【簡単】人間関係に役立つ心理学のテクニック【明日から使える】

【簡単】人間関係に役立つ心理学のテクニック【明日から使える】

心理学は「心とは何か」を研究する学問です。

しかし、人の心は目に見えないため、心理学では「行動」や「反応」など目に見える部分をヒントに心について探っています。

そして、心理学の世界では人の行動傾向を一般化する数々の理論が提唱されてきました。

今回はその中でも人間関係に役立つ心理学の理論やテクニックについてご紹介します。

初対面で好印象を与える心理学のテクニック

自己開示

「自己開示」はその名の通り、自分のことをオープンに話すことです。

自己開示を通して「こんな人なんだ」という理解が深まると、相手は心を開きやすくなります。

特に、一般人には人に見せたくないような秘密・弱音・悩みなどを「ここだけの話ですけど…」と話すと、ぐっと距離が縮まります。

初対面であれば、クスッと笑えるドジなエピソードを話せば、親しみを感じてもらえるでしょう。

ユニホーム効果

Tシャツにジーンズの医師に対しては「この人、大丈夫かな」と不安に思うかもしれません。

一方、パリッとした白衣を着た医師には「ちゃんと仕事をしてくれそう」と信頼する人が多いのではないでしょうか。

まだ治療を受けたわけではないのに、相手に不安や信頼を抱くのは服装が大きく影響する「ユニホーム効果」が働いているためです。

初対面の人に良い印象を与えるには、相手や環境に適した服装を選ぶことが大切です。

親密な人間関係を築くための心理学のテクニック

類似性の法則

「類似性の法則」は、人は自分と似た存在に親近感や安心感を抱くという法則です。

この法則を活用したのが次の「ミラーリング」と「マッチング」というテクニックです。

ミラーリング

「ミラーリング」は、相手の姿勢・表情・仕草・呼吸など、目に見える部分を真似することで、相手との心の距離を縮めることを目指したテクニックです。

ただし、相手の行動をすぐに真似すると「バカにされている」など、不快な印象を与えてしまい、逆効果になることも。

まずは一部分だけを真似したり、タイミングをずらしたりと、さりげなく取り入れるようにしましょう。

マッチング

「マッチング」は、声に関する部分を真似して、信頼関係を築くテクニックです。

私たちは自分よりも早口だったり、声が大きすぎたりする人に対しては「ついていけない」「なんだか怖い」と不信感や違和感を抱く傾向があります。

実は声も人間関係を構築するための重要なポイントとなるのです。

マッチングでは、相手の話す速度・声の大きさ・声のトーンを合わせることで、ミラーリングと同じように親近感を与えます。

返報性の法則

人は何かをされると同じような行動を返したくなります。

これを「返報性の法則」と呼びます。

例えば、お土産をもらうと「次、旅行に行った時には、この人にお土産を買っていこう」と自然に考える人が多いのではないでしょうか。

これは返報性の法則によるものです。

そのため、相手を信頼して尊重する行動をとることで、相手からも信頼を得やすくなります。

単純接触効果

「単純接触効果」とは、人や物に何度も接するたびに好感度が高まる効果のことを指します。

例えば、テレビドラマのテーマソングが人気になりやすいのは、ドラマを繰り返し視聴することによる単純接触効果の影響があります。

そのため、良好な人間関係をつくるためには何度も出会うようにするのがおすすめ。

ただし、「嫌い」と思った人とは接触を繰り返すごとに、嫌悪感が強まる効果も見られています。

単純接触効果をうまく活用するためには、第一印象を良くすることを心掛けるようにしましょう。

相手のタイプを見極める心理学のテクニック

相手の情報処理タイプに合わせたコミュニケーションを取ることで、よりスムーズに関係を構築できます。

ここでは、それぞれのタイプをご紹介します。

視覚タイプ

視覚タイプの人は視覚的なイラストや図での情報処理や記憶が得意です。

例えば「海」と聞くと、ビーチやパラソルの映像が頭の中に浮かんでくるような人たちです。

他者との会話では、情報を整理するために手が無意識に図を描いていたり、宙を見ながら頭の中にイメージを思い浮かべていたりします。

そのため、イラストやグラフなど目で見て分かりやすい資料を用意すると、コミュニケーションがスムーズに進み、関係を深めやすくなります。

聴覚タイプ

聴覚タイプの人は音声や言葉での情報処理や記憶が得意です。

例えば「海」と聞くと、波の音やカモメの鳴き声が思い浮かぶような人たちです。

周囲の声や物音が自然と耳に入ってきてしまうため、騒がしい場所での会話は苦手です。

聴覚タイプの人とコミュニケーションを取るときは、静かな場所で論理的に話をするのが効果的です。

身体感覚タイプ

身体感覚タイプの人は、触覚・嗅覚・味覚など身体で感じたものを記憶し、理解を深めようとします。

例えば「海」と聞くと、日差しの強さや水のしょっぱさ、潮の香りなどを思い起こすような人たちです。

感覚で物事を理解しているため、ジェスチャーで伝えようとすることが多く、言葉で具体的に説明するのはあまり得意ではない傾向が見られます。

また、言葉だけで説明されると「ついていけない…」と感じることもあります。

身体感覚タイプの人とは、お互いの理解をすり合わせるようにゆっくりとしたペースでコミュニケーションを取るのがおすすめです。

依頼や交渉で活用できる心理学のテクニック

アンカリング効果

「アンカリング効果」とは、最初に提示された情報が印象に残ることで、その後の意思決定に影響を与える効果のことです。

例えば、テレビショッピングなどで「定価5,000円のところ、特別価格3,980円でご提供!」という売り文句を聞いたことはありませんか。

これは最初に5,000円という情報が強く印象付けられ、その後の3,980円が「安い!」と感じて購入する人が増えるためです。

交渉でも「普段は〇〇なのですが、今回は特別に××でいかがでしょうか」などの形で伝えると、相手は「この機会を逃すと損をする」と感じるため、交渉を進めやすくなります。

ウインザー効果

「ウインザー効果」とは、第三者から情報が伝わることで信憑性が高まる効果のこと。

例えば、お店の人から「これは良い商品ですよ」と聞くよりも、友人から「これ、とっても良かったよ」と聞いた方がなんとなく信じられるという人も多いのではないでしょうか。

これがまさにウインザー効果の働きなのです。

そのため、好意を伝えたい相手には、自分で直接伝えるよりも、他の人から「あなたのことが好きだと言っていたよ」と伝えてもらう方が相手の心に残りやすくなります。

フット・イン・ザ・ドア

「フット・イン・ザ・ドア」とは、まず小さな要求を行い、次第に大きな要求も引き受けてもらうためのテクニックです。

例えば、「お金を貸してほしい」という要求を達成するためにフット・イン・ザ・ドアのテクニックを活用する際には、

  • 「お茶でも行かない?」と誘いかける
  • OKがもらえたら、「話を聴いてほしい」と要求する
  • OKがもらえたら、お金に困っている理由を切々と語り、「お金を貸してほしい」と要求する

というように、引き受けやすい要求から、ちょっとずつ大きな要求をのませて、相手を巧みにコントロールすることになります。

人間関係での心理学テクニックの活用が難しいと感じたら

人間関係での心理学テクニックは、どれも相手の様子を観察した上で行うことが基本となります。

「なかなかうまくテクニックが使えない」と感じたら、相手に興味を持ち、相手がどんなことを考えているか、どんなことを求めているかを観察するところから始めてみましょう。

また、全てのテクニックを使う必要はありません。

自分にとっての人間関係における課題を見極め、その課題の解決に役立つテクニックを1つ選んで、しっかり習得するようにしましょう。

1つでも完璧に習得できたら、「人間関係でテクニックを使う」ということにはすっかり慣れているはずです。

まとめ

今回は人間関係に役立つ心理学理論に基づくテクニックをご紹介しました。

人間関係に苦手意識のある人は、まず「初対面で好印象を与える心理学のテクニック」や「親密な人間関係を築くための心理学のテクニック」から始めてみてください。

普段の人間関係には問題がないけれど、人との交渉事が苦手と感じる場合には、「相手のタイプを見極める心理学のテクニック」や「依頼や交渉で活用できる心理学のテクニック」がおすすめです。

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。