カウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】

カウンセリングで話す内容は何でも大丈夫【守秘義務あり】

「悩みを1人で抱えることがつらい」

そう感じたときにおすすめしたいのが「カウンセリング」です。

しかし、「初対面の人と話すのは得意じゃない」「何を話せばいいか分からない」と抵抗を感じる人は少なくありません。

また、「話したことが他の人に知られてしまうのでは…」と不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

実はカウンセリングでは何でも話して大丈夫。

秘密もしっかり守られます。

この記事では、

  • カウンセリングで話す内容
  • カウンセリングで話した秘密を守る「守秘義務」

の2つについて詳しく解説しますので、カウンセリングに不安にある方はぜひ読んでみてください。

カウンセリングで話す内容は何でもOK

具体的にカウンセリングは、話したいと思ったことを何でも話して良い場所です。

しかし、「何でもいいと言われると、かえって困ってしまう…」「話すことがそもそも苦手」という人もいるでしょう。

ここでは、カウンセリングで自由に自分を表現するために知ってほしいことをご紹介します。

話がまとまっていなくてもカウンセラーがサポートできる

悩みは「誰かに話したい」と思っても、いざ話そうとすると、どこから話せばいいか迷ってしまうもの。

真面目な人ほど「ちゃんと話さなきゃ」と気負い、カウンセリングへのハードルが高まってしまいます。

実は、カウンセリングは話がまとまっていなくても大丈夫。

カウンセラーはクライエントのペースに合わせながら、必要に応じて質問を挟み、話をリードしていきます。

また、カウンセラーは言葉による情報だけでなく、クライエントの表情や視線などの「非言語情報」にも注意を向けています。

そのため、カウンセラーは話がまとまらない様子からも「人前で説明するのが苦手なのかな?緊張しやすいのかな?」など考えを巡らせ、クライエント自身や悩みへの理解を深めていきます。

あなたが一生懸命に話すことは、何一つ無駄にはならないのです。

「困っていること」がはっきりしていれば話してみよう

ある程度、カウンセリングで話すべき内容を知っていれば、話し始めるきっかけを作りやすいかもしれません。

カウンセラーが最も聴きたいのは「困っていること」です。

もし、「〇〇で困っている」とはっきり説明できるようであれば、そこから話し始めてみましょう。

また、これ以外にも

  • 生育歴(現在に至るまでどのように育ってきたか)
  • 家族(家族構成や家族の性格、年齢など)
  • カウンセリングに来た経緯(どうやってカウンセリングルームを知ったのか、なぜこのタイミングか…など)

といった内容がよく質問されます。

これらの内容をある程度準備しておくと、それ以外についても話しやすくなるかもしれません。

言葉以外を使ったカウンセリングを活用する方法もある

カウンセリングは何でも話せる自由もありますし、「話さない自由」もあります。

「どうしても言葉で説明するのが苦手」という人は、言葉以外の方法を中心に据えた次のようなカウンセリングを活用するのもおすすめです。

■芸術療法

言葉の代わりにアートを使って心を表現する方法です。

絵を描く、音楽を聴く、演奏する、粘土で作品をつくる…など、様々な方法があります。

心を表現することでカタルシス効果を得られると共に、完成した作品から「自分の心にはこんな世界があったのか」と自己理解を深めることができます。

■箱庭療法

カウンセラーが見守る中で、砂の入った箱にミニチュアを自由に置いたり、砂を動かしたりしながら、自分らしい箱庭を作っていきます。

完成した作品だけでなく、作る過程で生じる「ここに〇〇を置きたい」「カウンセラーに分かってほしい」などの心の動きから、自分でも言葉にできなかった気持ちや葛藤に気づき、悩みの解決につなげることができます。

■臨床動作法

成瀬悟策が開発した「動作」を使って心にアプローチする方法です。

カウンセラーにサポートしてもらいながら、自分の思う通りに身体を動かせるよう努力していくことで、身体はもちろん、心も「自分でコントロールできる」「自分も変わることができる」と実感でき、主体的に悩みを解決していく力が育まれます。

カウンセリングで話す内容は守秘義務で保護される

守秘義務とは?

守秘義務とは、文字通り「秘密を守る義務」のこと。

カウンセラー唯一の国家資格である「公認心理師」は、公認心理師法第四十一条によって「秘密保持義務」が定められています。

公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

公認心理師法第四十一条

また、民間資格ではあるものの、公認心理師と同様に大学院修了や資格試験合格を求める「臨床心理士」でも次のように定められています。

第2条 秘密保持

会員は,会員と対象者との関係は,援助を行う職業的専門家と援助を求める来談者という社会的契約に基づくものであることを自覚し,その関係維持のために以下のことについて留意しなければならない。

1 秘密保持

業務上知り得た対象者及び関係者の個人情報及び相談内容については,その内容が自他に危害を加える恐れがある場合又は法による定めがある場合を除き,守秘義務を第一とすること。

一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領

このように、クライエントが何でも安心して話せるよう、カウンセラーは秘密を守ることが職業倫理として強く求められているのです。

カウンセリングで守られる秘密とは?

カウンセリングでは、

  • クライエントが相談に来ている事実
  • クライエントの予約状況
  • カウンセリングで話した内容、あるいは描いた絵などの作品
  • 心理検査の結果
  • カウンセラーが書いた面接記録

などを守秘義務の対象としています。

ただし、カウンセラーは「秘密を守ること」は定められていても、「何を秘密にするか」は明確にされていないため、カウンセラー間でも守秘義務の範囲への認識には違いがあることもあります。

守秘義務の例外

守秘義務は「クライエントを守ること」が最大の目的です。

そのため、家族や関係機関に必要な情報を提供した方が、クライエントの心や身体、あるいは名誉が守られると考えられるときには、守秘義務よりも情報提供が優先されます。

例えば、

  • 幻覚や妄想に苛まれており、すぐに医療的な措置が必要である場合
  • 虐待やDVを受けており、このままでは心身や生命にも大きな被害を及ぼす危険性がある場合
  • 自殺したい気持ちを訴え、明らかに実行される可能性が高い場合
  • 犯罪行為の計画を語り、明らかに実行される可能性が高い場合

といった状況が挙げられます。

ただし、こういった場合でもカウンセラーはクライエントを守るためであることを説明し、クライエントが納得した上で、情報を提供できるよう努めます。

また、警察や裁判所から「捜査関係事項照会書」が提示された場合にも、秘密を守ることはできません。

まとめ

この記事では、カウンセリングで話す内容や、その内容を守る「守秘義務」について解説しました。

カウンセリングで話す内容は何でもOK。

上手く話せなくてもカウンセラーがサポートし、話を整理してくれます。

また、「話がまとまらない」という情報もあなたの悩みの理解に役立つこともあります。

どうしても話せない人は、言葉以外を使ったカウンセリングの活用もおすすめです。

さらに、カウンセリングで話す内容は「守秘義務」で保護されます。

ただし、秘密を守ることでクライエントの心・身体・名誉などに不利益がある場合には、他者への情報提供が優先されることもあります。

カウンセリングで話すことで得られる効果を知りたい方は【本質】カウンセリングの効果とは何なのか心理学の専門家が解説も合わせてお読みください。

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。