【まとめ】良い人間関係を築くために大切なことを心理学の専門家が解説

【まとめ】良い人間関係を築くために大切なことを心理学の専門家が解説

新しい人間関係にスムーズに入っていくには、良い人間関係の構築が欠かせません。

しかし、良い人間関係を築く方法は教わる機会がないため、「一体何から始めればいいんだろう?」と困ってしまうことも。

そこで今回は、良い人間関係を築くために知っておくべき大切なこととして、

  • 良い人間関係とはどんな状態か
  • 良い人間関係を築くための3つの方法

を分かりやすく解説します。

また、「どうしても人間関係がうまくいかない!」という人にチェックしてほしいポイントも説明しています。

この記事を読めば、今の人間関係もこれからの人間関係も良好なものに変えていくスキルが身に付きます。

良い人間関係を築くために知っておくべき大切なこと

そもそも良い人間関係とはどんな状態?

そもそも「良い人間関係」とは何かをきちんと理解していなければ、良い人間関係を築くことは難しくなります。

良い人間関係を築くには、

  • お互いに肯定的なコミュニケーションを取っていること
  • 1人1人が対等であること
  • その人の考えや感情が受け入れられていること

という3つのポイントがあります。

下の図1を見てください。

これは良い人間関係を築けているブルーチームと悪い人間関係を築いているレッドチームです。

図1良い悪いの人間関係の対比

ブルーチームでは、お互いを肯定するコミュニケーションが盛んに行われています。

上司が部下に対し「すばらしい」「よく頑張ったね」など、肯定的な言葉を伝えます。

すると、それを聞いている周りの部下も「良かったな!」と褒め合ったり、「自分も頑張らなきゃ」と自発的に意欲を高めたりしていきます。

もし、部下に困ったことが起こっても、このような上司なら安心して相談できるでしょう。

ブルーチームでは、上司と部下が対等に話せる環境も育まれているのです。

また、上司が「言うことを聞け」「成果をあげろ」など指示を出さなくても、メンバーが自発的に取り組んだ行動が自然とチームのためになっていきます。

一方、レッドチームでは、お互いを否定するコミュニケーションが行われます。

上司が部下に対し「なんでこんなこともできないんだ」と怒鳴ると、部下はつらく悲しい気持ちになります。

また、自分の出世にしか関心がなく、部下には興味がない上司もいます。

このような上司に部下は相談ができません。

上司と部下の間には大きな壁が生まれてしまっています。

その結果、レッドチームでは「上司に目をつけられないために余計なことはしない方がいい」と感じる部下が多く、自発的な行動はできません。

上司の評価が気になり、いつも不安と緊張でいっぱいのチームになってしまうのです。

さて、あなたはどちらのチームに入りたいですか?

多くの人が「ブルーチーム」と答えると思います。

ブルーチームに入るためには、あなたもブルーチームらしい人間関係の築き方をマスターしている必要があります。

その3つの方法を次にご紹介しましょう。

良い人間関係を築く3つの方法

相手の心や身体を尊重する

「関係」は対等な人同士の間で生まれるものです。

そして、対等であるには、どちらかが虐げられていたり、我慢していたりしてはいけません。

例えば、以下のような関係は「良い関係」と言えるでしょうか。

  • Aさんがなんでも決めてしまい、Bさんが意見を言おうとすると「お前は黙ってろ」と押さえつけてしまう関係
  • Aさんが暴力を振るうので、Bさんは怖くて従っている関係

これらの関係は、Aさんにとっては何の問題もありません。

しかし、Bさんにとってはつらい関係です。

Aさんがどれだけ「私たちは良い関係が築けています!」と主張しても、Bさんの心や身体が尊重されていない以上は「良い関係」とは言えないのです。

普段から相手の心や身体を尊重し、対等な関係を築くように心がけてみましょう。

特に社会的に上の立場にいる場合や、身体的な力が強い場合など、相手より自分が優位にいるときほど、ちょっとした言動で相手を萎縮させてしまいがち。

「我慢させていないかな」と常に気を配るようにしましょう。

相手に寄り添ったコミュニケーションを取る

コミュニケーションを「キャッチボール」で考えてみてください。

あなたはこんな投げ方をしていませんか?

  • 相手が受け取る準備をする前に投げる=いきなり話し始めてしまう
  • 相手が受け取れない場所に投げる=相手の興味がない話をしてしまう
  • 相手が受け取れないほど強くボールを投げる=相手にきつい言葉をぶつけてしまう

相手がどれだけ「受け取りたい」と思っていても、あなたがこんな投げ方をしていては、うまくキャッチボールはできません。

もし、心当たりがあれば、こんな風にコミュニケーションの方法を変えてみてはいかがでしょう。

■相手が受け取る準備をする前に投げる人

「〇〇さん」「今、大丈夫ですか?」など、一声かけて、相手の注意を自分に向けてから、ボール(言葉)を投げてみましょう。

■相手が受け取れない場所に投げる人

まずは誰にでも受け取れるボール(話題)を選びましょう。

  • 天気の話
  • 最近のニュース

など、深い意味はないけれど、お互いに負担なく話せる話題がおすすめです。

そこから、少しずつ相手の興味や関心を知り、深いけれどもお互いにキャッチしやすい内容へと話題を変化させていくのです。

■相手が受け取れないほど強くボールを投げる人

できるだけふんわりと優しいボール(言葉)を投げかけてみましょう。

全てをすぐに直せなくても、話すペースをゆっくりにしたり、丁寧にしたりするだけでも、優しさを伝えられますよ。

自分の機嫌は自分で取る

不機嫌な人といると、イライラやピリピリが伝わって自分までどっと疲れてしまいます。

そのため、「一緒にいたい」とはなかなか思えません。

つまり、良い人間関係を築くためには、自分がいつも機嫌良くしていることも大切です。

まずは自分がストレスを抱えているサインを見逃さないことが大事。

  • いつもより寝つきが悪い
  • 肌荒れがひどい
  • 甘いものや揚げ物を食べすぎてしまう
  • 身体がアルコールを欲している

など、自分がキャッチしやすいストレスサインを見つけてみましょう。

周りの人に「どんな時に私がイライラしているって分かる?」と質問してみるのも良い方法です。

そして、ストレスを感じてる自分に気づいたら、思いっきり甘やかしてあげましょう。

美味しいものを食べるもよし、お風呂でのんびりするもよし。

大切な人に感謝の気持ちを伝えるように、毎日頑張っている自分を労ってあげましょう。

【幸福】良い人間関係を構築する4つのメリットとその具体的な方法にも、良い人間関係を築く大切なポイントをご紹介していますので、合わせてご覧ください。

どうしても良い人間関係を築けない場合に大切なこと

なぜ良くない関係になっているのかを振り返る

下の図2では人間関係が心地良く感じている状態を〇、不快な状態を×で示しています。

そして、図2からは人間関係の良くないパターンには、

  • 【自分は〇、相手は×】のパターン
  • 【自分は×、相手は〇】のパターン
  • 【自分は×、相手は×】のパターン

の3つがあることが分かります。

図2人間関係のパターン

まずは良くない人間関係がどんなパターンに陥っているのかを考えてみましょう。

相手ではなく自分を変える

人間関係は自分と相手の両者で作っていくものです。

しかし、相手を変えようとすると、「私はあなたの意思や感情を無視する人間です」というメッセージを伝えることになってしまい、さらに関係は悪化していくでしょう。

まずは、自分自身を変えてみましょう。

自分を変えることで、相手も「今までのスタイルじゃなくていいんだ!」と変わってくれる可能性も高まります。

【自分は〇、相手は×】なのであれば、もっと相手の目線に立った行動を心がけた方が良いでしょう。

また、【相手は×、自分は〇】なのであれば、もう少し自分の主張を行った方がよさそうです。

時には距離を置くことも大切

「それでもうまくいかない!」という場合には、距離を置くことも大切です。

特に、【自分は×、相手も×】では、一緒にいればいるほど傷つけあってしまい、どんどん良くない方向に陥ってしまう危険性があります。

しばらく距離を置くと、自分も相手も感情や考え方にほんのわずかでも変化が生じます。

その変化が二人の関係性に良いものを生み出してくれる可能性もあるのです。

「距離を置くのは関係が悪いから」とネガティブに捉えるのではなく、「距離を置くのは良い関係になりたいから」とポジティブに受け止めることも時には必要です。

まとめ

この記事では、「そもそも良い人間関係とはどんな状態か」をご説明した上で、

  • 相手の心や身体を尊重する
  • 相手に寄り添ったコミュニケーションを取る
  • 自分の機嫌は自分で取る

という良い関係を築くために大切な3つの方法をご紹介しました。

また、どうしても良い人間関係が築けない場合には、なぜ良くない関係になっているのかを振り返ると共に、相手ではなく自分を変えることが不可欠です。

それでも、うまくいかない場合には一時的に距離を置くのも大切なことです。

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。