔するリスクを軽減できます。

「カウンセリングの流れは?」「カウンセリングにデメリットはある?」などカウンセリングの実際についてもっと詳しく知りたい方はカウンセリングとは何なのか心理学の専門家が解説もあわせてお読みください。

自分のニーズに合ったカウンセリングを選ぶ

カウンセリングと言えば、カウンセラーとクライエントが1対1で実施する「個別カウンセリング」がよく知られています。

しかし、実際には家族全員で受ける「家族療法」や夫婦で参加する「夫婦カウンセリング」、2~3名のカウンセラーに対し8~9名のクライエントが参加する「グループカウンセリング」など、複数名で行うカウンセリングもあります。

また、カウンセリングの種類も

  • クライエントの無意識に注目する「精神分析」
  • クライエントの思考(認知)・感情・行動に注目する「認知行動療法」
  • クライエントが本来持っている解決能力を引き出す「来談者中心療法」
  • クライエントがアートを介して心を表現する「芸術療法」

など、たくさんあります。

そのため、まずは

「どんなカウンセリングなら受けやすいか」

「自分にとってのカウンセリングのゴールは何か」

など、自分にとってのカウンセリングのニーズを整理してみましょう。

その上で、自分に合ったカウンセリングを選べば、期待していた効果を得やすくなりお金を払うことにも納得できるはずです。

自分に合ったカウンセリングを知りたい方はカウンセリングの種類を心理学の専門家が解説【形態・療法別】で様々なカウンセリングのメリット・デメリットをご紹介していますので参考にしてみてください。

自分の思いを素直に話すよう心掛ける

カウンセラーはクライエントに寄り添うことを心掛けますが、クライエントが言葉にしない気持ちが完全に分かるわけではありません。

そのため、あなたの思いをはっきり伝えないとカウンセラーが「こうかな?ああかな?」と時間をかけて探ることになり、その分のお金もかかってしまいます。

また、内心では「そうじゃないのに!」と感じながら表向きはカウンセラーに合わせていると、不満やイライラが募り、それもまた「お金の無駄」という感覚につながります。

自分の思いを話すことに対し、「自己主張ばかりすると嫌われる」「こんなことを考えているとバカにされる」などの抵抗感を感じるかもしれませんが、カウンセラーはどんなあなたでも「良い/悪い」を判断することなくありのまま受け入れます。

悔いのないカウンセリングを実現するためにも、ぜひカウンセリングでは素直な気持ちを話してみましょう。

カウンセラーに今後の見通しを確認する

人は誰でも「これからどうなるのか」「どれくらいで終わるのか」といった見通しが分からないと「このままで大丈夫だろうか?」と不安になったり、途中でやる気を失ったりしてしまいます。

そのため、カウンセラーに

  • これからどんなことをしていくのか
  • どれくらいで改善できるのか

といったことを質問しておくと、安心してカウンセリングを継続できます。

もちろん、カウンセリングの効果は人それぞれであるため、カウンセラーにも「〇回で確実に治ります」といった保証はできません。

それでも、「あなたの状態を見ると、まずは××から始めるのが良いと思います」「多くの場合、〇回程度で症状が和らぎ始めます」など、あなたの不安が和らぐよう誠意をもって説明してくれるはずです。

まとめ

この記事では、カウンセリングがお金の無駄だと感じる原因と対処法についてご紹介しました。

カウンセリングがお金の無駄だと感じる背景には、

  • 自分自身にお金をかける価値を見出せない
  • 期待していたような効果が出ない
  • 質の低いカウンセリングを選んでしまった

などの原因が考えられます。

カウンセリングをお金の無駄にしないために、事前にカウンセリングがどんなものか理解しておくと共に、自分のニーズに合ったカウンセリングを選ぶことが大切です。

また、実際にカウンセリングを受ける際には自分の思いを素直に話すよう心掛けましょう。

さらに、カウンセラーに今後の見通しを確認しておくと「お金の無駄になるのでは?」という不安を払拭でき、安心してカウンセリングを続けられます。

また、金銭的な余裕がない場合やどうしてもカウンセリングにお金をかけることに強い抵抗感がある場合には【解決】カウンセリングを受けたいけどお金がない場合の対処法で、無料あるいは低料金で受けられるカウンセリングをまとめていますのでぜひ参考にしてみてください。

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。