自分の都合に合わせて短い時間で働けるパート勤務は、「空き時間を有効に使える」「正社員よりも気楽」といったメリットもありますが、小さな人間関係の中で「めんどくさい」と感じることにもたくさん出会います。
せっかく見つけた条件の良いパートを人間関係で辞めてしまうのは残念ですよね。
そこで、この記事では「パートの人間関係がめんどくさい理由」と「良い対処方法」について解説します。
また、パートの人間関係は間違った対応をしてしまうと、さらにこじれてしまう危険性も。
この記事では、絶対NGの「悪い対処方法」についてもご紹介しますので、「人間関係に悩まずパートの仕事に集中したい!」という方は、ぜひご覧ください。
パートの人間関係がめんどくさい理由
パートを選ぶ理由が人によって異なるから
「パートは仕事なんだからお金を稼ぐことが目的なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。
芳崎(2018)*1によると、パートで働く人は
- 正規雇用での職が見つからなかったなど不本意な理由でパートを選ばざるを得なかった人
- 「都合の良い時間に働きたい」「家事・育児と両立したい」などの理由で、自ら望んでパートを選んでいる人
の2パターンに大別され、自ら望んでパートを選ぶ人がパート全体の8割以上を占めることが示されています。
正規雇用でバリバリ働きたかった人は「なんでパートで満足できるの?」と周囲を見てイライラするかもしれません。
また、自ら望んでパートを選んだ人たちは「そんなに頑張らなくても…」と困惑することもあるでしょう。
このようにパートを選んだ背景の違いで生まれるすれ違いによって、めんどくさい人間関係が生まれることがあります。
年齢や生活スタイルなどによる価値観の違いがあるから
パートで働く人の違いは目的だけではありません。
年齢や生活スタイルもさまざま。
そのため、パート同士の関わりの中で
- 未婚女性に対して、既婚女性が「早く結婚した方がいい」「子どもを産んだ方がいい」と口出しする
- 子育て中の女性に対し、子どものいない女性が「いつも子どもを理由に休まれると困る」「お母さんが家にいないなんて子どもが可哀想」など文句を言う
といった価値観の押し付けが発生することがあります。
また、この価値観の押し付けは「あなたのため」というスタイルが取られることが多く、安易に否定すると「あなたのためを思って言ってあげたのに」とあなたが悪者扱いされてしまう危険性もあります。
宮木(2015)*2の調査では、非正規社員の約半数が、“職場では「理解しあうこと」より「衝突しないこと」の方が重要だと思う”と回答しており、いかにパートを含む非正規社員が相手を刺激せず、受け流していくかに心を砕いているかが分かります。
しかし、自分の気持ちを抑えて対応しなければならないことは人間関係のめんどくささを加速させる大きな要因になってしまいます。
パートの中での人間関係がすでに出来上がっているから
パートとして就職すると、すでに出来上がっている人間関係の中に入っていくことになります。
仲良く働いている人たちの中に新しく入っていくだけでも気を遣います。
それなのに、パート同士でいがみ合っているような関係の中に入らなければいけない可能性もあるのです。
新しい仕事を覚えるのも大変なのに、周りのパートの顔色や力関係までうかがいながら行動しなければいけないとなれば、「めんどくさい!」と感じるのも当然と言えるでしょう。
また、パート勤務をしている人の大多数を構成する「女性」にも人間関係をめんどくさくする要因があります。
女の職場の人間関係がめんどくさい理由と対処方法【良い・悪い】で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
パートのめんどくさい人間関係への良い対処方法
「〇〇さんはそう思うんですね」と返していく
「母親は家庭にいないとねぇ」など、自分とは異なる価値観を押し付けられ、同意を求められることがあります。
安易に同意してしまえば、その人が「母親は家庭にいなきゃいけないって、あの人も言ってたわよ!」と言いふらし、いつの間にか自分までもが価値観を押し付ける側に立たされてしまうことも。
そんな時におすすめなのが「〇〇さんはそう思うんですね」「〇〇さんの意見はそうなんですね」と返答する方法。
これなら、相手の価値観を否定せず、自分の価値観も曲げずに済みますし、「あの人もそう言った」という言質を取られる心配もありません。
ただし、「〇〇さんはそう思うんですね」と早口で返してしまうと、突き放した印象を与えてしまい逆効果。
言葉だけではなく、非言語のコミュニケーションも大切にしてみましょう。
- 相手の目を見る
- ゆっくりしたペースで話す
- 聞き取りやすい適度な声量で話す
以上の3点に注意して伝えると、「ちゃんと聴いてもらえた」という満足感を与えやすくなります。
パートで達成したいことを見つめ直す
めんどくさい人間関係に巻き込まれる人は、「自分」に軸がないために、他者に振り回される傾向があります。
そのため、「自分はパートで何を達成したいのか」を見つめ直し、自分の軸を作っていくこともめんどくさい人間関係に対処する上で大切です。
例えば、「この職場でスキルを身につけたい」という方は、そのスキルを身につけるために何をすべきかをリストアップしてみましょう。
そのリストを作る中で「職場で良好な人間関係を築く必要がある」とはっきりすれば、めんどくさい人間関係の中でも割り切って行動できるでしょう。
また、リストアップ作業を経て「スキル習得と人間関係は関係ない」と分かったなら、人間関係はほどほどに、仕事をこなすことに集中してもいいかもしれません。
パートのめんどくさい人間関係への悪い対処方法
気にいられるために悪口や噂話に乗ってしまう
パートの人間関係がギスギスし始めると、派閥が生まれ、「××さん、いつも子どもを理由に休んで迷惑よねぇ」など、他の人の悪口を聞かされることがあります。
それに対して面倒だからと「そうですね」と同意してしまえば、「××さんが迷惑だって、あの人も言っていた」と、あなたが悪口を言ったかのように言いふらされ、さらにあなたを取り巻く人間関係がこじれてしまいます。
1人で抱え込んでしまう
パートでめんどくさい人間関係にストレスを感じているのに「パートの時間だけだから」と1人で抱え込むのも良くありません。
我慢して笑顔で対応し続けるほど、めんどくさい人間関係にどんどん巻き込まれて逃げ出せなくなる場合もあります。
また、ストレスで心や身体の調子を崩してしまえば、完全に回復するまでに長い時間がかかります。
パートで稼いだお金よりも治療費の方が高くついてしまっては本末転倒ですよね。
- 家族や友人
- 上司や社内の相談窓口
- 外部の専門家
などに抱え込んでいる悩みを打ち明けてみてください。
自分では「どうしようもない」と思っていたことでも、思わぬ解決方法が見つかるかもしれません。
まとめ
この記事では「パートの人間関係がめんどくさい理由」と共に、「パートのめんどくさい人間関係への良い対処方法と悪い対処方法」についてお話ししました。
パートの人間関係がめんどくさい理由には、次の3つがあります。
- パートを選ぶ理由が人によって異なるから
- 年齢や生活スタイルなどによる価値観の違いがあるから
- パートの中での人間関係がすでに出来上がっているから
また、パートのめんどくさい人間関係への良い対処方法については、
- 「〇〇さんはそう思うんですね」と返していく
- パートで達成したいことを見つめ直す
の2つをご紹介しました。
また、パートのめんどくさい人間関係に対しては、
- 気に入られるために悪口や噂話に乗ってしまう
- 1人で抱え込んでしまう
といった対処方法を取ると状況を悪化させてしまうため、注意が必要です。
参考文献 *1 芳崎文香(2018)女性はなぜ非正規雇用労働を選択するのか-諸外国との比較を通して - 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 19 pp35-42. *2 宮木由貴子(2015)全国の大企業・中小企業勤務者 1,440 名に聞いた『職場でのコミ ュニケーションの現状と課題』~性・雇用形態・職位の違いによるコミュニケーションギャッ プ~ 第一生命保険株式会社ニュースリリース(2015年3月20日)