【幸福】良い人間関係を構築する4つのメリットとその具体的な方法

【幸福】良い人間関係を構築する4つのメリットとその具体的な方法

職場・学校・地域の集まりなど、人と関わらなければならない場面は人生で何度か訪れます。

「うまく人間関係を築けなかったらどうしよう…」と気が重くなる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、方法さえ知っていれば、良い人間関係を構築するのはそれほど難しいことではないのです。

この記事では「せっかくなら良い人間関係を構築したい」と考えている方に向けて、その具体的な方法を解説します。

また、人付き合いが苦手でも「チャレンジしてみようかな」と思える、良い人間関係を構築する4つのメリットも合わせてご紹介しますので、チェックしてみてくださいね。

良い人間関係を構築する4つのメリット

人間関係でのトラブルが少なくなる

人間関係が良いか悪いかで、同じ出来事に遭遇しても、人の受け取り方は変わります。

例えば、あなたと良好な関係であるAさんに挨拶したのに反応がなかったとしましょう。

あなたは「あれ?聞こえなかったのかな?」と思う程度で、あまり気にしないのではないでしょうか。

しかし、あまり関係の良くないBさんが挨拶に反応しない時はどうでしょうか。

「無視された!」と被害的に受け取り、「やっぱりBさんは嫌な奴だ」と感じるかもしれません。

同じ出来事でも、関係が悪いとトラブルの火種になりやすくなってしまうのです。

仕事での成果が得られやすくなる

近年では、仕事の生産性を高める要素として「心理的安全性」が注目されています。

これは、ハーバード大学で組織行動学を研究しているエドモンソン(Edmondson,A.C.)によって1991年に発表された論文「Psychologibal Safety and Learning Behavior in Work Teams」で提唱された考え方です。

この論文によると、心理的安全性は「チームのメンバーに共有された『このチームでは、対人関係のリスクを負っても安全である』という信念」であると定義されています。

そして、心理的安全性が生まれる条件には、「このチーム内では発言した人が恥ずかしい思いをしたり、拒絶や罰を受けたりすることはなく、お互いに尊敬と信頼がある」とみんなが確信していることが挙げられています。

心理的安全性が高ければ、分からないことを質問した時に「こんなことも分からないのか」とバカにされたり、自分の意見を発表したときに「何を言っているんだ」と否定されたりする心配がありません。

その結果、チーム内のコミュニケーションや協力体制が活性化され、生産性も向上するのです。

周囲の人からのサポートを受けやすくなる

いざ困ったときや悩んだときに自分から助けを求めるのは難しいもの。

しかし、普段から周囲の人と良い関係を築けていれば、あなたの変化に気づいて「どうしたの?」「何か力になれることはない?」と相手から声をかけてくれる可能性が高まります。

また、人間関係が良くないと、人をサポートするのは「自分の時間や労力が奪われる」と感じて億劫になりがちですが、良い関係を築けている場合にはサポートされる側だけでなく、サポートする側にも喜びや満足感といったポジティブな感情を生んでくれます。

その結果、さらにお互いにサポート提供のハードルを下げることができるのです。

良い人間関係は幸福感を高める

人間関係と幸福感との関連については、多くの研究が行われています。

例えば、内田ら(2012)*1によると、人間関係を広く求めるタイプの人たちは多くの人と人間関係を持つことが幸福感につながり、今の人間関係を大切にしたい人たちは居心地の良い人間関係を持つことが幸福感につながることを明らかにしています。

また、小谷(2013)*2による研究では、家族・親戚・友人が頼りになると感じている人ほど、幸福感が高いことをまとめています。

このように良い人間関係が幸福感を高めるという結果は様々な研究で立証されているのです。

良い人間関係を構築する具体的な方法

第一印象を良くする

身だしなみ・表情・ジェスチャーで印象が変わる

人間関係は、身だしなみ・表情・ジェスチャーなど目に見える情報によって作られる「第一印象」から始まります。

人は危険や不快感から自分を守りたい本能がありますので、「この人はなんだか嫌な感じだ」とネガティブな印象を抱くと、近寄ることを避けるようになります。

そして、この判断は数秒から数分の間という非常に短い時間で行われるのです。

良い人間関係を築こうと思うなら、

  • 清潔感のある髪型や衣類
  • 柔らかい笑顔
  • 背筋の伸びた姿勢

などに注意を向けてみましょう。

また、良い人間関係を築くためのジェスチャーやコミュニケーションのコツについては【簡単】人間関係に役立つ心理学のテクニック【明日から使える】で詳しく解説していますので、こちらも合わせて読んでみてください。

形成された印象はその後の関係を左右する

アメリカの心理学者ソーンダイク(Thorndike,E.L.)は、1つの特徴に引っ張られて他の特徴が見えなくなってしまう「ハロー効果」を提唱しました。

このハロー効果の影響によって、第一印象がその後の関係も左右してしまうことがあります。

例えば、一度「冷たそう」という印象を抱かれると、どれだけ優しいところを見せても、ハロー効果のせいでなかなか払拭できないのです。

初対面の人と出会うときは、できる限り好印象を与えられるよう努力しましょう。

誠実に接する

林(2006)*3は、“人のパーソナリティ特性にはさまざまあるが、第一印象形成との関係では誠実さが非常に重要な働きをしている”と述べており、いかに「誠実さ」を伝えるかが人間関係を良好にスタートされるための鍵となることが分かります。

もちろん、第一印象だけでなく、それからの付き合いでも誠実さは良好な人間関係を維持するために必要です。

ここでは、人と誠実に接するために気を付けたいポイントをご紹介します。

嘘やごまかしなく公平にふるまう

誠実であるための条件の1つは、嘘やごまかしなく、誰に対しても公平にふるまうこと。

人間関係を良くしようと誰にでもいい顔をする「八方美人」は、その場しのぎにはなりますが、一度ごまかしが発覚すると、もう誰からも信じてもらうことはできないでしょう。

人によって態度を変えるのではなく、常に自分の信念に沿った関わりを持つことが大切です。

約束やルールは必ず守る

約束やルールはお互いに心地良く過ごすために設定されます。

それを守らないのは「あなたのことはどうでもいい」という宣言に近いものです。

例えば、「たった5分の遅刻」は、遅刻した側にとっては「これくらい大丈夫だろう」と軽く考えられているかもしれません。

でも、遅刻された側からすれば、時間を奪われただけでなく、自分の心も雑に扱われた感覚があるでしょう。

人によっては「こんな扱いを受けるなら、二度と関わりたくない」と感じる可能性もあるのです。

誠実でありたいなら、「これくらいはいいだろう」と甘く考えず、約束やルールは徹底して守るようにしましょう。

自分の発言・行動に責任を持つ

  • 昨日と今日とで発言がコロコロ変わる人
  • 優柔不断で「どうすればいい?」といつも他人に意見を求めている人
  • 大きなことばかり言うけれど行動しない人

上記のような自分の発言や行動に一貫性がなく、責任を持たない人は、周りの人から「信用できない」「付き合っていると疲れる」と思われてしまい、安定した人間関係を築くことが難しくなりがちです。

誠実で魅力ある人間になるために、自分の発言には責任を持ち、自ら率先して行動していきましょう。

また、自分の発言や行動が間違っていたときには、素直に謝る姿勢も誠実であるために大切なことです。

常に感謝の心を持つ

「全ての成功は自分の力によるものだ」と思っていたり、他者がしてくれることを「当然」と思っていたりする人に対して、人は「利用されるだけ」と感じ、避けるようになります。

また、仕方なく協力したとしても「頑張っても意味がない」と手を抜かれるかもしれません。

あなたの仕事が成功したとしても、その背景には仕事のやり方を教えてくれた上司や、あなたがその仕事に集中できるよう雑務をこなしてくれた同僚など、様々な人の支えがあるのです。

自分を支えてくれる人たちに感謝の心を持ち、伝えていけば、周囲の人は自然と「もっとこの人に協力したい」と思うようになるでしょう。

まとめ

良い人間関係を構築すると、

  • 人間関係でのトラブルが少なくなる
  • 仕事での成果が得られやすくなる
  • 周囲の人からのサポートを受けやすくなる
  • 幸福感が高まる

という4つのメリットを得られます。

良い人間関係を構築する際には、第一印象を良くすること、そして誠実に接することが大切です。

また、【良好】人間関係がうまくいく5つのコツを心理学の専門家が教えます【解決】職場の人間関係に悩んだときに試してほしい3つのことでも、良好な人間関係を構築するために取り組める具体的な方法をいくつかご紹介しています。

「第一印象を良くすることはできたけど、これからどう関わっていけばいいんだろう」と気になる方は「人間関係のスタートで失敗してしまった。挽回するにはどうしたらいい?」と悩んでいる方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

参考資料

*1 内田由紀子・遠藤由美・柴内康文(2012)人間関係のスタイルと幸福感:つきあいの
数と質からの検討 実験社会心理学研究 52(1) pp63-75.
*2 小谷みどり(2013)人づきあいと幸福度の関係 Life Design Report Winter 2013.1
 pp16-23.
*3 林伸二(2006)第一印象の形成 青山経営論集 40(4) pp51-58.

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。