私たちは幼い頃から「誰とでも仲良くすべき」「友達はたくさん作るべき」という価値観を知らず知らずのうちに植え付けられてきました。
しかし、人間関係を維持しようと頑張るほど「人間関係がしんどい…」と感じてしまうことも。
これはいらない人間関係まで背負い込んでいるサインかもしれません。
負担に感じるような人間関係は整理してみるのがおすすめ。
この記事では、
- 人間関係を整理した方が良い場合
- 整理すべき人間関係の基準
- 人間関係を整理する具体的な方法
の3つをご紹介します。
今日から不要な人間関係に縛られない、自分らしい生き方を見つけてみませんか。
人間関係を整理した方が良い場合とは?
人間関係のせいで自由な時間を失っている
「今晩、飲みに行こうよ」などの誘いに対し、「今日は一人でゆっくりしたい」と思っていても、「せっかく誘ってくれたのに断ったら悪いかも…」と考えて、つい「いいよ」と返答してしまうことはありませんか?
また、1人でのんびり過ごしている時間に、SNSでの連絡が飛び込んでくると、「こっちから話を切ったら、嫌な気分にさせてしまうかも」と返事に一生懸命になり、気づけば時間が過ぎ去っていた…という人もいるのではないでしょうか?
人間関係のせいで自分の時間を自由に使えなくなっているのなら、整理することを検討した方が良いのかもしれません。
気の乗らない付き合いで出費がかさむ
人付き合いが多ければ多いほど、結婚式・お土産・飲み会などによる出費がかさみます。
もちろん、これらの出費も相手の喜ぶ姿や楽しい時間を想い、自分の心も温かくなるのなら、無駄ではありません。
しかし、その出費のために自分の生活が苦しくなっていたり、やりたいことを我慢したりしているのであれば、いらない人間関係での出費は減らしていく方が良いでしょう。
自分の感情を偽って付き合っている
「楽しくないのに楽しいフリをしている」「面白くないのに笑っている」という風に、人間関係で自分の感情を偽った経験がある人は多いのではないでしょうか。
「職場での仕事を円滑に進めるため」や「取引相手との交渉をスムーズに行うため」といった目的がある場合は仕方ありませんが、本来リラックスできるはずの友人関係でさえ自分を偽ることは、心も身体にも悪い影響を与えます。
自分の感情を偽ることと心身の健康については様々な研究が行われてきました。
例えば、伊藤(2007)*1は本当の自分らしくある感覚「本来感」と精神的健康の関係について研究を行い、本来感が高いほど(つまり、自分の感情に素直であるほど)、抑うつや不安感情、心身の疲れが軽減することを明らかにしています。
「この人の前では自分を偽ってしまう」という人がいれば、少し距離を置き、もっと自分らしくいられる時間を増やした方が心身の健康のためにも有意義だと言えるでしょう。
付き合っていてしんどい人がいる
「なんだかこの人と付き合っているとしんどいな」と感じる人もいます。
例えば、
- ずっと自慢話をしている人
- 不満やグチばかり言う人
- 待ち合わせをしても遅刻する人
- お金や物を貸しても返さない人
などには、うんざりしたり、イライラしたりしてしまうでしょう。
こういった人たちは「自分」が世界の中心で、自分の気持ち良さのために他人を利用することは当然の権利だと感じています。
あなたにも感情があることを本当の意味では理解していないのです。
彼らは今の状態に満足しているため、変わってくれることは期待できません。
そのため、「しんどい」と感じる相手は自分から距離を取るのがおすすめです。
整理すべき人間関係の基準とは?
一緒にいて居心地が良いか
人間関係を整理するときには、一緒にいて居心地が良いかどうかを考えてみましょう。
一緒にいて「楽しい」「嬉しい」というポジティブな感情が生まれる、あるいは「ありのままの自分でいられる」という安心感がある場合には、その人間関係はこれからも大切にしていくべきです。
一方、一緒にいて「疲れた」「苦しい」といったネガティブな感情が沸き起こるような人間関係からは離れた方が良いでしょう。
新たな学びや刺激があるか
一緒にいて居心地が良いとは思えなくても、新たな学びや刺激を与えてくれる相手であれば、関係を維持した方が良いかもしれません。
新たな学びや刺激は、あなたの視野を広げ、成長の糧にもなります。
向き合っているときには「苦手だ」と感じる相手であっても、長い目で見れば、あなたの人生にポジティブな影響を与えてくれる存在となっているのです。
お金を払っても「もったいない」と思わないか
人間関係でお金を支払う場面が少なくありません。
そのお金を「もったいない」と思わず、気持ち良く出せるなら、今後も長く付き合い続けられる相手だと言えるでしょう。
逆に「このお金があれば〇〇できるなぁ」と別の使い道が浮かんできてしまう場合には、その人間関係の優先度は低くなっているということ。
思い切って整理すると「本当にやりたいこと」に向き合えるようになるでしょう。
人間関係を整理する具体的な方法
SNSで関わる頻度を下げる
TwitterやFacebookなどのSNSによる人間関係は、投稿を読んで「いいね!」をしたり、コメントをしたりと手間がかかり、あなたの自由な時間を奪ってしまいます。
まずは、SNSで関わる頻度を下げてみましょう。
整理すると決めた相手は「ミュート」にすれば、その人の投稿内容がタイムラインに流れてくることはありません。
また、整理する相手からあなたの投稿へのコメントが付いたり、誕生日にお祝いメッセージが来たりすることがあります。
その時には「そうなんだ」「ありがとう」とシンプルな返答を続けましょう。
感情的に深入りしない回答を続けることで、自然に適度な距離が生まれるでしょう。
整理すると決めた人とは距離を置く
会社や地域のつながりなど、整理したい相手と今後も顔を合わさなければならない環境であれば、意識的に距離を置くための行動を取ることが必要です。
ここでは、人と距離を置くための3つのポイントをご紹介します。
■他人になりたいからこそ丁寧な対応を心掛ける
他人になりたいからこそ「他人行儀」なふるまいをするのが大事。
挨拶やお礼などの基本的マナーはきっちりわきまえると共に、言葉遣いも丁寧なものにしましょう。
相手から「いまさら水臭い」「他人行儀はやめて」と言われれば、順調に距離が取れてきた証拠です。
■返答もビジネスライクに
距離を置き始めると、相手は「どうしたの?」と質問してきたり、話題を振ってきたりと、あなたとの距離を再び縮めようとしてくることがあります。
そのような時もビジネスライクに「特に何もありませんよ」「ちょっと忙しいので」などさらっと返し、相手の話題に乗らないようにしましょう。
もし、あなたが「もう話しかけないで!」と怒ったとしても、相手はあなたの怒りよりも「反応してくれている」という事実に喜び、さらに話しかけてくるかもしれません。
「愛の反対は無関心」という言葉があるように、「もうあなたには愛も興味もないですよ」という気持ちを伝えるには、反応を返さずに無関心でいることが何よりも大事なのです。
■二人の時間を短くする
二人きりの時間が多いと、逃げ場がなく、精神的にも物理的にも距離を離すのが難しくなります。
信頼できる人がいれば「苦手な人がいる」と伝え、二人きりになりそうな場面に加わってもらい、どうしても二人で何かをしなければならない時には、他の人もいるような場所を選ぶなど、完全な二人きりの時間を減らすように工夫しましょう。
誘われてもきっぱり断る
整理すると決めた人から「飲み会に行こう」などの誘いを受けても、きっぱり断りましょう。
「その日はちょっと…」とあいまいな断り方をすると、「じゃあ、〇日ならどう?」など改めて誘われてしまいます。
「行かない」という意思をはっきりと伝えるようにしてください。
整理すると決めた相手ですから、「嫌われたらどうしよう」などと悩む必要はありません。
何回か誘いを断るうちに「この人は誘っても来ない」と気づき、誘いもなくなっていくでしょう。
まとめ
- 自由な時間を失っている
- 気の乗らない付き合いで出費がかさむ
- 自分の感情を偽って付き合っている
- 付き合っていてしんどい人がいる
という場合には、人間関係を整理してみましょう。
SNSで関わる頻度を下げ、顔を合わせた際にも距離を置くよう心掛ければ、整理したい人とのつながりは自然となくなっていくはずです。
いらない人間関係のしがらみを取り払い、自分らしい生き方を取り戻してみましょう。
また、人間関係を整理したくなる前には、必ず「人間関係がしんどい」と感じる段階があります。
人間関係がしんどい理由とそんなときに試してほしい5つのことでは、人間関係のしんどさに対処する具体的な方法をご紹介しています。「整理するほどではないけれど、どうにか対処したい」と考えている人はぜひご覧ください。
参考文献 *1 伊藤正哉(2007)自分らしくある感覚(本来感)についての心理学的研究 筑波大学 博士(心理学)学位論文