「久しぶりにメールを送ったら送信できなかった」
「いつの間にかSNSのアカウントが消えていて連絡がつかない」
「電話をかけたら番号が変わっていてつながらない」
このように人間関係をリセットされてしまうと、大きなショックを受け、「どうして?」「どうしたらいいの?」という思いが頭をグルグルと回ります。
結論から言えば、人間関係のリセットが発生する原因の多くは、リセットする本人にあるもの。
そして、あなたに出来ることは限られています。
「それでも何か行動したい」という方のために、この記事では、
- 人間関係をリセットされた原因
- 人間関係をリセットされた場合の対処方法
をご紹介します。
人間関係をリセットされた原因
しんどい思いをしていたから
不幸なことに、どれだけ相手に寄り添い、仲良くしているつもりでも、相手に負担をかけている人間関係というものは存在します。
例えば、あなたが「もっと〇〇した方がいいよ」「そんなことじゃダメだよ」などのアドバイスをしたとしましょう。
そのアドバイスが本当に善意からであったとしても、素直に受け取ってくれる相手ばかりではありません。
- 「私は今のままでいいのに…」と反発心を抱く
- 「言われなくても分かっているよ!」と卑屈になる
- 「いつも僕のことをバカにして…」といらだつ
など、ネガティブな気持ちを抱く人もいるのです。
しかし、あなたに「嫌われたくない」と思ってネガティブな気持ちを隠し、表面上は「そうだね」とニコニコしているため、あなたは相手がしんどい思いをしていることに気づけません。
そして、何度かのすれ違いの末、しんどさを蓄積させた相手は「もう限界」と突然にあなたとの関係をリセットしてしまうのです。
嫌われる前に離れようとしているから
「人間関係をリセットされた」と聞くと、「相手に嫌われたから」と思われがちですが、実際にはあなたへの好意が大きくなったからこそ、「見捨てられ不安」が大きくなり、リセットしてくる人もいます。
■見捨てられ不安とは?
生まれたばかりの頃は、お母さんがいないとどこにも行けなかった赤ちゃんも、幼児へと成長するにつれて、ハイハイやよちよち歩きでお母さんから離れ、外の世界へと活動範囲を広げていきます。
これは子どもが自立していく上で必要不可欠なプロセスです。
しかし、お母さんから離れると幼児には「離れている間にお母さんに見捨てられるのでは」という不安が生まれ、「外の世界に行きたい」という気持ちとの間で葛藤が生じます。
それでも、お母さんがちゃんと戻ってくるまで待っていて、あたたかく迎えてくれる経験を重ねれば、「何度離れてもお母さんは私を見捨てない」「いつでも愛してくれている」と確認でき、見捨てられ不安は自然と解消され、お母さんから離れても安心して活動できます。
しかし、お母さんが「勝手にどこかに行く子なんて知らない!」と冷たく接したり、戻ってきたときにいなかったりすると、「ちょっとでも離れると、お母さんからの愛情を失ってしまう」と、見捨てられ不安を強め、いつもお母さんのそばを離れなかったり、お母さんの顔色をうかがったりするようになります。
そして、見捨てられ不安を解消できないまま、大人になってしまうこともあるのです。
見捨てられ不安を抱えた人は、あなたが大切な存在になればなるほど、1人でいる時間に「こんなに離れていたら、もう見捨てられているのではないか」「次に会うときには自分が嫌いになっているのではないか」という不安でいっぱいになります。
そして、いつ見捨てられるか分からない不安に耐えきれず、「見捨てられる前にこっちから離れてしまおう」と関係をリセットしてしまうのです。
また、藤田(2010)*1によると、見捨てられ不安を抱えた人は、“あたかも自分が誰からも愛されるに値しない人間である”と感じているとされます。
そのため、あなたが傷つくであろう「人間関係のリセット」をすることで、「こんな酷いことをする自分は、やっぱり誰からも愛されない人間だ」と確認している部分もあります。
人間関係全てが面倒になったから
うつ病や適応障害などの精神疾患を抱えると、人との会話や連絡を取ることなど人間関係にまつわる行為が全て億劫になってしまう傾向が見られます。
また、精神疾患による「自分なんか価値のない人間だ」「自分はひどい奴だ」などのネガティブな思考も、人間関係への抵抗感を生み出します。
その結果、「もう何もかも面倒だ」と考え、全ての人間関係を衝動的にリセットしてしまうこともあるのです。
人間関係をリセットされた場合の対処方法
自分自身の言動に問題がなかったか振り返る
人間関係をリセットされてしまう背景には、リセットする人の心理状態が大きく影響しています。
そのため、あなたの努力だけで全てのリセットの原因を取り除くことはできません。
しかし、これから先、人間関係のリセットで傷つかないためにも「自分にも問題があったかもしれない」と振り返り、なるべくリセットされない言動を身につけることはできます。
先ほどお話しした通り、相手にしんどい思いをさせてしまうと、人間関係をリセットされる可能性が高まります。
- 自分の価値観を相手に押し付けてしまう
- つい愚痴や悪口を言ってしまう
- 自分の話ばかりしてしまう
など、相手にとって負担になるような関わりをするクセのある人は、自分の行動を改めるようにしましょう。
【まとめ】良い人間関係を築くために大切なことを心理学の専門家が解説でも、リセットされない良い人間関係を築く具体的な方法をまとめていますので、ぜひご覧ください。
リセットされた関係を引きずらない
リセットされると「どうしてリセットされたんだろう」「何が悪かったんだろうか」といった悩みが頭をグルグルと巡ります。
しかし、リセットした相手と連絡が取れない以上、悩んでいても答えは得られないのです。
実は、人間関係をリセットした人の多くは、「人間関係から解放されたい」とは思っていても、あなたを含め、特定の誰かに「傷ついてほしい」「苦しんでほしい」とは思っていません。
そのため、リセットされたことをいつまでも引きずる必要はないのです。
そもそも人間関係はずっと変わらないものではありません。
小学校の頃は仲良しだったけれど、今は全く連絡を取っていない友達がいる人も多いでしょう。
だからこそ、人間関係がリセットされても、それは変化の1つとして受け入れると共に、リセットされた経験から学んだことを活かして、今ある人間関係や、これから出会う人との関係をより良いものにしていくことが大切なのです。
「人間関係をリセットする人はどんな心理状態なのか」については、人間関係をリセットしたいと思っている人に伝えたいことに詳しく書いていますので、読んでみてください。
まとめ
この記事では、「人間関係をリセットされた原因」と「人間関係をリセットされた場合の対処方法」についてご説明しました。
あなたが人間関係にリセットされた原因として、相手が
- しんどい思いをしていたから
- 嫌われる前に離れようとしているから
- 人間関係全てが面倒になったから
という3つの心理状態であったことをお話ししています。
また、人間関係をリセットされた場合の対処方法として、
- 自分自身の言動に問題がなかったか振り返る
- リセットされた関係を引きずらない
の2つをご紹介しています。
参考文献 *1 藤田裕司(2010)非行の心理療法 心理臨床大事典[改訂版] 改訂第7刷 p276-278.