最近、オンラインカウンセリングという言葉をよく耳にしませんか?
オンラインカウンセリングという言葉はよく聞くけど、内容はよく分からないという人も多いかもしれません。
そこで今回は、オンラインカウンセリングについて心理学の専門家が解説します。
この記事を読むことで、オンラインカウンセリングとは何なのか、オンラインカウンセリングのメリット、デメリット、オンラインカウンセリングの効果が分かります。
オンラインカウンセリングとは
オンラインカウンセリングとは、一言で言うとインターネットを利用したカウンセリングのことです。
オンラインカウンセリングにはいくつかの種類があるので、1つずつ解説します。
電話カウンセリング
オンラインカウンセリングがインターネットを使ったカウンセリングのことなので、電話カウンセリングをオンラインカウンセリングに含まれないこともあります。
ただ、少し前からLINE電話などインターネットを使った電話によるカウンセリングもあるので、解説しますね。
電話カウンセリングとは、そのままですが電話を使ったカウンセリングのことです。
「いのちの電話」と聞いたことははないでしょうか?
「いのちの電話」が、電話カウンセリングの代表例ですね。
電話カウンセリングでは、カウンセラーが電話でクライエント(相談者)の相談に乗ります。
電話カウンセリングの特徴としては、
- 場所を選ばない
- 顔を見られたくない、対面が苦手なクライエントにとっては利用しやすい
- クライエントの声、話す内容が主な情報源となる
- クライエントの服装、姿勢、表情、身振りなどは分からない
- 電話回線の本数が少なくつながらないことがある
- 対面カウンセリングに比べてカウンセリング料金が安い
- カウンセリング料金とは別に通話料が掛かる場合がある
などが挙げられます。
ちなみに、厚生労働省では電話相談の窓口を紹介しています。
カウンセラーに相談したいけどなかなかカウンセリングルームに行く時間が取れない場合、電話カウンセリングを利用する方法もあります。
メールカウンセリング
メールカウンセリングとは、メールを使ったカウンセリングです。
メールカウンセリングの特徴としては、
- 時間や場所を選ばない
- 顔を見られたくない、対面が苦手なクライエントにとっては利用しやすい
- クライエントの文章が主な情報源となる(文章以外は絵文字、顔文字)
- クライエントの服装、姿勢、表情、身振りなどは分からない
- クライエントが文章を書いているうちに考えが整理される
- カウンセラーが応答するまでにタイムラグが生じる
- あとから読み返すことができる
- 対面カウンセリングに比べてカウンセリング料金が安い
などが挙げられます。
メールカウンセリングでは、カウンセラーには本当の意味で行間を読む力が求められます。
なぜなら、クライエントの表情が見えないからです。
例えば、クライエントが「死にたい」と書いてメールしてきた場合にメールカウンセリングではどの程度の本気度なのかを読み取ることが難しいです。
対面であれば「死にたい」という言葉以外にクライエントの表情や語気の強さなどから決意の強さなどの情報が得られますが、文字だけだと難しいです。
また、最近では電話が苦手な人も増えています。
そのような人にはメールなど文字でのやり取りが好まれることもあります。
チャットカウンセリング
メールカウンセリングと似たものにチャットカウンセリングがあります。
メールと同じように文字でのやり取りになりますが、LINEなどのSNSでチャットでやり取りをするものです。
そのため、チャットカウンセリングはSNSカウンセリングと呼ばれることもあります。
チャットカウンセリングの特徴としては、
- 時間や場所を選ばない
- 顔を見られたくない、対面が苦手なクライエントは利用しやすい
- クライエントの文章、スタンプが主な情報源となる
- クライエントの服装、姿勢、表情、身振りなどは分からない
- カウンセラーが応答するまでにタイムラグが生じる場合がある
- 既読機能により、カウンセラーに自分の書いた文章が読まれたかどうかを確認できる
- メールに比べてそれまでの話の流れを把握しやすい
- あとから読み返すことができる
- 対面カウンセリングに比べてカウンセリング料金が安い
などが挙げられます。
普段からSNSを利用することが多い人には、とても使いやすいでしょう。
メールカウンセリングに比べてスタンプを使うことができるので、そのときの感情を伝えやすかったりします。
しかし、スタンプなどがあるとは言えチャットカウンセリングもメールカウンセリングと同じようにカウンセラーには本当の意味で行間を読むことが求められます。
対面や電話でのカウンセリングが苦手で、普段からSNSを利用することが多い人には好まれる傾向にあります。
ビデオ通話カウンセリング
ビデオ通話カウンセリングとは、ビデオ通話アプリを使ったカウンセリングです。
2010年代から使われ始め、2020年の新型コロナウイルスによるリモートワークの増加に伴い大幅に普及しました。
具体的にはzoom、GoogleMeet、Skypeなどを使ってカウンセリングを行います。
初期の頃はビデオ通話アプリを使うと画像が乱れたり音声が遅延するようなこともありましたが、現在ではそのようなことはほとんどありません。
ビデオ通話カウンセリングは、電話カウンセリング、メールカウンセリング、チャットカウンセリングの表情が見ないという弱点を改善した対面に近いカウンセリングです。
ビデオ通話カウンセリングの特徴としては、
- 場所を選ばない
- クライエントの声、表情、話す内容が主な情報源となる
- クライエントの服装、姿勢、身振りなどもある程度把握できる
- カウンセラーが応答するまでにタイムラグが生じない
- 録画すればあとから見直すことができる
- 対面カウンセリングに比べてカウンセリング料金が安い
などが挙げられます。
オンラインカウンセリング(ビデオ通話カウンセリング)のメリット
ここでは、クライエント側から見たオンラインカウンセリング(ビデオ通話カウンセリング)のメリットについて解説します。
クライエントから見たオンラインカウンセリングのメリットとしては、
- 相談機関のない地方や離島、海外にいてもカウンセリングを受けられる
- 足の不自由な人でもカウンセリングを受けられる
- ひきこもりの人でもカウンセリングを受けられる
- 対面に近いカウンセリングを受けられる
- カウンセリング料金を節約できる
- 交通費を節約できる
などが挙げられます。
オンラインカウンセリングにはメリットが多く、これまでカウンセリングを届けることが難しいかった人たちにもカウンセリングを届けることが可能です。
オンラインカウンセリング(ビデオ通話カウンセリング)のデメリット
クライエント側から見たオンラインカウンセリング(ビデオ通話カウンセリング)のデメリットについて解説します。
クライエントから見たオンラインカウンセリングのデメリットは、
- 匂い、身体全体の服装や姿勢など対面に比べると情報が伝わりにくい部分がある
- セキュリティに対する不安がある
などが挙げられます。
セキュリティに対して不安がある人もいるかもしれませんが、インターネット上でクレジットカード番号や暗証番号などを入力している時代です。
ある程度、アプリ(ソフトウェア)を信頼することも必要です。
オンラインカウンセリングの効果
オンラインカウンセリングの効果について気になる人も多いのではないでしょうか?
特に対面でのカウンセリングと比べて、どちらが効果があるのかは気になるところですね。
海外の論文では、対面とオンラインでほぼ同等の効果があると報告されています。
また、日本では岡本・松田(2008)*1が日本人を対象とした研究で、
- 「話しやすさ」は、ビデオチャット>対面>メールの順で、ビデオチャットが1番話しやすい。
- 「緊張しにくい」は、ビデオチャット>メール>対面の順で、ビデオチャットが1番緊張しにくい。
- 「心の落ち着き」は、ビデオチャット>対面>メールの順で、ビデオチャットが1番心が落ち着つきやすい。
- 「不安の解消」は、メール>対面>ビデオチャットの順で、メールが1番不安が解消しやすい。
ということを明らかにしています。(※ビデオチャットとはビデオ通話とほぼ同じもの)
このように多くの研究結果がビデオ通話によるカウンセリングには対面と変わらない効果があることを示しています。
また、これからもっともっとオンラインカウンセリングの効果が明らかになっていくでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
オンラインカウンセリングの種類、オンラインカウンセリングのメリット、デメリット、効果について解説しました。
オンラインカウンセリングは、まだまだこれから伸びていく分野です。
悩みがある人は、ぜひ気軽に利用してほしいと思います。
参考文献 ミック・クーパー(著)清水幹夫・末武康弘(監訳)(2012)エビデンスにもとづくカウンセ リング効果の研究-クライエントにとって何が最も役に立つのか- 岩崎学術出版社 pp203- 205. *1 岡本悠・松田英子(2008)ビデオチャットカウンセリングの有用性に関する検討-対面 カウンセリング及びEメールカウンセリングとの比較- メディア教育研究 第4版 第2号 pp .91-98.