人間関係にはいくつかの種類があります。
例えば、職場、友達、家族などが挙げられます。
そして、それぞれの人間関係では求められるものも異なります。
そこで今回は、心理学の専門家が人間関係の種類とそこでの振る舞い方を解説します。
また、心理学では人間の他者との関わり方について有名な実験がありますので、そちらについても解説しています。
人間関係の種類とそこでの立ち振る舞いに悩んだり、迷ったりしている方はぜひ記事をご覧ください。
人間関係の種類とそこでの立ち振る舞い方
職場
人間関係の1つとして職場があります。
職場では上司、同僚、お客様などとの人間関係が存在します。
現在、職場の人間関係で悩んでいる人も多いかもしれませんね。
職場の人間関係が厄介なのは、同じ仕事という目的を持った人間として付き合いが続くからです。
子どもが親を選べないように、基本的に転勤などが無ければ上司を選ぶことはできません。
また、同僚を選ぶこともできませんし、お客様を選ぶこともできません。
一旦こじれるととても厄介なのが、職場での人間関係です。
では、そのような職場でどう振る舞えば良いのでしょうか?
答えは、割り切ることです。
職場というのは、仕事という目的のためにさまざまなスキルを持つ人の集まりに過ぎません。
ですので、職場では仕事と割り切って人と接することが大切です。
当たり前ですが、仕事はしっかりやって結果を出すようにしましょう。
その上で、仕事の後の飲み会等には参加しなくても良いです。
ただし、日々の挨拶などは愛想良くきちんとしましょう。
仕事はきちんとこなし、礼儀正しくしていれば、あまり乗り気でない飲み会に行かなくても悪口や陰口を言われることは少ないでしょう。
仮に悪口や陰口を言われたとしても、職場はあくまで仕事をする場所に過ぎないという割り切りがあればそこまで気にならないはずです。
悪口や陰口を言う人はあなたのことだけではなく他の人のことも言っていますから、周りの人も内心あきれていることも多いです。
また、自分が悪口や陰口のターゲットにされるの怖くて合わせているだけの人も多いでしょう。
職場では悪口や陰口を言うような人にも自分から挨拶して、礼儀正しく振る舞い、距離を保つようにすることをおすすめします。
友達
人間関係の種類として友達があります。
友達にもいろいろな友達がいると思います。
知り合いに近い友達から親友と呼べるような友達までグラデーションがありますよね。
人間関係としては知り合ってから、少しずつ仲良くなっていけば良いと思います。
知り合って間もないのにあまりにも自分のことを赤裸々に語ると、相手に引かれる可能性があります。
また、友達関係も割り切ることが大切です。
最初はなかなか自分と合うかどうかも分かりません。
なので、少しずつ仲良くなれば良いです。
じっくりコトコト、スープがあったまるイメージです(笑)。
そして、話をするときは否定と断定はしない方が良いかもしれません。
誰でも自分の話を否定されたり、断定されると嫌な気持ちになってしまいます。
ただし、話をして合わないと思ったら距離を置いても良いです。
職場ではないので、合わないのに無理して付き合う必要はありません。
また、友達であっても裏切られることもあるでしょう。
かなり信頼していた親友に裏切られることもあるかもしれません。
そのときはとてもショックですが、長い人生ではあり得ることです。
そのときもそういう人間だったんだと割り切ることが大切です。
家族
家族も人間関係の種類として挙げられます。
家族が好きな人もいれば、嫌いな人もいるでしょう。
世の中には、子どもを虐待したり、子どもに害を及ぼすような親も存在します。
そのような親とは距離を取るしかないと思います。
つまり、親と離れて一人暮らしをすることをおすすめします。
家族だからと言って必ずしも仲良くする必要はないです。
心理学における有名な実験
心理学では人間関係の取り方、とりわけ愛着についての有名な実験があります。
愛着とは、*1“特定の対象に対する特別の情緒的結びつき”のことです。
例えば、赤ちゃんは他の人が目の前からいなくなっても平気ですが、母親がいなくなると泣き出したりします。
これは赤ちゃんが母親に特別の感情を抱いているからであり、このような特定の対象に対する特別の情緒的結びつきのことを愛着と呼びます。
そして、心理学にはこの愛着に関する有名な実験があります。
それは、ストレンジ・シュチエーション法と呼ばれる実験です。
簡単に説明すると、
- 母親と赤ちゃんが部屋にいる。
- 見知らぬ人が入室する。
- しばらくすると、母親が退出する。
- しばらくすると、母親が戻ってくる。
このときの母親との分離と再開の場面での赤ちゃんの態度により、赤ちゃんのタイプを次の4つに分類しました。
回避型(Aタイプ)
子どもは、母親との再会場面では母親を避けようとするなど無関心な態度を示す。
母親の日常的な態度は、子どもの働きかけに対して拒否的な態度を示す。
安定型(Bタイプ)
子どもは、母親との分離場面では多少泣いたり混乱を示したりするが、再会場面では母親に積極的な身体接触を求めて容易に静穏化する。
母親の日常的な態度は、子どもの状態に敏感であり、応答的な対応をする。
抵抗/アンビバレント型(Cタイプ)
子どもは、分離場面で非常に強い不安や混乱を示し、再会場面では母親を叩くなど怒りをぶつけます。
母親の日常的な態度は、子供の働きかけに対して一貫性を欠いた対応を取ります。
無秩序・無方向型(Dタイプ)
子どもは、母親に対して顔を背けながら近づきます。不自然でぎこちない態度を示します。
母親の日常的な態度は、精神的な不安定さがあり、突発的に表情や言動に変調をきたすことがありります。虐待など不適切な関わりが見られます。
なぜストレンジ・シュチエーション法の解説をしたかと言うと、赤ちゃんのときの母親との愛着タイプが大人になったときの人間関係の取り方に影響を及ぼすからです。
もちろん、必ずしも赤ちゃんのときの愛着タイプが大人になっても維持されるとは限りませんが、自分の人間関係取り方を知る上で参考にすることはできます。
自分にはどういう傾向があるかを把握しておくことが大切
先程のストレンジ・シュチエーション法とともに、自分にはどういう傾向があるのかを把握しておくことが大切です。
例えば、自分に回避的な傾向があり、職場の人間関係が煩わしく感じられるとします。
その場合、まず自分にはそういう傾向があると自覚することです。
その上で挨拶だけは自分からするように心がけるとか、あるいはなるべく人間関係が少ない仕事に転職する等を考えることができます。
人間関係の少ない仕事としては、プログラマーとかあるいは在宅ワークの仕事等が考えられます。
最近では、新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークが増えています。
人間関係が苦手な人は、テレワークの仕事を探すのも1つの方法です。
そして、職場であれテレワークであれ挨拶などはきちんとするけど、飲み会には参加しないなど割り切ることも大切です。
もし人間関係に悩んだり迷ったりしているなら、まずは自分にはどういう傾向があるかを把握することからはじめることが大切です。
まとめ
今回は人間関係の種類とそこでの立ち振る舞い方、心理学における有名な実験、自分にはどういう傾向があるのかを把握しておくことが大切というお話しをしました。
まずは自分の傾向を把握し、割り切るところは割り切ることが大切です。
引用文献 *1 中島義明(編)(1999)心理学辞典 有斐閣 pp3-4.
参考文献 大石幸二(編)(2019)第1回公認心理師国家試験要点解説と必修用語 文光堂 pp42.