「ファースト・クラス」「凪のお暇」など、女性社員同士のドロドロした人間関係が描かれたドラマや漫画作品は数多く存在します。
これらを観て「うわ~女の職場ってめんどくさいんだなぁ」と思ったことはありませんか?
また、実際に女性ばかりの職場で働く中で、「めんどくさい」と感じる場面に出会った方もいるでしょう。
実は、女の職場の人間関係がめんどくさい理由は基本的に3パターンに分けることができます。
そして、めんどくさい理由を理解した上できちんと対応できれば、ドロドロした人間関係から適度に距離を置いて働くこともできるのです。
そこで、この記事では、
- 女の職場の人間関係がめんどくさい理由
- 女の職場でのめんどくさい人間関係への良い対処方法
- 女の職場でのめんどくさい人間関係への悪い対処方法
の3つを解説します。
女の職場での人間関係がめんどくさい理由
噂がすぐに広まってしまうから
女性ばかりの職場では、「昨日のAさんとのトラブルが今朝にはもう噂になっていた」というように、噂話がすぐに広まってしまいます。
Aさんとのトラブルは、本来なら自分とAさんとで解決していくべきものです。
それにも関わらず、噂が広まると全く関係のない人たちまで「Aさんって酷いよね」と言い始めたり、逆に自分の悪口を広めたりと、さも自分やAさんの気持ちを代弁しているかのように好き勝手なことを言い始めます。
- Aさんとのやり取りだけで事態を収拾できなくなること
- 思ってもないことを自分の気持ちかのように代弁されること
が繰り返されると「めんどくさい」と投げやりな気持ちになってしまいます。
グループでの行動が求められるから
ランチからお手洗いまで、女性はグループで一緒に行動することを好みます。
そのため、「みんなで行動するのは面倒だな」「たまには1人になりたい」と感じることも。
実は先ほどご説明した噂がすぐに広まってしまう背景にも、女性が持つ「グループで行動を好む傾向」が影響しています。
松並(2014)*1によると、女性は男性よりも“友人や重要な他者に依存し他者と融合しようとする傾向”が強く見られると同時に、“他者と相互依存しつつ他者との間に協調的な関係を築くことを志向する傾向が見られること”が明らかになっています。
つまり、女性には所属するグループのメンバーとは、できるだけ一体となることを求める気持ちがあるのです。
そして、集団のつながりをさらに強固にするのが「スケープゴート」の存在です。
廣澤(2004)*2はスケープゴートについて“ある集団に属する人がその集団の正当性と力を維持するために、特定の人を悪者に仕立てあげて攻撃する現象”と解説しています。
噂によって共通の敵である「スケープゴート」を作り上げれば、「自分たちは正しい」と仲間意識を高めることができるのです。
そのため、いつも女性は噂話によってスケープゴートを探し、みんなで一緒になって攻撃することを繰り返しているのです。
マウンティングに巻き込まれるから
女性にはグループでのつながりを大切にする一方で、「自分を認めてほしい」という承認欲求もあります。
その欲求を満たすのが、自分の優位性を示す行為である「マウンティング」です。
ただし、女性の場合、「グループのつながりを破壊したくない」という気持ちもありますので、あからさまに「自分の方が上」と主張する訳ではなく、暗示的にマウンティングを行います。
例えば、市川(2018)*3は『独身って気楽でいいなあ~』『子ども産んでない人は、あんまりスタイルが崩れなくて羨ましい』といった言葉を暗示的マウンティングの例として挙げています。
これらは「いいなあ」や「羨ましい」と相手を賞賛する形式を取っていますが、伝えようとしているのは「私は結婚している」「私は子どもを産んでいる」という優位性を示す内容です。
女性同士の関係は、水面下でのマウンティングを繰り広げつつ、表面的には笑顔で接するというややこしいコミュニケーションのもとに成り立っているため「めんどくさいなぁ」と思うことも多いのです。
女の職場でのめんどくさい人間関係への良い対処方法
仕事での信頼を勝ち取る
まずは「困ったらこの人」と思ってもらえるくらい、仕事での信頼を勝ち取るよう心掛けましょう。
自分の仕事で成果を上げることはもちろん、他の人の仕事も積極的にサポートすることも大切。
周囲の女性から「この人がいると助かる」というポジティブな評価を得られれば、万が一悪い噂が広まっても、あなたに肯定的なイメージを持っている女性たちは「そんな人じゃない」と、その噂に左右されなくなります。
また、仕事で優れた成果を出すことで、自信や自己肯定感を高める効果も期待できます。
他の人からのマウンティングも「でも、私はあなたより仕事ができるのよ」と心の中で呟けば、自信に満ちた笑顔でさらりと流すことができるでしょう。
「ひとりが好き」というキャラを確立する
女性は「女性はグループでの行動を求めているものだ」「女性はひとりだと寂しいものだ」という価値観を持つ傾向があります。
そのため、良かれと思って、あなたをランチなどに誘ってくれる人も多いのです。
それが面倒に感じられているなら、いっそ「ひとりが好き」というキャラを確立してみましょう。
「ひとり旅」や「ひとりカラオケ」など「ひとりで楽しんでいる」という話題を積極的に出してみるのです。
周囲の女性が「ひとりでも楽しめる人なんだ」と認識してくれれば、「今日はごめんね」と集まりを断っても、「あの人はひとりが好きだから」と受け入れてくれるでしょう。
仕事上の関係と割り切って礼儀正しく接する
内心「めんどくさい」と感じていても、「これも仕事の一環だ」と割り切って、誰にでも礼儀正しく接してみましょう。
人には、他者からされたことを同じように返したくなる「返報性の法則」が働いています。
そのため、こちらが礼儀正しく丁寧に接すれば、相手もあなたに対して無礼な態度は取りづらくなります。
また、礼儀正しい態度や言葉遣いは「他人行儀」と呼ばれるように、相手を自分の懐に入り込ませず、他人の距離を維持する効果も期待できます。
そのため、グループでの行動や噂に振り回されるのを防ぐこともできるのです。
女の職場でのめんどくさい人間関係への悪い対処方法
めんどうな行動をする女性を否定する
めんどうな行動をする女性を否定すると、その女性は「あの人から悪口を言われた!」と言いふらすことが予想されます。
その結果、あなたは職場のスケープゴートとなり、孤立してしまう可能性が高いのです。
プライベートなら関係が悪化すれば、関わらないことも可能ですが、職場ではそうはいきません。
孤立すると仕事にも支障をきたします。
いくらめんどくさいからと言って、相手を真正面から否定するのではなく、上手にいなすことを考えましょう。
嫌だからと言ってコミュニケーションを取らない
めんどくさくて嫌だという理由で、コミュニケーションを取らなくなるのもNG。
コミュニケーションを取らず、相手を無視するという態度は「あなたと話す気はない」「あなたが嫌いです」という無言のメッセージを伝えることになります。
もちろん、そんなメッセージを受け取った相手もあなたが嫌になるでしょう。
プライベートであれば、嫌な相手に「嫌」と言うことも無視することも自由です。
しかし、職場はチームで協力して成果を挙げることを目的とする場所。
自分のワガママで「もう話さない」を通すと、チームでの協力が難しくなりますし、職場の雰囲気も悪くなります。
そして、そんなあなたの方が「めんどくさい人」になってしまいかねないのです。
無理に親しくする必要はありませんが、最低限のコミュニケーションを取れるようにしておきましょう。
まとめ
この記事では、女の職場の人間関係がめんどくさい理由と良い対処方法・悪い対処方法について解説しました。
女の職場での人間関係がめんどくさい理由としては、
- 噂がすぐに広まってしまうから
- グループでの行動が求められるから
- マウンティングに巻き込まれるから
の3つが挙げられます。
また、女の職場でのめんどくさい人間関係への良い対処方法として、
- 仕事での信頼を勝ち取る
- 「ひとりが好き」というキャラを確立する
- 仕事上の関係と割り切って礼儀正しく接する
という3つの方法をご紹介しました。その一方で、
- めんどうな行動をする女性を否定する
- 嫌だからと言ってコミュニケーションを取らない
といった対処をすると、さらに状況が悪化してしまうので注意が必要です。
引用文献 *1 松並知子(2014)自己愛の病理性の性差-他者への依存と自己誇大化 パーソナリティ 研究 22(3) pp239-251. *2 廣澤愛子(2004)‘スケープゴート’に関する臨床心理学的ー考察 愛知教育大学教育実 践総合センター紀要 7 pp319-327.
参考文献 *3 市川真未(2018)《賞賛》が「マウンティング」に作用する条件 日本語用論学会第21 回大会発表論文集 14 pp2-7.