生きていく上でストレスを感じている人はたくさんいます。
厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」*1によると、12歳以上を対象とした日常生活での悩みやストレスの有無についての質問に対し、「ある」と答えた人は47.9%にも上っています。
また、悩みやストレスの内容としては、自分自身に関するものを選択した人も多いですが、「家族との人間関係」や「家族以外との人間関係」など人間関係に関する回答を選んだ人も少なくありません。
なぜ、こんなに多くの人が人間関係に悩み、ストレスを抱えてしまうのでしょうか?
この記事では、そんな疑問を解消するため、人間関係がストレスになりやすい人の特徴と対処方法を解説します。
また、人間関係やストレスを悪化させてしまうNGな対処方法もご紹介しますので、あわせてご覧ください。
人間関係がストレスになりやすい人の特徴
自分にも他者にも100点を求める
自分にも他者にも100点を求める「完璧主義」な人は、人間関係にストレスを感じやすくなります。
自分に完璧を求めると、少しのミスをしただけでも「こんな自分では嫌われてしまう」と、他者の目が怖くなってしまいます。
また、他者のミスにも寛容になれず、「なんでこんなこともできないの!」とイライラしたり、細かい部分を逐一指摘してしまい、「面倒な人」と距離を置かれたりしてしまいます。
さらに、全てを自分で管理しないと気が済まないため、他者に頼み事ができず、あれもこれも1人で抱え込むなど、ストレスの高い環境に自らを追い込んでしまうのです。
いつも勝ち負けを気にしている
いつも他者との勝ち負けを気にしている人は、他者の前で気を緩めたり、弱音を吐いたりできません。
「弱い自分を見せると、つけ込まれる」と感じているからです。
そのため、常に「他者に負けないか」「弱い自分がバレないか」と不安を抱きながら、どんなにつらい時でも自信に満ちた自分を精一杯演じ続けます。
また、万が一、「負けた」と感じた時には「劣っている自分なんて誰にも認められない」と深く落ち込んでしまいます。
勝ち負けを気にする人は、勝つためにもストレスが溜まり、負けてもストレスが溜まるという、どっちに転んでも苦しい状態になってしまうのです。
他者に嫌われる不安が大きい
電車で席に座った時に、隣の人が咳き込んだら、あなたはどう思いますか?
「風邪かな?」と思うだけで特に気にしない人が多いのではないでしょうか。
しかし、他者に嫌われる不安が大きい人は「私が何か不快にさせたのかも。ぶつかってしまったのかな?もしかしたら臭いのかな」と一気に不安に陥ります。
このように、同じ状況でも「嫌われているのではないか」と考えてしまうため、人間関係でひどく疲れてしまいます。
また、自分自身の身体が変化することによって、これまで気にしなかった出来事が「迷惑かな」と不安になることもあります。
その一例が妊娠です。
【解消】妊娠中に仕事の人間関係がストレスになる原因と対処方法では、妊娠によって起こる職場の人間関係の変化とストレスの関連についてまとめていますので、ご興味がある方は、ぜひあわせてご覧ください。
人間関係のストレスを感じた時の良い対処方法
自分への期待値を70点に下げる
完璧主義でストレスを抱えてしまう人は、自分への期待値を100点から70点に下げてみましょう。具体的には、
- 1日にこなしている仕事量を7割に減らす
- 100%疲れ切る前に70%の疲れの段階で休みを取る
- スケジュールもこれまでの7割程度の予定に抑える
など、これまでの自分の7割のパワーで暮らせるように心がけてみてください。
これまで完璧に全てをこなそうとしていたあなたですから「7割に抑えよう」と思えば、他の人から見て「80~90点」くらいのことはできていると思います。
そして、その生活を続けていくと「80~90点あれば、多くの場合支障はない」ということに気づき、自分だけでなく他者も許せるようになるはずです。
自分のものさしを持つ
他者との勝ち負けを気にする人も、他者に嫌われる不安が強い人も、他者の評価で自分を測ってしまっています。
しかし、他者の評価は人によって異なります。
例えば、誰にでも優しい人に対して、「優しくしてくれて嬉しい」とポジティブに評価する人もいれば、「八方美人」とネガティブに評価する人もいるのです。
そのため、他者の評価に合わせると、その人には認められても、他の人からは否定され、結局ストレスを抱えることになりがちです。
ぜひ、自分のものさしを持つようにしましょう。
他者がどう思うかではなく、「私が楽しい」「私が心地良い」「私が嬉しい」という風に、「私」を主語にして「今の自分」を評価するクセをつけると、過度に他者を気にせずに済み、人間関係のストレスが軽減されます。
客観的な事実と想像を区別する
他者に嫌われる不安が大きい人は、ちょっとした出来事からも「私は嫌われている」と思い込みがち。
そのため、他の人より何倍もストレスを抱えてしまうのです。
だからこそ、客観的な事実と自分の想像を区別することが大事。
例えば、「私が通りかかった時に同僚が足を出して、私を転ばせようとした」という人は、全てを事実だと思っています。
しかし、誰から見ても事実なのは「通りかかった時に同僚が足を出した」という部分だけで、「私を転ばせようとした」というのは想像に過ぎません。
「同僚はたまたま足を伸ばしただけ」かもしれないのです。
このように客観的な事実をきちんと見極められるようになれば、余計なストレスを抱えることが減ります。
人間関係のストレスを感じた時の悪い対処方法
自分の気持ちを押し殺して付き合い続ける
「人と揉めるのは面倒だから」と自分の気持ちを押し殺して付き合い続けると、周りの人はあなたがストレスを感じていることに気づきません。
そのため、あなたにとってストレスになる関わりを悪気なく続けてしまうでしょう。
これは、あなたにとっても、周りの人にとっても、不幸なことです。
まずは「私は〇〇されるとストレスだ」といくことを自覚しましょう。
そして、信頼できる相手から「実は〇〇な関わりにはストレスを感じるんだ」と丁寧に伝えてきましょう。
あなたと良好な関係を築いていきたい人なら、あなたの気持ちを受け止め、対応してくれるはずです。
すべてを相手のせいにする
「こんなにストレスを感じるのは、全部あいつのせいだ!」とすべての原因を相手に押し付けるのもやめましょう。
例えば、「自己中心的な友達のわがままに振り回される」という人は、一見、その友達だけが悪者に見えます。
しかし、友達に「やめて」と言えないことや、友達をやめる勇気を持てないことなど、自分にも原因があるためにストレスの高い状況が長引いているのです。
他者は変えられませんが、自分は変えられます。
自分自身の課題から目を逸らさず、向き合うようにしましょう。
まとめ
この記事では、人間関係がストレスになりやすい人の特徴をご紹介すると共に、人間関係ストレスへの良い対処方法と悪い対処方法を解説しました。
人間関係がストレスになりやすい人には、
- 自分にも他者にも100点を求める
- いつも勝ち負けを気にしている
- 他者に嫌われる不安が大きい
という3つの特徴があります。
また、人間関係のストレスを感じた時の良い対処方法としては、
- 自分への期待値を70点に下げる
- 自分のものさしを持つ
- 客観的な事実と想像を区別する
という3つのポイントを意識するのがおすすめです。
逆に、自分の気持ちを押し殺して付き合い続けたり、すべてを相手のせいにしたりすると、人間関係が悪化し、ますますストレスが増大してしまいますので注意しましょう。
「そもそも人間関係でストレスを抱えているのか分からない」という人は、【判定】人間関係のストレスチェックでストレス度合いを測定しようで、ストレスチェックができるサイトなどをご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考文献 *1 厚生労働省 2019年国民生活基礎調査の概況 p20.