人間関係がしんどい理由とそんなときに試してほしい5つのこと

人間関係がしんどい理由とそんなときに試してほしい5つのこと

人間関係には、私たちに楽しみを与えてくれたり、1人では出来ないことも力を合わせることで実現できたりと、ポジティブな側面がたくさんあります。

それでも、時には「人間関係がしんどい」と感じることは誰にでもあります。

しんどさのあまり、「人間関係から逃げ出したい!」と思う人もいるかもしれません。

しかし、仕事でもプライベートでも一切誰とも付き合わない…というのは現実的ではありませんよね。

そこで今回は、人間関係がしんどいと感じる理由を解説すると共に、人間関係がしんどいときに試してほしい5つのことをご紹介します。

この記事を読めば、人間関係のしんどさとの上手な付き合い方が分かるはずです。

人間関係がしんどい理由とは?

自分の考えや気持ちを主張できないから

他者から「気が利く」「優しい」など良い評価を受けており、うまく人間関係を築けているように見えても、内心しんどさを感じているケースがあります。

なぜなら、他者の心地よさを優先して、自分の考えや気持ちを抑え込んでしまうから。

周りのみんなにとっては「楽しく過ごす」というだけの時間も、「自分の意見を飲み込む」「空気を読んだ発言をする」「不満を顔に出さずに笑顔でいる」「楽しんでいるフリをする」と、たくさんのタスクをこなさなければならない時間になります。

そのため、だんだんと人間関係がしんどく、苦しいものになってきてしまうのです。

納得できない指示や意見に従わざるを得ないから

人間関係は対等なものばかりではありません。

職場の上司や取引先など、自分より立場が上の人や、利害関係がある人とも付き合っていく必要があります。

しかし、彼らの言うことが必ずしも正しいとは限りません。

むしろ、間違っていると感じるような指示や意見を押し付けてくることもありえます。

納得できない思いを抱きながらも、立場上従わざるを得ないとき、「人間関係はしんどい!」と強く感じるでしょう。

いつも同じ相手・集団と付き合っているから

私たちは学校・職場・地域など、様々なコミュニティに所属して生活しています。

そして、これらのコミュニティで嫌われてしまうと、必要な情報がもらえない、協力してもらえない、悪口や嫌がらせを受ける…など、生活しづらくなってしまうことがあります。

また、多くの場合、これらのコミュニティは簡単に離れることができません。

そのため、いつも「嫌われないように」と気を遣い、しんどさを感じてしまうこともあります。

親密な相手に対する自分の感情をコントロールできないから

家族・恋人・親友など、親密な相手を「自分の一部」と感じてしまう人がいます。

手足など「自分の一部」は、いちいち「掴め」「歩け」など指示を出さなくても、思い通りに動くのが当たり前ですよね。

それと同じように、親密な相手にも自分の気持ちを察して動いてくれることを期待します。

そして、思い通りに動いてくれないときにはパニックになり、怒り・不安・悲しみなどが爆発してしまうのです。

実際には、どれだけ親密でも相手は意思を持った1人の人間であって、「自分の一部」ではありません。

常に思い通りに動くなんてことはあり得ないのですが、その事実を受け入れることができません。

その結果、人間関係での失敗を繰り返し、「しんどい」と感じてしまいます。

人間関係がしんどいときに試してほしい5つのこと

自己主張の方法を身につける

「いつも気を遣ってばかりでしんどくなる」という人は、「アサーティブ」を習得するのがおすすめ。

アサーティブとは、相手の気持ちに配慮する姿勢はそのままに、自分の気持ちもしっかりと伝える自己主張のスタイルを指します。

アサーティブを実践するときに重視すべきポイントは4つあり、それぞれのイニシャルを取って「DESC法」と呼ばれています。

1つ1つのポイントを確認してみましょう。

■Describe(描写):客観的な事実を具体的に描写する

「あの書類、〇日に出してって言ったのにどうして出してないの?」と感情的になったり、「書類なんて出さなくてもいいって思っているんでしょ!」と、自分の考えを押し付けたりせずに、「〇日に締め切りの書類がまだ提出されていません」と客観的な事実だけを伝えましょう。

■Explain(説明):自分がどのように感じたのかを説明する

描写した事実に対して自分が抱いた感情を説明します。

ただし、表情・態度・口調など非言語的な部分で感情をぶつけるのではなく、「私のことを軽く見ているんだと感じて、とても悲しかったです」というように、感情は言葉にして冷静に伝えるよう心掛けてください。

■Specify(明示):どうしてほしいのかを具体的に明示する

感情を伝えたら、「今度から提出が間に合わないときには、一度連絡をください」など相手に頼みたいことを具体的かつ明確に示します。

「社会人としてふさわしい行動をとって」など、漠然とした要求では「結局、どうすればいいんだろう」と相手は困ってしまい、自分は不満が残ったままという、どちらにとっても不幸な結果になってしまいます。

■Choose(選択):相手の反応に自分がどう行動するか選択肢を示す

どうしてほしいかを明示したら、「連絡がもらえたら、書類作成のサポートします。でも、連絡がもらえなかったら、一切対応できません」という風に、これからの相手の反応に対して自分がどんな行動を取るのか、その選択肢を示します。

【解決】職場の人間関係に悩んだときに試してほしい3つのことでは、職場で困ってしまう場面で使えるアサーティブの例をご紹介しています。

アサーティブの具体的な使い方がイメージできますので、ぜひご覧ください。

ビジネスライクに割り切るのも手

その環境にいる「目的」と「手段」を整理することも大切です。

例えば、職場であれば「お金を稼ぐこと」を目的としている人が多いのではないでしょうか。

そして、「良い人間関係を築くこと」は、以下の図のように「お金を稼ぐ」という目的を達成するための1つの手段となります。

ビジネスライクに割り切るのも手

この場合の人間関係では「必要な情報や協力が得られる」関係性であれば十分であり、友達のように仲良くする必要はないと言えます。

「自分が何のために働いているか」、そのために「どんな人間関係を築けばいいか」を改めて明確にすれば、人間関係で適度な距離感を保てますし、多少しんどく感じても「これでお金がもらえるし」と、割り切れることもあります。

新しいコミュニティに参加する

職場や地域など1つのコミュニティで人間関係をうまく築けないと、「自分の居場所を失ってしまうかも」と焦りが生まれます。

その結果、いつもの自分以上に他者に合わせようと頑張り、「しんどい…」と感じてしまうのです。

でも本当は、1つのコミュニティにしがみつく必要なんてありません。

広い世界にはたくさんの人とコミュニティが存在しているのですから。

今の人間関係にしんどさを感じている人は、新しいコミュニティに参加するのも1つの方法。

「自分の居場所は他にもある」と実感できれば、心に余裕が生まれ、今感じている人間関係のしんどさも軽減されるかもしれません。

甘えたい相手にこそ気持ちを言葉にする

どれだけ甘えたい相手であっても「自分とは違う1人の人間」ということをわきまえることが、お互いにしんどい関係を解消するコツです。

自分の気持ちを言葉にするときには「I(アイ)メッセージ」を使ってみましょう。

Iメッセージは「私は〇〇してほしい」「私は〇〇してもらえると嬉しい」など、「私」を主語にして要望を伝える方法です。

日本語は「私」や「あなた」の主語を省略しがちなので、慣れないと難しいかもしれませんが、練習していくうちに自分と相手をしっかり区別できるようになっていきます。

一時的に人間関係から離れて自分のケアをすることも大事

人間関係がしんどくなったら、一時的に人間関係から離れるのもおすすめ。

忙しいことをアピールしたり、疲れが溜まっているので一人になりたいことを宣言したりして、一人の時間を確保しましょう。

そして、

  • 美味しいごはんを食べる
  • あたたかいお風呂に入る
  • ヨガやストレッチをする
  • ゆっくり眠る

など、自分の心と身体を丁寧にケアしてあげると、「明日からも頑張るか」と活力が生まれます。

まとめ

この記事では、人間関係がしんどいときに試してほしい「自己主張の方法を身につける」「ビジネスライクに割り切る」「新しいコミュニティに参加する」「甘えたい相手にこそ気持ちを言葉にする」「一時的に人間関係から離れて自分のケアをする」という5つの方法をご紹介しました。

ただし、人間関係のトラブルがこじれている場合や、パワハラやセクハラに巻き込まれている場合には、自分と相手だけでは解決できないことがあります。

そのような時にはカウンセラーや弁護士など、専門家の力を借りるようにしてくださいね。

公認心理師・臨床心理士。これまで精神科・児童相談所・療育施設などで臨床経験を重ね、現在はスクールカウンセラーとして勤務。そのかたわらでライター活動にも取り組んでいる。