人間関係が苦手な人の特徴と克服方法【苦手なままでもOK】

人間関係が苦手な人の特徴と克服方法【苦手なままでもOK】

「人間関係がうまくいかない」

「人と一緒にいると緊張する」

「大勢の中にいると、どっと疲れる」

など、人間関係が苦手だと感じる人は少なくありません。

実は人間関係が苦手な人にはいくつかの特徴があります。

この記事では人間関係が苦手な人の特徴と、その苦手を克服する方法をまとめました。

また、人間関係の苦手さは「内向性」という性格の一部でもあります。

その性格を生かして、自分らしく生きていく方法も紹介していますので、ぜひご覧ください。

人間関係が苦手な人の特徴

プライベートでは1人になりたい

人間関係が苦手な人の多くは、他者に嫌われたくない気持ちが強く、「楽しんでいるかな」「何を考えているんだろう」など、常に他者のことが気にかかり、気疲れしてしまいます。

そのため、プライベートでは「1人でのんびり過ごしたい」と考える傾向があります。

「1人って寂しくないの?」と思われがちですが、買い物や映画、食事や旅行など、幅広い活動を1人で楽しむことができ、寂しさや孤独感は全く感じません。

ごく稀に親しい友人とは遊びますが、楽しさと共に疲れもやっぱり感じてしまうため、頻繁には会いません。

万が一、プライベートの時間で偶然知り合いを見つけた場合には大慌て。

できるだけ見つからないよう、さりげなくその場を離れます。

ビジネスライクな関わりはできる

人間関係が苦手ない人も、人と関わる場面全てが苦手という訳ではありません。

ビジネスライクな関係であれば気負うことなく話せるという人も多いのです。

「人間関係は苦手だけど接客は得意」という人は実はたくさんいます。

例えば、後藤ら(2003)*1の研究では、大学生に得意とする対人場面を尋ねたところ、「アルバイトでの接客」が多く報告されたことが明らかになっています。

人間関係が苦手な人は、「自分を出すと、他者に攻撃されるのではないか」という点を恐れています。

そのため、「自分」を出さずに「店員」としてふるまう客であれば、安心してお客様と関わることができるのです。

なお、人間関係が苦手な人に向いている仕事と仕事をする上で大切なことでは、人間関係が苦手な人でも安心して取り組めることをまとめていますので、ぜひ読んでみてください。

全く知らない人とは比較的話せる

人間関係が苦手な人は、全く知らない人とは気軽に話せることがあります。

例えば、人間関係が苦手でも、道を聞かれたときにはスムーズに答えたり、旅行先で知り合った人と仲良く話したりできる人もいます。

これは、その相手が「その場限り」の関係だから。

必ず別れが来る相手だからこそ、「嫌われたらどうしよう」「攻撃されはしないか」などを心配せず、自分をのびのびと出せるのです。

先ほどご紹介した後藤らの研究でも、大学生の得意とする対人場面として、一時的もしくは短期的な関係の「初対面の人」を挙げた人が多数いました。

人間関係の苦手を克服する方法

最低限のコミュニケーションを重視

人間関係が苦手な人は、「他者を傷つけないか」「不快にしないか」を十分に検討しないとコミュニケーションを取れません。

その結果、話しかけられても「どう答えよう…」と迷っている間に「無視した」と思われたり、すぐに伝えなければならないことがあっても「どのタイミングなら迷惑じゃないだろうか」と迷った挙句、相手に伝えるのが遅くなってしまい、「責任感のない人だ」と思われたり、さらに立場が苦しいものになってしまいます。

柔軟なコミュニケーションが苦手だからこそ、最低限必要なコミュニケーションだけは、応答のパターンを用意しましょう。

■あいさつ・お礼・謝罪は絶対に言う

「何を話せばいいんだろう」と困る人は、まずは「おはようございます」「お先に失礼します」などのあいさつだけは、相手の目を見ながら、ハキハキと声を出して言うようにしましょう。

また、お礼や謝罪は「あなたを尊敬している」という姿勢を見せる大切な言葉。

この2つもタイミングを逃さず言えば、それだけで良い印象を与えます。

■報告・連絡・相談も確実に届ける

報告・連絡・相談、いわゆる「ほうれんそう」も最低限押さえておきたいコミュニケーションの1つです。

これが出来ないとチームで協力することができません。

「でも、声をかけるタイミングが分からない」と悩む方は、【解決】職場の人間関係に悩んだときに試してほしい3つのことをぜひご覧ください。自分もOK、相手もOKなコミュニケーション「アサーティブ」について解説しています。

話を聴く力を高める

「自分の弱い部分を見られたくない」という思いから、人間関係を苦手だと感じている人は、他者に「話す」ことに強い抵抗感を抱きます。

そのため、コミュニケーションを取るのが嫌になってしまうことも。

しかし、コミュニケーションは話す人と聴く人の両方がいて初めて成り立ちます。

話すのが苦手なら、聴く人として参加できるよう、聴く力を高めてみましょう。

聴く力は以下のポイントを意識することで高められます。

■ペーシング

相手と話す速度・声の大きさ・表情などを合わせると、話しやすさを感じてもらえます。

■視線のコントロール

視線を合わせると「あなたの話をしっかり受け止めるよ」というメッセージを伝えられます。

しかし、見られ続けると相手も緊張してしまうので、視線は適度に外すのも忘れずに。

■あいづち

うなずくことで、興味を持って聴いていることを伝えます。

■オウム返し

相手の言葉を繰り返すことで、理解しようとする姿勢を見せます。

そもそも人間関係の苦手は克服しなきゃいけないの?

人間関係が苦手だからこその強みもある

そもそも人間関係が苦手なのは、「内向性」と呼ばれる性格特性の1つ。

性格を分類する方法として「タイプ論」を提唱したユング(Jung,C.G.)は、「心のエネルギーをどこに向けているか」によって、性格を「外向性」と「内向性」の2つに分類しました。

ユングによると、外向性の高い人は「自分の外側に存在する他者や環境」にエネルギーを向ける傾向があるため、他者との人間関係にも積極的に取り組めます。

一方、内向性の高い人は、「自分の内側」にエネルギーを向ける反面、周りにエネルギーを注げず、人間関係が苦手になりがちです。

しかし、内的な感覚を大切にするため、芸術的なセンスや独創的なアイデアを生み出す傾向があるとされています。

ユングのタイプ論については、【理論】性格の類型論を心理学の専門家が分かりやすく解説で詳しくまとめていますので、興味のある方はこちらもご覧ください。

無理に人間関係の苦手を克服するよりも、「内向性」が強みをよく理解した上で、自分を生かせる場所を探すのも1つの対処方法と言えるでしょう。

あなたを理解してくれる人を大切にしよう

「人間関係が苦手」と言ったときに「みんなと仲良くしなきゃ!」「もっとノリ良くいこうよ」「1人だと寂しいよ」など、あなたを無理やり変えようとする人と付き合うと、ますます人間関係への苦手意識が高まってしまいます。

あなたを理解した上で、「それでも大丈夫だよ」と寄り添ってくれる人を大切にしましょう。

安全に付き合える人がいると「人間関係は苦手だけど悪いものではない」と実感でき、新たな人間関係に踏み出す勇気がもらえます。

また、人間関係での困りごとをサポートしてもらうこともできるでしょう。

まとめ

この記事では、人間関係が苦手な人の特徴と克服方法について解説しました。

人間関係が苦手な人には、

  • プライベートでは1人になりたい
  • ビジネスライクな関わりはできる
  • 全く知らない人とは比較的話せる

といった特徴があります。

そして、そんな人間関係の苦手を克服する方法として

  • 最低限のコミュニケーションを重視する
  • 話を聴く力を高める

という2つの方法をご紹介しました。

しかし、必ずしも人間関係の苦手は克服しなければならない訳ではありません。

人間関係の苦手さは「内向性」という性格の一部であり、そこには魅力や強みもあります。

そんなあなたを理解してくれる人をぜひ大切にして、自分なりの人生を楽しんでみてください。

参考文献

*1 後藤学・大坊郁夫(2003)大学生はどんな対人場面を苦手とし、得意とするのか?-コ
ミュニケーション場面に関する自由記述と社会的スキルとの関連- 対人社会心理学研究 3
 pp57-63.

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。